人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第九章

噴き上がる風4

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「しかもぉ~、そいつには、クソみたいな力を感じるぅ」

 悪魔が一つの大きな目で見ているのはジャンだった。
 今すぐに悪魔を切り捨ててしまいたい衝動に駆られるジャンだったが、黙っていろと言われたので顔をしかめて悪魔を睨みつける。

「そやつは我らの奴隷だ」

「どぉれぇいぃ?」

「供物として与えられたものだ」

 圭はドキドキして悪魔の動きを見守っていたがルシファーは涼しい顔をして悪魔に答えた。
 ジャンが驚いた顔をルシファーに向ける。

 まさかここにきてジャンを奴隷扱いなんて思ってもいなかったのは圭も同じだった。
 ダンテはニヤリと笑っていた。

「なぁぜこんなところに?」

「ペットの散歩をするのは当然のことだろう?」

 しまいにはペット。
 文句を言いかけたジャンのことをダンテが止める。

「こぉ~んなところに連れてくる必要はないだろう? 早くくぅってしまえばいい」

「ペットにペットとしての立場を分からせる必要があるだろう? それに見せびらかすためだよ」

 ルシファーと悪魔の会話はいいのだけどたまたまルシファーのことを抱えていた圭は悪魔の顔が目の前に迫ってきて気が気ではない。

「みせびぃらぁかす?」

「そうだ。よいペット奴隷だろう? ……それにこのような供物を与えられる我らの力……分からぬわけではないよな?」

 ルシファーが少し魔力を放つ。

「ぬぅ……!」

 ルシファーから強い魔力を感じて悪魔が大きく三歩下がった。
 確かにジャンは髪の力を感じるほどの人間である。

 そんな人間を供物として捧げられる悪魔はかなり上位の存在であると悪魔は今さら気づいた。

「一つ聞きたい。なぜこんなところにお前らは集まっている?」

 ルシファーや圭がヤバそうな相手であると気づいた悪魔は急に視線を下にさまよわせて震え出す。
 先程まで偉そうな態度だったのに急変した。

 悪魔の社会は大きく力がものをいう。
 上位存在であるルシファーが起これば馬面が跡形もなく消し去られることをようやく理解したのである。

 ついでだから疑問に思っていたことを聞いておく。
 今となってはあまり使われることが少ない噴出口の周りにどうして多くの悪魔が集まっているのか。

「かいだぁんが使えなくなった」

「階段が? 何があった?」

「どぉこかのやつがぁ、爆発をおこぉした」

「爆発だと? 階段を破壊する行為は禁止されているだろう」

「現世からのぉ、流入があったぁ。その時にかいだぁんも、壊れた」

「……なるほどな」

「どういうことなんだ?」

「あのはらへり虫のせいだ」

 巨大な船舶が一つが丸ごと消えるような流入現象は圭たちの世界だけでなく悪魔の世界にも影響を及ぼしていた。
 流入現象が起こると圧縮されて現世から吸い込まれたものが魔界で大爆発を起こす。

 魔界への入り口はベルゼブブの居城に繋がっていた。
 本来ならばベルゼブブの城が消し飛ぶようなことが起きてもおかしくなかった。

 しかしベルゼブブはとっさに入り口を別の場所に移したのだ。
 その結果階段と呼ばれる悪魔の世界の階層を移動するための場所が爆発でダメージを受けてしまったのである。

 階段が使えなければテレポートポータルか噴出口しか階層移動の手段がない。
 テレポートポータルはお金がかかるのでみんな噴出口に集まっていたというわけなのである。

「くくく……あのはらへり虫やりおったな」

 めんどくさいことになった。
 けれどもそんなことより面白くてルシファーは笑う。

「何を笑ってるんだ?」

「階段は悪魔全体の共有物。たとえ傍若無人な悪魔でも階段で暴れることすら許されず、階段を少しでも壊せば大きなペナルティを課される。それが利用ができないほど破壊してしまったのなら……城を消し飛ばしていた方がマシだったかもしれん」

 階段は多くの悪魔が利用するために決して手出しをしてはならない聖域なのである。
 たとえ故意ではないにしても階段を破壊してしまったら悪魔全体から非難されることになる。

 魔王だろうと変わりがない。
 むしろ魔王の座を狙っている悪魔はここぞとばかりにベルゼブブを攻撃することだろう。

 流入現象に巻き込まれて力の弱っているベルゼブブがどう乗り切るのか。
 ルシファーはそのことを考えると愉快でしょうがない。

 もしかしたら長く続いた魔王の一柱がここで倒れることになるかもしれない。
 全ては余計な欲を出したせいである。

「大人しくしていればよかったものを」

 アザードが派手に活動したことも、ダンテたちルシファーの契約者に手を出したことも全てが結果的にベルゼブブの破滅につながっている。

「先程まではお主のこと消してやろうと思っていたが気分が良くなった。許してやろう」

「あ、ありがとぉござぁいます」

 すごく大柄な悪魔なのにすっかり縮こまって小さくなってしまった。

「それにしてもなぜこのようなたむろしている。さっさと上に行けばいいだろう」

「あれぇがげぇんいんです」

「あれ?」

 悪魔が一つの目を向けた先を圭もみる。穴の淵のところに悪魔が並んで立っている。
 槍のようなものを構えていて穴に他の悪魔を入らせないようにしているように見えた。
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