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第三章
祖父譲りの正義感2
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「構わないさ。俺も身内がスケルトンになってしまったなんて言われたら受け入れられないだろう」
遺族に遺品を渡す。
この時点で感謝されるばかりでないことも予想はできていた。
アリアセンのようにそうした事実を受け入れがたい人だって当然いる。
だから批判されたり罵倒される可能性があることは覚悟はしていた。
残された者の悲しみはある程度理解できる。
当然のこととして受け入れるつもりはないけれどこれもまた責任なのだとリュードは思っていた。
今はアリアセンも反省しているのでリュードも怒っていない。
夕日に照らされていない耳も真っ赤になっているのも見なかったことにしてやろうと思う。
「おじいちゃんはどんな時でも冷静沈着、剣の実力だけでなく判断力も優れた人だった、なんて毎日聞かされてたのに。私もまだまだだな。きっと私がスケルトンになったら自分のことなんてわからなくなっちゃうんだろうな」
磨いていた盾を置いてアリアセンは膝を抱える。
「一国の騎士団の副団長になったんだろ? 頑張ってるじゃないか」
ガイデンは騎士団長だった。
なら立場だけで見ればアリアセンもガイデンにあと1歩で並ぶところまで来ている。
「ううん、私なんか比べ物にならないよ。お父さんもおじいちゃんも騎士団長だったから2人に気を使って私もお飾りで副団長にしてもらっただけ」
親の七光りをアリアセンが押し出しているのではないけれども周りは勝手に気を使う。
決して実力だけが判断されて副団長に命じられたのではない。
そのようにアリアセンは思っていた。
アリアセンの目は焚き火の光を浴びているにもかかわらず暗く見えていた。
「私なんて……」
「誰か助けてください!」
軽い鬱モードに入りそうなアリアセンの耳に悲痛な叫び声が聞こえてくる。
もうすっかりあたりは暗くなっていて良く見えていなかったけれど1人の女性が走ってきていた。
「旅のお方、どうか助けてください!」
息を切らせて脇目も振らず走ってきた女性は靴も履いていない。
服装も外出するものではなくて薄手の室内着である。
「私は第3騎士団の副団長アリアセン・マクフェウスです。何があったんですか?」
膝を抱えていたアリアセンはすぐさま立ち上がり、ピンと背筋を伸ばして女性に対応する。
「村が……何者かに襲われて……ハラヤ村が…………」
アリアセンにすがるようにして崩れ落ちる女性。
どれほどの距離を靴も履かずにはしってきたのか。
疲労の限界を迎えた女性はそのまま気を失ってしまった。
「……ハラヤ村」
アリアセンはエミナに女性を預けると荷物の中から地図を取り出す。
今いる場所を確認してその周辺にある村を探す。
「ここか……!」
村の位置は今いると思われるところから遠くない。
「まてまて……」
盾と剣を掴んで飛び出していこうとするアリアセンをリュードが止める。
「なぜ止める!」
「1人でどこに行こうとしてるんだ?」
答えの分かりきった質問。
何をしようとしてるかなんて聞くまでもないが何か策や思惑があるならリュードたちも聞いておくべきだ。
「困ってる人がいるのだ、行かねばならないだろう」
「それは分かるけど1人でか?」
女性が気絶してしまったので場所しか聞けていない。
相手が何者なのかまだ不明。
村を襲うようなやつが1人なわけが無い。
想定されるのは複数人。
そんな中にアリアセンは考えもなしに単身突撃しようとしている。
「この問題はこの国で起きたものだ。賓客であるあなた達を巻き込むわけにはいきません」
冷静だか頭に血が上ってるんだか分からないなとリュードは眉をひそめた。
「そうだな、確かに俺たちは関係ない」
「なら……!」
リュードの言い方にカチンとくる。
やはりリュードのことは好きになれそうにないと思いながら押しのけて行こうとしたが、リュードの力は強くて動かない。
「俺たちは貴賓なんだろ?1人で行ってお前がやられたらどうするつもりだ?けが人を1人残してお前が戻ってこなきゃ俺たちは道も分からない」
「うっ……」
リュードの言うことは正しい。
アリアセンは今リュードたちの案内人をするように命じられている。
大事な賓客だとファランドールからもよく言いつけられている。
勝手に置いて言ってしまうと国からの命令に逆らうことになってしまう。
実際リュードは自前で地図を保有しているし、地図がなくても道にそって歩いていけば迷子になることはほとんどない。
「危機に瀕している民がいるというのに私に見捨てろというのか!」
今にもリュードに向かって剣を抜きそうな剣幕のアリアセン。
「そんな事言わないさ」
「ならどうして邪魔をする!」
「1人で勝手に行くなと言っているんだ!」
これまで穏やかに話していたリュードのいきなりの叱責。
アリアセンが驚いて1歩下がる。
よく分からないけど女性の介抱をしていたエミナも驚いたように目を見開いている。
エミナの前でも声を荒らげたことがなかったから意外なリュードの姿に驚いていた。
アリアセンは完全に熱くなっている。
頭に血が上って冷静さを欠いていて、リュードの方が冷静になだめすかしてみてもただアリアセンは反発するだけになってしまう。
