人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第二章

不倶戴天5

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 寝転がると馬車に耳が近くて中の会話がハッキリ聞き取れてしまうのであぐらをかくようにして座ることにする。
 流石に歩きより馬車は速い。
 
 歩きだったら今日も野宿だったろうところを日が暮れる頃には次の町に着くことができた。
 そのまま同じ宿に泊まることにもなった。
 
 4人部屋が2つ空いていたので男女で分かれて泊まる。

「失礼でなければどちらまで向かわれるのかお伺いしても?」

 マジックボックスの袋の存在を隠すためにいくらか荷物は背負って移動している。
 ただ時々マジックボックスがあるために何があって何がないか忘れることもるのでリュードが荷物の整理をしているとマザキシが声をかけてきた。

「今はとりあえずトキュネスかな」

「トキュネス……ですか」

 表情には出さなくてもわずかに空気がピリついたのをリュードは感じた。

「トキュネスのご出身で?」

「いや、ヘランドに行くつもりでね。トキュネスはその途中だし、ちょっとした用があるんだ」

「そうですか、失礼しました」

 エミナのことはあえて言わなかった。
 なんだかトキュネスに対して特別な思いがあるように感じたからだ。

 ミエバシオはある種の有名さがあってトキュネスに対して特別な思いがあるということが今のところは分かった。
 ただこの2つを繋げるにはまだ情報も足りず、無理がある。

 なんの関係もない可能性もあるけれど、なんの関係もないとはリュードには思えなかった。
 荷物を整理して買うのかが必要なものを考えたり地図を眺めていたら日も落ちてきたので食事をヤノチたちと共にすることにした。
 
 ルフォンとヤノチはいつの間にかかなり仲良くなっている。
 やたらとエミナは静かなだけど、持ち前の人見知りが発動したかなんてリュードも考えていた。

 改めて旅の予定について話してみるとリュードたちとヤノチたちは途中まで同じ道を行くことが分かった。
 リュードたちはそのままトキュネスに入り、ヤノチたちはその手前まで行くのでほとんど同じ予定である。

 なのでヤノチたちの誘いで一緒に行くことになった。
 思惑としてヤノチたちは人手が欲しかったのだろうとリュードは考えた。
 
 確実に敵でなく、利益を求めてこない味方を側に置いておきたかったのだろう。
 リュードもそんな思惑には気づいていたけれど枷になることもないだろうと賛成し、2人にも意見を聞いた。
 
 エミナは反対も賛成もしなかったがルフォンは二つ返事で賛成したので誘いを受け入れることになった。

「エミナ、何かがあるのか?」

 少しエミナが暗い顔をしていることが気になったリュードが食事後にこっそりと声をかけた。

「う、ううん、なんでもないよ」

「あの3人と何かあったのか?」

「何もないよ……」

「もし一緒に行くのが嫌なら言ってくれ。途中で理由を付けて別れてもいいんだ」

 口ではなんともないと言いながら表情は晴れない。
 けれどエミナが自ら言い出さないのに聞き出すこともできない。

「大丈夫……これは私の問題だから」

「……そうか。だが何かあったら言ってくれよ? 俺たちはエミナの味方だから」

「ありがとうございます、リュードさん」

 ーーーーー

 エミナが何を心配しているのかはともかく、今のところヤノチたちは良い人であった。
 次の日からリュードたちは馬車に乗せてもらって移動する。

 配置は相変わらず馬車の中に女の子3人、御者台に2人、馬車の上に1人である。
 歩かなくて良いのはやはり楽である。

 結構揺れるけれど三半規管も強いリュードは乗り物酔いにも強く馬車の上であっても問題はない。
 馬車の中では相変わらず話をしている。
 
 なんだか気まずそうだったエミナも2人の勢いに押されて話すようになり、今ではキャイキャイと3人で話すようになっている。
 1人だと何か悩んでしまうようだがいざ会話し始めると同年代の女の子同士で気は合うようだ。
 
 広いカシタコウも馬車で進むと早いものだ。
 魔物に襲われることもなくのんびりと進んできて、あっという間にヤノチたちの目的地の近くまで来ていた。

 このまま何事もなさそうだ、なんて思っていると馬車が急に止まってリュードは馬車の上から落ちそうになった。
 何事かと体を起き上がらせてみると急カーブの先で馬車が横転しているのが見えた。

 周りは森で、不自然に道の真ん中を塞ぐ倒れた馬車。
 嫌な予感がした。

 馬車を起こすでもなく何かを話している馬車の持ち主っぽい2人組がいる。
 何をしているんだと思ってみていたら森の中で何かがキラリと光るのが視界の端に映った。

「危ない!」

「ぐわっ!」

 馬車の御者をしているマザキシを狙った矢が飛んできた。
 リュードが気づけたので何本かの矢は防ぐことができたが1本がマザキシの肩に刺さってしまった。

 森の中から何かが打ち上がり、赤い光を放つ。
 信号弾である。

 さらに森の中で次の矢を番えているのが見えて頭の中で警鐘が鳴る。

「ダカン、そこから降りろ!」

 リュードがマザキシの服を掴んで馬車の上から引きずり下ろす。
 ダカンもギリギリ御者台から転げ落ち、直後に御者台に矢が刺さる。

「ルフォン、エミナ、敵襲だ!」

 馬車のドアを叩いて2人を呼ぶ。
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