人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第一章

託された思い1

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 地図上では村がある位置は一面広い森林になっていて、存在しない村となっている。
 東西南北のうち南に遥か下っていくと海にぶち当たり、それ以外の方角それぞれ別の国と接している。

 一応森林地帯を所有している国はあるのだけれど国の管理も一切入らない無国籍地帯と言ってもいい。
 村は森林の中の東寄りに存在している。

 西の国とは大きな山脈を隔てているし、北の国とは森の真ん中を通る大河と合流するそこそこ大きな支流をいくつも渡らなきゃいけない。
 つまり西と北の国に行くには現実的でなく、村がある森林が接している程度の関係性しかない。

 残るのはといえば東の国となる。
 実際村で行なっている行商は東の国に出向いて行なっている。
 
 ごくごく稀にあちらから来ることもあるけれどほとんどは村から赴いて物の売り買いをしている。
 森が危険で護衛などの手間を考えると商人側が来ることが厳しいから東の国から商人が来ることはほとんどないのだ。
 
 こちらからいけば立場が逆になるとはいかなくても足元を見られることは少ないし、対等に交渉出来るからそうしてもいるのだ。
 まあそんな行商事情はどうでもよい。

 村がある森は基本人が立ち入らない未開の地に近い土地であるのだが、リュードとルフォンはそんな森を西に渡って西の国と森とを隔てる山脈に来ていた。
 そうはいってもこの山脈を越えても西の国には着かない。

 西側は3つ山脈が並ぶように走っていて、今来ているのは一番手前の低い山脈である。
 この3つの山脈を越えなきゃ1番近い町にも着かないのである。
 
 一番低い山脈でも越えようと思ったらかなり大変そうな険しさと高さがある。
 ただ今回山脈を訪れたのは山を超えて西の国に行こうとしているからではない。

「ルフォン、大丈夫か?」

「うん、全然ヘーキ」

「へぇ……2人とも体力あるね。僕はもう結構疲れたよ」

「鍛冶屋の息子がそんなんでいいのか?」

「ハンマー振るのとはまた違うからね」

 正確にはリュードとルフォンの2人だけでもない。
 他にも来ている人は数人いて鍛冶屋の息子で竜人族のラッツや村長打倒候補の1人の人狼族のケルクなど含めて6人で移動している。

 事の起こりはといえば数日前だった。
 村を出ることに許可はいらないと言われてルフォンとも和解した後、何をお願いするか2人で考えていたところ武器が必要ではないかという結論に達した。

 もちろんリュードもルフォンも武器は持っている。
 力比べで使った刃潰しされた武器とは別に鍛治をやっているラッツの父親が作った武器を村人なら誰しもが所持している。
 
 狩りが解禁され時に大体の人は作ってもらえるのだ。
 ただそれらの武器は本気の一振りかと聞かれればそうではない。

 量産品なんて言えば殺されてしまうけれど実際村人に行き渡るようにそこそこの品質で作っているのが現状である。
 やはり本気で打った一本は品質が違う。

 ラッツの父親は頑固な昔気質タイプなので気に入らなきゃ本気の剣を打ってくれない。
 そこで村長へのお願いの形をとって本気の武器を造ってもらおうと考えたわけで意外なことにラッツの父親は二つ返事で引き受けてくれたのだ。

 元より力比べで優勝していたリュードやルフォンには注目してしたらしく次に武器を作るならこいつらだと予感があったと笑って言っていた。
 ただし条件なのかお願いなのか、リュードたちにやってほしいことが1つあった。

 武器を作るための材料が足りないというのである。
 リュードとルフォンに取りに行く手伝いをしてほしいというのが武器を作る条件だった。

 自分の武器のためだし快く引き受けたのだけど足りない材料というのが黒重鉄という金属で、今いる西側にある山脈から取れるものである。
 なので西の山脈に向かっていたのである。

 竜人族、というかこの村の武器製作は少し特殊で真人族があまり使わない黒重鉄を使う。
 普通の鉄と似たような性質を持つのだけど見た目も名前の通り真っ黒な金属。

 鉄よりも硬いらしく力で振り回す扱いが多い竜人族にはピッタリな金属なのである。
 逆に真人族の方ではあまり使われない金属で、理由として鉄よりもはるかに重い金属で同じサイズで剣を作っても重さは黒重鉄が重たくなりすぎるからなのだ。

 竜人族にしてみればその重さもいいのだけど真人族では重さのために取り回しに苦労する人の方が多い。
 量産品にも普通の鉄にわずかに黒重鉄を混ぜたものが使われているのだけど力の強い竜人族なら黒重鉄多めの重たい剣でも問題はあまり生じない。

 ラッツの親父の本気の剣では黒重鉄多めの剣を作ろうとしているようで多めの黒重鉄が必要だった。
 現在は黒重鉄の備蓄はさほど多くはなく黒重鉄を掘り出してくることが必要になったのである。

 場所の特殊性もさることながら鉱山を適当に掘ればいいというものでもない。
 当然リュードとルフォンの素人2人だけでとはいかない。

 鉱床の有る場所を知っているものや戦力兼掘り出し係としてリュードとルフォンの他に4人が一緒について来てくれていたのである。
 道中は魔物も少なく夜の襲撃もなかったから比較的楽に進み、遠くに見えていた山も次第に近づいてきた。

 いつのまにか木々も消えてところどころ地面に緑が見えるのみになっていき、やがてそり立つ崖とそこにポッカリと空いた洞窟の入り口に着いた。

「まあ今のところそんなに困難もないな」

「そうだね。このまま何事もなく終わればいいね」
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