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第二章
異議のある者4
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痕跡を見ながら相手も時間がないのだなとリュードは思った。
森深くは人が立ち入らないので草が生い茂っている。
だから荷車に潰された轍の跡が草にハッキリと残っている。
さらには回ればもっと広いところもあるのに無理矢理狭い木々の間を通って行っている。
出来るだけ真っ直ぐに進みたい意思を感じる。
ぶつかりながら行くのは勝手だが、エミナたちを乗せているのだから丁寧に行ってほしいものだ。
分かりやすく跡が残っているのでリュードたちも細かく痕跡を追わなくても追いかけられた。
走りながら軽食を取り、昼も夜もなく追いかける。
いくら追いかけても追いつかない。
焚き火の跡がないから相手も長く休むようなことはしていないのである。
けれども所詮は真人族と馬。
真人族は荷車に乗って馬に引かせるので疲労少なく行けるだろうが、馬は休憩が必要になる。
全く休みもなく進み続けられはしないのである。
走りっぱなしとはいかないのでリュードたちが速さを緩めなきゃ距離は縮まっているはずだと追い続けた。
常に持ち歩いている荷物の食料も尽き、疲労を誤魔化すために飲んでいたポーションも無くなった頃ようやく荷車に追いついた。
しかし追いついたのはもう国境を越えてトキュネスに入り、人里の手前に来てからだった。
「少し様子を見よう」
人通りもある中で襲い掛かればリュードたちの方が悪人にされてしまう。
それにヤノチの事情を考えた時にトキュネスで騒ぎを起こすのはまずいと思った。
相手も速さを落としたので町中でも追跡は楽であった。
追跡されているなど思ってもいないようで警戒もしていない相手を追いかけ続ける。
このまま町の外に出るなら襲撃するつもりだった。
けれども荷車は町中を行き、真っ直ぐ町を抜けていくように見えない。
時折道ゆく人が荷車の男性に頭を下げている。
この辺りでは顔を知られている人物で拠点が近くにあるという予感がリュードにはあった。
町の中心部近くまで行った荷車はある邸宅の門をくぐっていった。
「すいません、こちらはどなたの邸宅ですか?」
道にでも迷いふらっと立ち寄った何も知らない風を装ってリュードが門番に声をかけた
若干の怪しさはあってもとぼけた感じを出しておけば邪険にはされないだろうと思った
「ん? なんだお前。こちらはキンミッコ様のご邸宅だ」
持っている槍の先をほんのわずかにリュードの方に傾けて門番が警戒する。
接近したわけではないから槍を向けるまでもない。
「これが、そうなんですか。すごい立派な邸宅ですね。このような立派なお家を守る騎士様もすごい方なんですね」
「む、いや、ごほん、その通りだ」
「ちょっと道に迷ったら気になったので、ありがとうございます、騎士様」
ペコリと頭を下げてその場を離れるリュード。
少し振り返ると門番は先ほどまでと異なって背筋を伸ばし、堂々とした騎士風を演じている。
槍だけ持たされているようなただの門番が騎士なわけもない。
けれど単なる門番でも騎士様なんて言われたら気分も良くなる。
きっとあの門番の記憶に残るのは褒められて気分が良くなったことだけでリュードのことを覚えてなんかいないだろう。
門から離れて角を曲がり、待機していたルフォンと合流する。
予想通り巨大な家はキンミッコの邸宅だった。
ある種当たっていてほしくはなかった予想である。
状況が変わってしまった。
追いかける必要がなくなった代わりに連れ戻すのは困難になった。
このまま連れ戻しに行きたいがリュードもルフォンも疲労が溜まっている。
簡単な食事しかしていないのでお腹も空いている。
ヤノチの件は明らかに国同士の関わりに首を突っ込むことになる。
貴族や国の争いなんて関わるもんでない。
関わりたくないのだが、エミナが誘拐されてしまった以上今回は関わらざるを得ない。
「どうするリューちゃん?」
「とりあえず腹ごしらえだな」
エミナを見捨てるという選択肢はリュードとルフォンの中にはない。
どうするという質問はどう助けるという質問なのである。
けれど考え事をするにはエネルギーがいる。
空っぽの腹では良い考えも浮かばない。
お金は持ってきているので適当なお店に入る。
久々のまともな食事なので大量に頼んでテーブルいっぱいに並べる。
2人で食べるにしては多い量に店の人も驚いていたがリュードもルフォンも食べる方なので問題はない。
「リューちゃん……どうしよう?」
耳がシオッとヘタれたルフォンが重々しく口を開いた。
ルフォンも邸宅に突入して助け出すのは厳しいと分かっている。
大きな邸宅のどこに2人がいるのか分からない。
貴族の家を襲えば死刑ものの犯罪。
逃げても指名手配になる。
トキュネスには一生近づけなくなるかもしれない。
別に犯罪者になることもトキュネスに来られなくなることも構わないけれど、下手するとエミナもそうなってしまうことが問題なのである。
「おい、聞いたか? 結婚するらしいぞ」
「結婚? 誰がだよ?」
