人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第九章

噴き上がる風5

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「かねぇを払わなきゃあ~とぉさないというから」

「なんだと?」

 よく見ると槍を構えた悪魔とその周りにいる悪魔の間にはピリついた空気が漂っている。

「ふぅむ、なるほどな」

「何が起きてるんですか?」

「なんてことはない。あくどい誰かがこの状況に目をつけて利用しているのだ」

 上に行くための方法である階段と噴出口はどちらもタダで利用できるものである。
 けれども階段は上位の悪魔によって管理されていて争いや破壊行為、当然のことながら階段を使うのにお金を取るなんてことも禁止されている。

 一方で噴出口は管理もされていない。
 階段がある今ではあまり利用する悪魔もいないが管理をする悪魔もおらず、噴出口の周りで喧嘩しようと誰が止めるわけでもない。

 そして今は階段が壊れてしまって利用不可能な状況である。
 そこに何者かが目をつけたのだ。

 噴出口を封鎖し、利用したいのなら金を払えと要求しているのだ。
 テレポートポータルよりは安い金額であるがそもそも階段を利用するような悪魔の多くはあまりお金も持っていない。

 だから多くの悪魔たちが噴出口の周りで足止めを食らっているのである。

「なぜ潰さん?」

 悪魔たるものがお金が払えないからとおめおめと引き下がるとは情けないとルシファーはため息をつく。

「どうやらぁ、マモン様のはいぃかのよぅでぇ」

「マモンの?」

「……マモンって?」

「強欲を司る悪魔ですよ。お金が大好きってやつです」

「あやつらしい……」

 圭の疑問にジャンが答えた。
 マモンは強欲を司る魔王の一人だった。

 どんな悪魔がこんなことしていたのかと疑問であったがルシファーはマモンだと聞いて納得した。
 マモンの強欲さは特に金品に関して強い。

 お金を搾り取れそうな状況にいち早く策を講じたのだろうとルシファーはため息をつく。
 他の魔物が暴動を起こさないのも封鎖をしている悪魔の後ろに魔王たる悪魔がいるから手を出せないのだ。

 魔王に目をつけられるのが怖いという話である。

「情けない……」

 結局のところ怖気付いて何もしないのだ。
 気概のある悪魔もいなくなったとルシファーは悩ましげに首を振る。

「マモンのやつはおるのか?」

「ここぉにはいない」

「ならばやってしまおう。ダンテ、圭、ジャン、あやつらを蹴散らしてしまえ」

「はっ、分かりました」

「ペットと言われてイライラしていたからちょうどいいですね」

「俺大丈夫かな……?」

「見たところ中級から低級だ。お主でも倒せる」

「私がフォローいたしますので」

「ありがとうございます、ジャンさん」

 魔王であるマモンが直接この場にいないのなら大きな問題はない。
 邪魔する悪魔など倒してしまえばいいということで圭たちは武器を手に取って封鎖している悪魔に向かう。

「なんだお前ら! 噴出口を利用したければ金を……」

「邪魔だ」

 近づいてくるダンテに槍を差し向けた悪魔は確かに目の前にいたはずのダンテの姿を見失った。
 後ろから声がして悪魔は振り返ろうとしたけれど体が動かなかった。

 上半身がずり落ち、残った下半身を見てようやく切り裂かれたのだと悪魔は気がついた。

「こいつ神の力が……」

「滅せよ、悪魔!」

 魔界にきて現世で感じていた神との繋がりが感じられなくなったとジャンは思っていた。
 けれどもジャンの中にある神の力である神聖力は失われていない。

 ジャンの持つ剣が白く光を放ち、切り裂かれた悪魔の傷口から焼けたような黒い煙が上がる。
 神聖力は悪魔にとって天敵でもある力であり、触れただけでも大きなダメージを負う。

「はっ!」

「どうだ?」

「これぐらいならなんとか戦えそうです」

 圭も剣で悪魔の首を切り落とす。
 悪魔と戦って大丈夫だろうかと思っていたけれど、槍を持った悪魔はそんなに強くなかった。

 圭でも割と余裕を持って戦うことができる。

「ピピ……フィーネモタタカエル……」

「フィーネは切り札だからな。もう少し我慢してくれ。それにくすぐったいぞ!」

 圭の服の中で装備として隠れているフィーネは少し不満そう。
 ずっと隠れているのも暇なのだ。

 戦いになったのなら自分も活躍できるのにと圭の脇腹をこっそりつついている。

「やれぇー!」

「いいぞぉー!」

 周りの悪魔は圭たちのことを応援している。
 悪魔たちは争い合う光景は大好物であるし噴出口を封鎖してお金を取っていた悪魔に対して不満もあったので応援にも力が入る。

 圭たちが悪魔を倒してくれれば悪魔たちはなんの文句もない。
 応援しているだけでマモンに目をつけられるはずもない。

「何をしている!」

 封鎖していた悪魔の数がかなり減ったところで翼の生えた悪魔が慌てたように飛んできた。

「ダンテ、やってしまえ」

「承知しました」

 それは噴出口を封鎖している悪魔の上司のようなものでようやく騒ぎを聞きつけたらしい。

「貴様ら! 我らが主人をどなたと心得る!」

「マモンだろう?」

「なっ……ぐわああああっ!」

 知っててやっているとニヤリと笑ったダンテは悪魔の翼を切り裂いた。
 叫びながら悪魔は地面に落ちてジャンの前まで転がる。
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