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第八章

一緒になれない青紅剣2

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「村雨圭です。よろしくお願いします」

 圭が頭を下げて挨拶すると対面する三人も立ち上がって頭を下げて挨拶する。

「……こちらが青龍ギルドのサブマスターのリウ・リーイン、こちらは鑑定士のジャン・ヤオです」

 男性の一人はワン・ヤンであった。
 以前大王ゴブリンを倒した後剣を手に入れてはいないかと圭たちに接触してきた青龍ギルドの覚醒者である。

 女性の方がリウ・リーイン、もう一人の男性の方がジャン・ヤオらしい。

「よろしくお願いします、ムラサメ様」

 リーインが何かを言うとヤンが翻訳して圭たちに伝えてくれる。
 リーインは中国語しか話せないようである。

「それでは早速お話を始めましょうか」

「こちらです」

「それでは失礼して鑑定しても良いですか?」

「大丈夫です」

 みんなが席につく。
 圭が手に持っていた剣をテーブルに置くとヤオが手に取る。

 ヤオが剣を鞘から抜いてみると赤い刃が姿を現した。
 今回覚醒者ギルドに来たのは中国の青龍ギルドと話し合いの場を設けるためだった。

 圭たちはシークレットクエストをクリアして赤い剣を手に入れた。
 以前の接触で青龍ギルドが赤い剣を探していると言うことを聞いていた。

 真実の目で見た時に青剣という剣と一対になって初めて力を発揮できることが分かった。
 それがおそらく青龍ギルドが持つ青い剣なのだろう圭たちは考えた。

 青龍ギルドが青い剣を手放すとは思えないしこのまま赤い剣を圭たちが持っていても使い道がない。
 ならば青龍ギルドに渡してしまった方がいいだろうとなったのである。

 ただ圭たちに青龍ギルドに連絡を取る手段もなければ対等に話し合いを持てるような立場もない。
 そこで覚醒者協会を頼ることにしたのである。

 青龍ギルドに連絡を取ってもらい、話し合いの仲介をしてもらうことを相談した結果引き受けてもらえることになった。

「あの……リウ・ウェイロンさんは来なかったのですか?」

 青い剣を持っているのは青龍ギルドのギルドマスターであるリウ・ウェイロンであった。
 話し合いも青龍ギルドの予定に合わせて決められたもので圭はてっきりウェイロン本人が来るものだと思っていた。

 だから会議室に入ってきた時にウェイロンがいなくて不思議に思ったのだ。
 鑑定している間にそのことを聞いてみる。

「ギルドマスターであるウェイロンさんは……大きな怪我をなさいまして」

 言いにくそうにヤンが答える。

「何かあったんですか?」

 ウェイロンは中国が誇るA級覚醒者である。
 持っている青剣も一振りだけでも優れた武器であり、簡単には怪我をする人ではない。

 まさかゲートの攻略にでも失敗したのかと心配になる。

「ピピピピ……ウェイロンサンノコトヲキニシテイマス。ドウシマスカ? シカタナイワ、セツメイシテアゲナサイ」

 ヤンがリーインに話しかけてリーインが答える。
 圭にはその言葉の意味は分からないのだけど圭の懐で装備に擬態して隠れているフィーネには中国語も分かっていた。

 フィーネが翻訳して言葉を伝えてくれるところによると何か深い事情がありそうだ。

「実はウェイロンさんは……襲撃されたのです」

「襲撃?」

「およそ1週間ほど前ウェイロンさんが襲撃され……青剣が奪われてしまったのです」
 
「えっ……それは本当ですか?」

「ピピ……リウ・カイ」

「えっ、リウ・カイ?」

 フィーネがリーインの呟きを拾った。
 圭はその名前に聞き覚えがあって思わず口に出してしまった。

「中国語が分かるので?」

「あ、いえ、ちょっとだけ……」

「カイの名前も知っているようですね」

 リウ・カイといえば過去圭が戦ったこともあるA級覚醒者で国際指名手配もされている犯罪者であった。
 和輝が持っている鉄鋼竜の心臓というモンスターの素材を狙って襲いかかってきた。

 A級覚醒者など今でも敵わない相手であるが当時はかなみと北条のお陰でなんとか助かったということがあった。
 その時のリウ・カイと同じ人物かは不明であるが、A級覚醒者を襲えるリウ・カイが世界に何人もいるとは思えない。

 そういえばウェイロンもリーインも同じリウだなと圭は今更ながら思った。

「あまり大きな声では言えませんが今回こうした大きなものでの交渉なので正直にお話しいたします」

 どうしても紅剣が欲しい。
 リウ・カイも知っていそうだしウェイロンが来ないことに圭が不信感を抱いていそうなのでヤンとリーインは話し合って正直に伝えることにした。

「ウェイロンさんとリーインさん、そしてカイはご兄弟なのです」

「えっ!?」

 意外な関係に圭は驚いた。
 リウ家は有名な武術一家であり、カイはその長男であった。

 けれどもカイは昔から素行が悪く、覚醒者になった後はより良くない道を進んでいた。
 最終的には犯罪にまで手を染めていることが分かり、同じく高等級覚醒者であったウェイロンが家を継ぐことになってカイは家から追い出された。

 今はリウ家が中心となって青龍ギルドが作られて青龍ギルドはカイを止めようと追いかけているのである。
 圭から紅剣が手に入ったかもしれないという話を受けてウェイロンはスケジュールを調整していた。

 そんな時にカイがいきなり現れてウェイロンに襲いかかったのである。
 ウェイロンもカイを倒そうと戦ったのだが結局リーインが駆けつけた時にはウェイロンは倒れていてカイは青剣を持って逃げてしまったのだとヤンが説明した。
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