548 / 550
第八章
人を呪わば穴二つ6
しおりを挟む
「神聖なる息吹、不浄を浄化し、安らかなる癒しを与え、我らを守り給え! ディバインエリア!」
ニャロは祈るように組んだ手を高く掲げる。
体の治療や強化をしてもらっている時も神聖力というものは感じるのだけど、それよりもさらに温かく優しく心安らぐようなものに包まれる感覚。
ニャロからフワリと神聖力が広がっていく。
屋敷、庭、塀を越えて外へ、そして偽物の人を包み込んでいきながら町中を覆っていく。
体の疲れが癒えていき、ピリピリとしていた神経が穏やかに落ち着いていく。
ケガをしていた警備隊のみんなの傷も治っていく。
「偽物たちが……」
さらに偽物の人たちは奇妙な叫び声をあげて苦しみ出す。
膝をついて頭を抱えて、そして皮膚が黒ずんでいって、やがて全ての偽物の人が黒い塊となってしまった。
「う……くっ!」
「ニャロ!」
段々とニャロの体の光が弱まって、街を包み込んでいた優しい雰囲気が消えていく。
体から力が抜けて倒れ込むニャロをリュードが抱き支える。
「大丈夫か?」
「たくさん力使って……体動かないにゃ…………それに」
「それに?」
「お腹空いたにゃ~」
監禁状態で何も口にしていなかったニャロ。
怒りがそれを忘れさせていたけれど、体の状態は決して万全とは程遠かった。
「もう少ししたら腹一杯食わせてやる。……とりあえず無事そうでよかったよ」
押し寄せていた偽物の人は黒い塊になってしまった。
みた感じ町中で同じように偽物の人が崩れてしまっているようだ。
「恥ずかしいにゃ……」
ニャロのお腹が盛大に鳴る。
顔が真っ赤になるが、降臨の影響で手で覆って表情を隠すこともできない。
「でも、役に立てて嬉しいにゃ」
「役に立ったどころじゃないさ。ニャロは俺たちの命の恩人だ」
「先にリュードが助けてくれたからおあいこにゃ」
「そうか。今は少し休んでくれ」
「うん……お腹も空いたけどすごく眠たいにゃ……」
どの道偽物の妨害のせいで時間を食ってしまった。
カイーダがどこに逃げたのかも分からない。
カイーダの確保も必要だけど、本当の町の人たちが無事かどうか確かめねばならない。
しかしニャロを動かすわけにいかないので、サンジェルがリュードたちに休んでいてくれと言って町に繰り出す。
心配だったけれど、戻ってきたサンジェルは複雑そうな顔でみんなの無事をリュードたちにも伝えた。
「町中あの黒い偽物だらけだ……みんな無事なことを確認して戻ってくる時に、アレはどうしたもんかって思っちゃってな」
柔らかく、わずかに異臭のする黒い塊は放っておいてなくなるものじゃなさそう。
なんなのかは分からないが、町中にそのままにはしておけないので片付ける必要もある。
みんなが無事なら次のことを考え始めていたサンジェルは、黒い塊をどうしたらいいのかと頭を悩ませ始めていたのであった。
「とりあえずカイーダの捜索隊を組織してどこに行ったか探すとしよう。リュードもよくやってくれたよ。カイーダは逃げてしまったがそれはこちらに任せてほしい。絶対に見つけ出して罪を償わせる」
「頼みましたよ」
「君たちが泊まっていた宿まで送ろう」
こうして呪いはリュードたちによって完全に壊されて小人化した人々は元に戻り、入れ替わっていた偽物の人たちは変な黒いものとなってしまった。
リュードはニャロをお姫様抱っこで宿まで連れていくとそっとベッドに寝かせたのであった。
ニャロは祈るように組んだ手を高く掲げる。
体の治療や強化をしてもらっている時も神聖力というものは感じるのだけど、それよりもさらに温かく優しく心安らぐようなものに包まれる感覚。
ニャロからフワリと神聖力が広がっていく。
屋敷、庭、塀を越えて外へ、そして偽物の人を包み込んでいきながら町中を覆っていく。
体の疲れが癒えていき、ピリピリとしていた神経が穏やかに落ち着いていく。
ケガをしていた警備隊のみんなの傷も治っていく。
「偽物たちが……」
さらに偽物の人たちは奇妙な叫び声をあげて苦しみ出す。
膝をついて頭を抱えて、そして皮膚が黒ずんでいって、やがて全ての偽物の人が黒い塊となってしまった。
「う……くっ!」
「ニャロ!」
段々とニャロの体の光が弱まって、街を包み込んでいた優しい雰囲気が消えていく。
体から力が抜けて倒れ込むニャロをリュードが抱き支える。
「大丈夫か?」
「たくさん力使って……体動かないにゃ…………それに」
「それに?」
「お腹空いたにゃ~」
監禁状態で何も口にしていなかったニャロ。
怒りがそれを忘れさせていたけれど、体の状態は決して万全とは程遠かった。
「もう少ししたら腹一杯食わせてやる。……とりあえず無事そうでよかったよ」
押し寄せていた偽物の人は黒い塊になってしまった。
みた感じ町中で同じように偽物の人が崩れてしまっているようだ。
「恥ずかしいにゃ……」
ニャロのお腹が盛大に鳴る。
顔が真っ赤になるが、降臨の影響で手で覆って表情を隠すこともできない。
「でも、役に立てて嬉しいにゃ」
「役に立ったどころじゃないさ。ニャロは俺たちの命の恩人だ」
「先にリュードが助けてくれたからおあいこにゃ」
「そうか。今は少し休んでくれ」
「うん……お腹も空いたけどすごく眠たいにゃ……」
どの道偽物の妨害のせいで時間を食ってしまった。
カイーダがどこに逃げたのかも分からない。
カイーダの確保も必要だけど、本当の町の人たちが無事かどうか確かめねばならない。
しかしニャロを動かすわけにいかないので、サンジェルがリュードたちに休んでいてくれと言って町に繰り出す。
心配だったけれど、戻ってきたサンジェルは複雑そうな顔でみんなの無事をリュードたちにも伝えた。
「町中あの黒い偽物だらけだ……みんな無事なことを確認して戻ってくる時に、アレはどうしたもんかって思っちゃってな」
柔らかく、わずかに異臭のする黒い塊は放っておいてなくなるものじゃなさそう。
なんなのかは分からないが、町中にそのままにはしておけないので片付ける必要もある。
みんなが無事なら次のことを考え始めていたサンジェルは、黒い塊をどうしたらいいのかと頭を悩ませ始めていたのであった。
「とりあえずカイーダの捜索隊を組織してどこに行ったか探すとしよう。リュードもよくやってくれたよ。カイーダは逃げてしまったがそれはこちらに任せてほしい。絶対に見つけ出して罪を償わせる」
「頼みましたよ」
「君たちが泊まっていた宿まで送ろう」
こうして呪いはリュードたちによって完全に壊されて小人化した人々は元に戻り、入れ替わっていた偽物の人たちは変な黒いものとなってしまった。
リュードはニャロをお姫様抱っこで宿まで連れていくとそっとベッドに寝かせたのであった。
2
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜
大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!?
どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる