人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第九章

現世に帰って2

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「やっぱり日本じゃ……なさそう…………だな」

 入ってきた看護師も日本人ではなさそうに見えた。
 追いかける暇もなかったのでそのままベッドで待っていると先ほど去っていった看護師と医者風の人、覚醒者っぽい人が数人病室に入ってきた。

「はじめまして」

「あ、はじめまして」

 覚醒者っぽい女性が日本語で圭に話しかけてきた。
 日本語だったので思わず驚いてしまった。

「私のこと覚えていますか?」

「えーと……」

 ややタレ目のおっとりとした顔つきの外国人美人な女性に見覚えはない。

「あなたを見つけたのは私たちなのですよ」

「そ、そうだったんですね。ありがとうございます」

「私はユウカ・ウィリアムズです」

「ユウカさん、ですね」

 やはり記憶にはない。

「かなりぼんやりとしていましたからね」

「ええと……ここはどこですか?」

「ここはメリーランド州のワシントンD.C.よ」

「ワ、ワシントンD.C.って……つまりここはアメリカ?」

「そうよ。予想外って顔してるわね」

 全くもって予想なんてしていなかった。
 魔界から帰ってきたらアメリカにいるだなんて誰が思うだろうか。

「色々と聞きたいことはあるけれど……まずはあなた、モンスターじゃないわよね?」

「なに?」

 そういえば後ろにいる他の覚醒者も険しい顔をしている圭のことを見ていると気がついた。

「どうしてモンスターだなんて疑われなきゃいけないんだ?」

「それはあなたたちが見つかったのがゲートの中だったからよ」

「ゲートの?」

 ユウカに細かく話を聞いてみた。
 ユウカたちは大きな覚醒者ギルドに所属している覚醒者でありワシントンD.C.郊外に出現したゲートを攻略していた。

 ゲート攻略中急に光の柱が現れた。
 ユウカたちが光の柱が発生したところに行ってみると圭たちが倒れていたということだったのだ。

 現れた時圭はかろうじて意識があったらしい。
 そして言葉っぽいものを発したのでひとまず人間だろうということで救助されたのである。

「ただ簡単にあなたたちのことを信じるわけにもいかないわ」

 当然ながらゲート前は封鎖されていてサポートチームなども在中していた。
 外からゲートの中に入った人がいないことは確認済みである。

 となると圭たちはどこからやってきたのか。
 話はそう単純なものではない。

「も、もちろん俺は人間ですよ!」

 流石にモンスターだと思われるのは心外である。
 焦って人間だと主張するけれど人間であるということをどう証明したらいいのかも分からない。

「こちら、あなたが身につけていた荷物です。覚醒者の証はありますか?」

 ユウカの後ろにいた覚醒者がベッドにダンボールを置いた。
 その中には圭が身につけていた剣や装備、服などが入っている。

 圭はダンボールの中から亜空間の収納袋を探す。
 荷物の下の方にあった袋を見つけ出すとその中に手を突っ込む。
 
 そして財布を出して覚醒者証を取り出した。

「拝見します。お名前とご住所、覚醒者等級をお答えください」

「名前は村雨圭……」

 すぐさま始まる質問に困惑しながらも答える。
 名前と住所は問題ない。

 覚醒者等級だけは今のものを答えてしまいそうになった。
 しかし聞かれているのは登録されている等級である。

 危ないなと思いながらとりあえず質問にはしっかりと答えられた。

「向こうからいただいた情報とも一致します」

「向こう?」

「アジア系の顔つきをされていましたのであなたの顔情報を日本や中国の覚醒者協会に送りました。そして日本から村雨圭という人ではないかという返事を受けていました」

 身分を示すものがなくとも今時色々と調べる手立てはある。
 覚醒者ならば各国の覚醒者協会に登録してある可能性が高い。

 圭の顔がアジア系の顔立ちに見えたのでアメリカのみならずアジアの覚醒者協会にも圭の顔のデータを送って照会していた。

「ひとまず人間の村雨圭さんであると確認しました。こちらお返しします」

「あ、はい。ありがとうございます」

「もうひとつ……そちらの子供は何者ですか?」

 ユウカはシャリンのことを見る。
 圭の横に座ってユウカを睨みつけるシャリンからは強い魔力が放たれている。

 さらには瞳は真っ赤。
 普通の人にはありえない色をしている。

 ただの子供には思えない。
 しかも圭の情報には子供がいるなんてこと書いていない。

「ええと……この子は……」

 忘れていたと圭は冷や汗をかく。
 シャリンのことをどう説明したものか考えておくことがすっかり頭から抜け落ちていた。

「こ、この子は……悪魔教がさらった子です……」

 あまり答えに間を開けては不自然に思われる。
 だからといって適当な嘘もつけない。

 圭は一瞬の間に頭の中でシャリンを誤魔化すための嘘を考えた。
 目が赤いことはもう隠しようがない。

 しかし悪魔であると正直にいったところでそうですかと簡単に納得はしてくれない。
 ただ悪魔であることを隠すのも難しそうなので悪魔である可能性も匂わせつつどうにか上手く言い訳をしようと考えた。

 結果として悪魔との関わりを匂わせることにした。
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