リュードは毅然とした態度でアリアセンの目を見つめる。
頭の中でリュードの言葉がこだまして、アリアセンは少しだけ上った血が下りてきた。
遺族に遺品を渡す。
この時点で感謝されるばかりでないことも予想はできていた。
アリアセンのようにそうした事実を受け入れがたい人だって当然いる。
だから批判されたり罵倒される可能性があることは覚悟はしていた。
残された者の悲しみはある程度理解できる。
当然のこととして受け入れるつもりはないけれどこれもまた責任なのだとリュードは思っていた。
今はアリアセンも反省しているのでリュードも怒っていない。
夕日に照らされていない耳も真っ赤になっているのも見なかったことにしてやろうと思う。
「おじいちゃんはどんな時でも冷静沈着、剣の実力だけでなく判断力も優れた人だった、なんて毎日聞かされてたのに。私もまだまだだな。きっと私がスケルトンになったら自分のことなんてわからなくなっちゃうんだろうな」
磨いていた盾を置いてアリアセンは膝を抱える。
「一国の騎士団の副団長になったんだろ? 頑張ってるじゃないか」
ガイデンは騎士団長だった。
なら立場だけで見ればアリアセンもガイデンにあと1歩で並ぶところまで来ている。
「ううん、私なんか比べ物にならないよ。お父さんもおじいちゃんも騎士団長だったから2人に気を使って私もお飾りで副団長にしてもらっただけ」
親の七光りをアリアセンが押し出しているのではないけれども周りは勝手に気を使う。
決して実力だけが判断されて副団長に命じられたのではない。
そのようにアリアセンは思っていた。
アリアセンの目は焚き火の光を浴びているにもかかわらず暗く見えていた。
「私なんて……」
「誰か助けてください!」
軽い鬱モードに入りそうなアリアセンの耳に悲痛な叫び声が聞こえてくる。
もうすっかりあたりは暗くなっていて良く見えていなかったけれど1人の女性が走ってきていた。
「旅のお方、どうか助けてください!」
息を切らせて脇目も振らず走ってきた女性は靴も履いていない。
服装も外出するものではなくて薄手の室内着である。
「私は第3騎士団の副団長アリアセン・マクフェウスです。何があったんですか?」
膝を抱えていたアリアセンはすぐさま立ち上がり、ピンと背筋を伸ばして女性に対応する。
「村が……何者かに襲われて……ハラヤ村が…………」
アリアセンにすがるようにして崩れ落ちる女性。
どれほどの距離を靴も履かずにはしってきたのか。
疲労の限界を迎えた女性はそのまま気を失ってしまった。
「……ハラヤ村」
アリアセンはエミナに女性を預けると荷物の中から地図を取り出す。
今いる場所を確認してその周辺にある村を探す。
「ここか……!」
村の位置は今いると思われるところから遠くない。
「まてまて……」
盾と剣を掴んで飛び出していこうとするアリアセンをリュードが止める。
「なぜ止める!」
「1人でどこに行こうとしてるんだ?」
答えの分かりきった質問。
何をしようとしてるかなんて聞くまでもないが何か策や思惑があるならリュードたちも聞いておくべきだ。
「困ってる人がいるのだ、行かねばならないだろう」
「それは分かるけど1人でか?」
女性が気絶してしまったので場所しか聞けていない。
相手が何者なのかまだ不明。
村を襲うようなやつが1人なわけが無い。
想定されるのは複数人。
そんな中にアリアセンは考えもなしに単身突撃しようとしている。
「この問題はこの国で起きたものだ。賓客であるあなた達を巻き込むわけにはいきません」
冷静だか頭に血が上ってるんだか分からないなとリュードは眉をひそめた。
「そうだな、確かに俺たちは関係ない」
「なら……!」
リュードの言い方にカチンとくる。
やはりリュードのことは好きになれそうにないと思いながら押しのけて行こうとしたが、リュードの力は強くて動かない。
「俺たちは貴賓なんだろ?1人で行ってお前がやられたらどうするつもりだ?けが人を1人残してお前が戻ってこなきゃ俺たちは道も分からない」
「うっ……」
リュードの言うことは正しい。
アリアセンは今リュードたちの案内人をするように命じられている。
大事な賓客だとファランドールからもよく言いつけられている。
勝手に置いて言ってしまうと国からの命令に逆らうことになってしまう。
実際リュードは自前で地図を保有しているし、地図がなくても道にそって歩いていけば迷子になることはほとんどない。
「危機に瀕している民がいるというのに私に見捨てろというのか!」
今にもリュードに向かって剣を抜きそうな剣幕のアリアセン。
「そんな事言わないさ」
「ならどうして邪魔をする!」
「1人で勝手に行くなと言っているんだ!」
これまで穏やかに話していたリュードのいきなりの叱責。
アリアセンが驚いて1歩下がる。
よく分からないけど女性の介抱をしていたエミナも驚いたように目を見開いている。
エミナの前でも声を荒らげたことがなかったから意外なリュードの姿に驚いていた。
アリアセンは完全に熱くなっている。
頭に血が上って冷静さを欠いていて、リュードの方が冷静になだめすかしてみてもただアリアセンは反発するだけになってしまう。
リュードは毅然とした態度でアリアセンの目を見つめる。
頭の中でリュードの言葉がこだまして、アリアセンは少しだけ上った血が下りてきた。
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