人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
547 / 550
第八章

人を呪わば穴二つ5

しおりを挟む
「ア……アア……アアアア!」

「にゃにゃ!」

「みんな避けろ!」

 何を思ったのか突撃してきたカイーダは聖壁にぶち当たった。
 聖者のニャロが展開した聖壁はかなりの強度を誇る。

 しかし気味の悪い叫び声を上げながら突撃してきたカイーダによって聖壁にヒビが入った。
 みんなが左右に割れるようにして回避すると、カイーダは間を通り抜けて階段を上がっていってしまった。

「……逃げた?」

「コユキ、魔石を壊すんだ!」

「うぃ!」

 完全フリーになった魔石をコユキがサッと吹き飛ばす。
 
「……マズイ、みんな早く上にあがるんだ!」

 普通に吹き飛ばしてしまっていたが、リュードは忘れていた。
 これまで呪いの模様を維持していた魔石がどうなったかを。

 体が大きくなる奇妙な感覚に襲われながらリュードたちは慌てて階段を上る。
 カタカタと揺れ出す魔石。

 そう、これまでの魔石はいきなり爆発してしまっていた。
 この地下に置いてある魔石は外にあるものよりも大きいものが多かった。

 つまり大きな爆発が起こるかもしれないと気づいたのだ。

「ニャロ!」

「にゃ! 聖壁!」

 地下から飛び出してニャロが階段に聖壁を張る。
 直後、魔石が地下で大爆発を起こして地面が大きく揺れた。

 一瞬衝撃でみんなの体が浮き上がるほどの爆発であった。

「み、みんな無事か?」

「だ、大丈夫……」

「大きさも元に戻ってるね」

「ほんとだ……」

「やったぞ! 元に戻ったぞ!」

 中心である元領主の館の呪いの模様を破壊したことで呪いが完全に効力を失った。
 気づいたらリュードたちの体のサイズも元に戻っていた。

 しかし喜んでもいられない。
 この事件の犯人であるカイーダは逃げてしまった。
 
 階段上で待機していた人たちに聞いてみるとカイーダは地下から飛び出してきて、そのまま外に逃げていってしまったようだ。
 初見ではとんでもなく臭う紫色の気持ち悪い塊なので、止められなくとも無理はない。
 
 呪われてあんな状態のカイーダをどうすべきなのか誰にも分からないが、野晒しにもしていられない。

「お、おい、アレを見ろ!」

「うわっ、なんだ?」

 カイーダが逃げたと思われる割れた窓から外を見ると、塀を乗り越えて一人、また一人と町の人たちが入ってきていた。
 頭から落ちて首が変な方向に曲がっても平然と立ち上がりゆっくりと屋敷の方に向かってくる。

 目からは正気を感じない様子を見るに、ホルドを守った女性たちのことを思い出させる。

「今度はなんなんだよ!」

「偽物……の人だよな」

 どうやら屋敷を囲む塀の外に押し寄せているようで、次々と人が入ってくる。
 呪いが解けたはずだから町の人たちも普通の大きさに戻っているはず。

 町の人がこんな風に襲ってくるわけがないので、この乗り越えてくる人たちは偽物の人たちということになる。
 困惑している間にも塀の中に入ってきた人たちは、屋敷の近くまで迫ってきている。

「ダメだったら頼むぞ、ニャロ!」

 割れた窓を乗り越えて入ってこようとする男性の腕をリュードが切り落とす。
 仮に本物の人であっても綺麗に切り落とした腕ならニャロがいれば繋げられる。

「……大丈夫、偽物だ!」

 切り落とされた腕が黒い塊と化す。
 予想通りであるけれど、迫り来る人々は偽物であった。

「クソッ……数が多すぎる!」

 見るとリュードが壊した門からも次々とゾンビのように偽物たちが入ってくる。
 偽物は町の人と同じ数だけいる。

 そんな数を全て相手にすることなどとても出来はしない。

「カイーダの野郎……」

「最後の悪あがきってやつか」

「呪いは止まったんじゃないのか?」

「うーん、おそらく小人化する呪いと偽物を作り出す呪いはまた別物なのにゃ。だから偽物は消えていない……けどカイーダの統制もカイーダ自身が呪いで出来ていないから、暴走してしまっているのかもしれないにゃ」

「こんな数どうしろってんだよ」

 ホルドを守っていた女性たちですら怪我も恐れずすごい力で襲いかかってくるので苦労した。
 今視界に映っているだけでも数は多く、とてもじゃないがここにいる人だけでは対処しきれない。

 町の人が全てこちらに来ているとしたら途方もない数を倒さねばならない。
 遅かれ早かれこの偽物ゾンビに飲み込まれてしまうことだろう。

 流石のリュードにも焦りの表情が浮かぶ。
 良い逆転の手段が思いつかないのだ。

「……コユキ、力を貸してほしいにゃ!」

「うん!」

「私に神聖力を全力で注いでほしいにゃ」

「分かったにゃ!」

「ニャロ、どうするつもりだ?」

「ここで全力出さなきゃ聖者が廃るにゃ!」

 コユキの神聖力が送られてニャロの体が淡く輝く。

「神よ! あなたの子に悪しき呪いを打ち破る力をお貸しくださいにゃ! 降臨!」

 ニャロは決断を下した。
 呪いには神聖力で対抗するしかない

 しかし丸々町一つかけられた呪いにニャロ一人では神聖力が足りない。
 そこでニャロは降臨を使うことにした。

 今みんなを助けるためにはどんな反動があろうと降臨しかなかった。
 限界を越える神聖力をニャロは引き出す。

 降臨で引き出した神聖力に加えてコユキの強い神聖力があれば百人力である。

「ニャロ……!」

「先生!」

 ニャロの体が眩く光る。
 心なしか偽物の人たちが引いている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...