「キンミッコとパノンの娘が結婚するらしいってよ」
リュードとルフォンの食事の手が止まった。
森深くは人が立ち入らないので草が生い茂っている。
だから荷車に潰された轍の跡が草にハッキリと残っている。
さらには回ればもっと広いところもあるのに無理矢理狭い木々の間を通って行っている。
出来るだけ真っ直ぐに進みたい意思を感じる。
ぶつかりながら行くのは勝手だが、エミナたちを乗せているのだから丁寧に行ってほしいものだ。
分かりやすく跡が残っているのでリュードたちも細かく痕跡を追わなくても追いかけられた。
走りながら軽食を取り、昼も夜もなく追いかける。
いくら追いかけても追いつかない。
焚き火の跡がないから相手も長く休むようなことはしていないのである。
けれども所詮は真人族と馬。
真人族は荷車に乗って馬に引かせるので疲労少なく行けるだろうが、馬は休憩が必要になる。
全く休みもなく進み続けられはしないのである。
走りっぱなしとはいかないのでリュードたちが速さを緩めなきゃ距離は縮まっているはずだと追い続けた。
常に持ち歩いている荷物の食料も尽き、疲労を誤魔化すために飲んでいたポーションも無くなった頃ようやく荷車に追いついた。
しかし追いついたのはもう国境を越えてトキュネスに入り、人里の手前に来てからだった。
「少し様子を見よう」
人通りもある中で襲い掛かればリュードたちの方が悪人にされてしまう。
それにヤノチの事情を考えた時にトキュネスで騒ぎを起こすのはまずいと思った。
相手も速さを落としたので町中でも追跡は楽であった。
追跡されているなど思ってもいないようで警戒もしていない相手を追いかけ続ける。
このまま町の外に出るなら襲撃するつもりだった。
けれども荷車は町中を行き、真っ直ぐ町を抜けていくように見えない。
時折道ゆく人が荷車の男性に頭を下げている。
この辺りでは顔を知られている人物で拠点が近くにあるという予感がリュードにはあった。
町の中心部近くまで行った荷車はある邸宅の門をくぐっていった。
「すいません、こちらはどなたの邸宅ですか?」
道にでも迷いふらっと立ち寄った何も知らない風を装ってリュードが門番に声をかけた
若干の怪しさはあってもとぼけた感じを出しておけば邪険にはされないだろうと思った
「ん? なんだお前。こちらはキンミッコ様のご邸宅だ」
持っている槍の先をほんのわずかにリュードの方に傾けて門番が警戒する。
接近したわけではないから槍を向けるまでもない。
「これが、そうなんですか。すごい立派な邸宅ですね。このような立派なお家を守る騎士様もすごい方なんですね」
「む、いや、ごほん、その通りだ」
「ちょっと道に迷ったら気になったので、ありがとうございます、騎士様」
ペコリと頭を下げてその場を離れるリュード。
少し振り返ると門番は先ほどまでと異なって背筋を伸ばし、堂々とした騎士風を演じている。
槍だけ持たされているようなただの門番が騎士なわけもない。
けれど単なる門番でも騎士様なんて言われたら気分も良くなる。
きっとあの門番の記憶に残るのは褒められて気分が良くなったことだけでリュードのことを覚えてなんかいないだろう。
門から離れて角を曲がり、待機していたルフォンと合流する。
予想通り巨大な家はキンミッコの邸宅だった。
ある種当たっていてほしくはなかった予想である。
状況が変わってしまった。
追いかける必要がなくなった代わりに連れ戻すのは困難になった。
このまま連れ戻しに行きたいがリュードもルフォンも疲労が溜まっている。
簡単な食事しかしていないのでお腹も空いている。
ヤノチの件は明らかに国同士の関わりに首を突っ込むことになる。
貴族や国の争いなんて関わるもんでない。
関わりたくないのだが、エミナが誘拐されてしまった以上今回は関わらざるを得ない。
「どうするリューちゃん?」
「とりあえず腹ごしらえだな」
エミナを見捨てるという選択肢はリュードとルフォンの中にはない。
どうするという質問はどう助けるという質問なのである。
けれど考え事をするにはエネルギーがいる。
空っぽの腹では良い考えも浮かばない。
お金は持ってきているので適当なお店に入る。
久々のまともな食事なので大量に頼んでテーブルいっぱいに並べる。
2人で食べるにしては多い量に店の人も驚いていたがリュードもルフォンも食べる方なので問題はない。
「リューちゃん……どうしよう?」
耳がシオッとヘタれたルフォンが重々しく口を開いた。
ルフォンも邸宅に突入して助け出すのは厳しいと分かっている。
大きな邸宅のどこに2人がいるのか分からない。
貴族の家を襲えば死刑ものの犯罪。
逃げても指名手配になる。
トキュネスには一生近づけなくなるかもしれない。
別に犯罪者になることもトキュネスに来られなくなることも構わないけれど、下手するとエミナもそうなってしまうことが問題なのである。
「おい、聞いたか? 結婚するらしいぞ」
「結婚? 誰がだよ?」
「キンミッコとパノンの娘が結婚するらしいってよ」
リュードとルフォンの食事の手が止まった。
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