人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

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第三章

熱き砂浜の戦い7

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 水分補給をしたり柔軟をする時間が与えられてリュードたちも体を軽く動かす。
 ようやく辛さによる汗と口の痛みも引いてきたので体調は悪くない。

 まずは男性部門からの開始となった。
 最初の砂山崩しで脱落したペアを抜いた20人を4つに分け予選とする。
 
 そして勝ち上がった4人で決勝となる旗取りをする。
 どの組み合わせになるのかはくじ引きだった。

 くじ引きの結果、うまくバーナードとは別の組になった。
 ひとまず決勝まで上がることができそう、そう思ってバーナードを見ると軽くウインクを返してきた。

 バーナードの言う通りでライバルとなりそうなのはきっとバーナード・エリザペアになる。
 そんな予感を感じながらリュードは砂浜にうつ伏せになってスタートを待った。

 スタートの合図がかかると体を反転させながら勢いよく立ち上がって強く砂を蹴る。
 リュードの前や横に並び立つものはおらず、砂にまみれるスライディングもすることなく余裕で旗を取ることができた。

 予選は勝ち抜くことができた。
 決勝戦のために集められた4人の中には当然のようにバーナードもいる。

「君なら勝ち上がってくると思ったよ」

 入念にストレッチをするバーナード。
 何組か本気で挑んでいるなと分かるペアもあるのだが、その中でもバーナード・エリザペアは本気度もトップであるように感じる。

 もちろんゆるーく競技を楽しんでいるペアも多い。

「きっと普通に走れば君の方が早いのだろうな」

 決勝戦での走る距離は予選の時よりも長い。
 相手の方が足が速いと認めてしまえばそれはやる前から敗北宣言しているようなものではないか。

 自信満々に負けを認めるような発言をしたバーナードの顔をまじまじと見てしまう。
 それに気づいたバーナードは白い歯を見せて笑う。

「しかしだな、砂浜には魔物が潜んでいるのさ。もちろん、本当の魔物ではないぞ?」

 バーナードの言葉の真意が分からない。
 自分の方が遅いと言っているのにそれでもなお余裕のある態度に見えるバーナードに不安を覚えつつもリュードはスタートの体勢をとった。

「旗取り男性部門決勝戦を始めます! よーい……スタートぉ!」

 ウェッツォがスタートの合図に手を振り下ろして旗取りの決勝戦が始まった。
 まず飛び出したのはリュード。

 砂を蹴って4人の中で1歩2歩と前に出る。
 スタートダッシュはまずまずだ。
 
 このまま後ろを引き離していければと思ったら声が聞こえた。

「まだまだだな。君は砂を解っていない」

 横に並ぶ者はいない。
 旗まで一直線、そう思っていたのに。

 全身ムキムキの筋肉で重そうな体をしているバーナードがリュードの前に出た。
 スタートの時点ではリュードの方が前にいたのに、バーナードに追い越されてしまった。

 リュードが慌てて速度を上げようとしたが踏み込んでも足は砂に大きく食い込むだけでスピードに乗れない。
 バーナードと競い合うように旗に飛びかかったものの、最終的にリュードよりも半歩前に出ていたバーナードの手に旗が収まることになった。

 リュードの方が足が速い。
 それは確かなのに。

 それなのにバーナードに追いつかれて、前に出られてしまった。
 敗北感。
 
 久々に味わった感覚。
 焼けた肌、極限まで絞った筋骨隆々な体、際どいブーメランパンツ。
 
 己の肉体美を見せつけるかのようにポージングを取るスキンヘッドのナイスガイにリュードは負けた。

「はっ、はーん! それじゃダメだぞ、ボウヤ」

「コイツ……ムカつく!」

 旗を掲げるようにポージングをするバーナードに賞賛の声が飛ぶ。
 本当に僅差だった。

 見ている観客としても面白い戦いだったのでリュードを慰める声もあった。

「砂浜には魔物がいると言ったではないか」

「何という名勝負! 先に飛び出したのはリュードだったが驚異的な追い上げを見せたバーナードが逆転。そしてそのまま旗を掴み取った! 流石は前回大会覇者! シューナリュードさんもかなり惜しい戦いでした」

「なぜ……」

「知りたいかい?」

 バーナードは落ち込むリュードに手を差し出した。
 その手をとってリュードは立ち上がり、体の砂を払う。

「俺のほうが足は速いはずなのにどうしてバーナードさんに追い越されたのか分かりません」

「ふっ、簡単なことさ。君は砂の上を走ることを分かっていないのさ。地上と同じ感覚で同じように走るだけではダメなのさ。ガムシャラに足に力を加えてしまうとむしろ速さに乗れなくなる。特にここの砂は沈みやすいからね」

 バーナードは快くリュードに負けた理由を説明してくれた。
 やり方や経験の差がモロに競技の勝敗に直結してきた。

 リュードは砂の上を走ることを甘く見ていた。
 勝てるだろうとたかをくくってしまった。
 
 スタートダッシュが決まって勝てると思った。
 勝てるだろうと慢心してしまったのだ。

 もっと砂の上で走ることを分析するべきだった。
 魔物が潜んでいる。

 この言葉の意味ももっと考えればよかった。

「くそっ……」

 たとえお遊びの競技でも負ければ悔しいものである。

「リューちゃん……」

 反省するリュードにルフォンはかける言葉が見つからない。
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