人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第三章

価値あるご褒美1

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 スナハマバトルを終えた次の日、リュードとルフォンはギダンダ商会に呼ばれた。
 優勝賞品の引渡しのためである。

 香辛料1年分ともなるとその場で渡せる量ではない。
 ついでに魔道具もくれることになっているので、何にしても商会まで取りに行く必要があった。

 ギダンダ商会はヘランドの中でも割と大きい商会で良い場所に大きな商館を構えている。

「ようこそいらっしゃいました。改めまして、優勝おめでとうございます」

 商館に入って名前を告げると奥から商会長でもあるバイオプラが出てきて出迎えてくれた。
 バイオプラに案内されて応接室に通されるとそこにはすでに香辛料が用意してあった。

 部屋に入るとすぐに感じられたニオイに2人は顔をしかめた。
 広めの応接室が狭く感じられるほどたくさんの袋が置かれていて、いろいろな香辛料のニオイが混ざってなんとも言えない香りになっている。

 1年分とはどの程度なのかずっと疑問に思っていたのだが旅の荷物を入れるような大袋いっぱいに香辛料が入っている。
 それがそれぞれの香辛料分だけある。

「こちらがリストになっておりますのでよければご確認ください」

 びっちりと書き込まれたリスト。
 見ただけでかなりの種類がありそうだ。

 本気で色々な香辛料を用意してくれている。
 すごいものだなとリュードは驚いた。

 リストはルフォンが受け取って袋を一つ一つ確認していく。
 後ろからリュードも覗き込むが、リストを見ても知らない単語の羅列にしか見えない。

「お時間いただきますね」

「え、ええ、確認は大事ですからね」

 香辛料の名前なんか前世のものだってほとんど知らないのに香辛料が貴重なこの世界ではより触れることの少ないものである。
 だからリストを見てもそれが何なのかリュードには分からず、また袋の中の香辛料を見てもリストの名前と合っているかも判別できなかった。

 ルフォンは分かっているのかいないのか、中身をちゃんと確認しているように見える。
 ジッとリストを眺めていると中には塩や胡椒、砂糖といった普通のものまで入っていた。

 実を言うとルフォンにも分かっていないものは多数あった。
 けれど自分の知らない香辛料や本でしか見たことのない香辛料があってルフォンの興奮は抑えきれず、ずっと尻尾がちぎれんばかりに振られていた。

「どうですか、せっかくの賞品ですのでたくさんご用意させてはいただいたのですがなんせこの量。すべてお持ちになるのはいささか難しいと思います。ご希望でしたらこの場で私たちが買い取らせていただきますが、いかかでしょうか?」

 ルフォンが確認し終わるのを待ってバイオプラが両手を揉みながら提案を口にする。

「全てを換金なさることも出来ますし、気に入ったものがございましたら小袋に分けてお持ち帰りもできます。全ての香辛料を持ち帰るのは馬車があっても厳しいかもしれませんからね」

 バイオプラの言葉を受けてなるほどとリュードは思った。
 なぜ高いはずの香辛料を、しかもこんな大量に賞品に出来たのか。
 
 それはこんな小狡いやり方をしていたからであった。
 一見して高価な香辛料を賞品にして商会の宣伝とイベントの人集めをする。
 
 しかしその実バイオプラは香辛料をそのまま全て優勝者にくれてやるつもりなど毛頭なかった。
 バイオプラが取った策は量を減らすとか誤魔化すとかそんなものではなかった。
 
 逆に大量の香辛料を用意してしまったのだ。
 一般の人どころか商人ですら簡単に動かせないほどの量の香辛料。
 
 それなりにニオイもするし一般の人では到底持っては帰れない。
 そこで提案するのだ。
 
 持ち運べない、使いきれないなら私たちが買い取りますよ、と。
 無理にでも持って帰る事ができない量なのでその提案を飲むしかない。
 
 持っていくべきところに持っていけば高値がつく香辛料でも普通の人にその相場はわからない。
 そもそもリュードのようにどの香辛料がどれなのかも分からない人が多数だろう。

 なので商会は安く香辛料を買い叩く。
 そして手元に香辛料を戻して普通に交易に戻すのだ。

 多少の損失は出るだろうか優勝賞品を出すよりも安く、太っ腹に見せて、宣伝効果もあり、優勝者は現金が手に入り皆ハッピーという構図。
 出費を小さくしながら最大の効果を生むように考えられた作戦だった。
 
 賞品はちゃんと用意している以上文句は言わせない。
 1年分と銘打っているし多くて持ち帰れないのは商会側の責任ではないと言い張ることもできる。

 見知った調味料のようなものも混ぜてある。
 大抵の場合よく使う塩や分かりやすく手に入りにくい砂糖なんかを持ち帰ってみんな満足する。

 冒険者らしいペアならそれほど多くのものは持っていけないはずとバイオプラは内心ほくそ笑んでいた。

「いや、全部持って帰る」

「へっ?」

 聞き間違いだろうかとバイオプラは耳を疑った。
 リュードの予想外の返事に固まってしまった。

 持って帰って欲しくない。
 そんな意図の透けてみえる提案に乗っかってやることはない。

 元々全部持ち帰るつもりだったしリュードはニヤリと笑って返事をした。

「ば、馬車でもお持ちで?」

 高ランクの冒険者ならそんなこともありうる。
 だが、馬車を持っているからといって全部乗せ切れるわけがないけれど。
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