人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
156 / 550
第三章

アレが来た

しおりを挟む
「王様、急ぎ報告があります!」

 宰相であるファランドールが慌ただしく国王であるドランダラスの執務室に入ってくる。
 普段は落ち着き払っていて慌てたりする事の少ないファランドールの異常な様子にドランダラスは仕事の手を止めた。

「どうした、ファランドール。犯罪者の一掃に何か問題でも起きたか?」

 アリアセンから上がってきた報告を受けてドランダラスは驚いた。
 安定していると思っていた自分の治世において村一つが滅ぼされてしまうなんて蛮行が起きてしまうなんて。

 すぐに怒りが湧いてきて細かな調査をすることを命じた。
 兄から託されることになった王位をこのようなことで汚してはならないとドランダラスの行動は早かった。

 アリアセンが単に村の壊滅に立ち会ったのではなくリュードたちと村人の一部を救出したともあった。
 遺品を届けてくれた恩人に対しても国の醜態を晒すことになってしまったので何も知らなかったことを恥じている。

 調査を開始してすぐに見慣れない輩が増えた話や暴力沙汰が多く発生しているなどの報告があった。
 ドランダラスはすぐに決断を下した。

 ちょうど北側に兵力を集めてある。
 そこから南下させてより一層の治安維持に注力しようと。

 そした指示を出してからだいぶ時間も経っている。
 もうすでに北側の騎士団は動き出している。
 
 荒れたものたちの集まりだからもしかしたら手練れがいる可能性はある。
 騎士団に何か損害が生じたのかもしれないとドランダラスは考えた。

「大干潮でございます!」

「なんだと!」

 どんな報告でも冷静に受け止めよう。
 そんなドランダラスの心構えをファランドールの報告は大きな衝撃でもって打ち砕いた。

 予想をはるかに超える衝撃をもった言葉だった。
 大干潮は自然現象の1つ。
 
 しかしヘランド王国にとっては国を脅かす自然災害と言ってもいい。
 潮が大きく引いてしまう現象で短くても数日間は続き、長ければ一年ほどにもなってしまうことも過去にあった。

 大干潮が起こる原因は未だ誰にも分からない。
 さらにリュードの話によると結局のところドランダラスの兄であるゼムトは大干潮のせいで死んだことになる。

 ドランダラスはそのゼムトが死んだ大干潮の他に王位についてからしばらく経ってからもう一度大干潮を経験していた。
 思うところがあるのだ。

 ヘランド王国は海路を使った貿易や海産物が大きな収益を生み出している。
 大干潮になると貿易も難しく海産物を採ることも困難になってしまう。

 国の収益を支える二つがしばらくダメになる大干潮はヘランド王国にとって大問題であった。

「今1度過去の事例を元に対策を検討せねばなるまいな」

「さらに、魔物の異常行動が見られるとの報告もありました。もしかしたらアレが現れるかもしれません」

「なん……だと?」

 ファランドールの更なる報告にドランダラスは持っていたペンを強く握りしめた。
 困惑や恐怖、不安などの暗い感情に混じって一抹の喜びのような感情も感じていた。

「そうか、とうとうアレがきたか。ならば我々も用意していたものを出す時が来たな」

 兄の復讐。
 個体としては別だろうがドランダラスにそんなことは関係なかった。

「それは良いのですがどうないますか?今は第1と第2騎士団が北から治安維持活動をしながらなんかしておりますが中止して南に向かわせますか?」

 タイミングが悪いとファランドールは顔をしかめていた。
 まだ一掃作戦が始まって間も無く、主要な部隊は海から離れた北側にいる。

 今から伝令を飛ばして兵を戻してから再編成して送るにしても時間がかかる。

「いや、そうしてしまうときっと犯罪者どもはその隙をついて逃げ出してしまう。他の国に犯罪者を送り出してしまうことは避けたい。このまま第1、第2騎士団には作戦を続けてもらう。代わりに第3、第4騎士団を投入する。国境の封鎖に必要な人員だけを残して南に向かわせよう」

「しかしそれでは戦力が十分ではないかと……」

「国の一大事だ、使えるものはなんでも使う。冒険者ギルドに連絡を取って冒険者に協力をあおごう。国境の封鎖によって暇している冒険者も多かろう」

「わかりました」

「雷属性を扱える者がいないのは痛手だな……」

 海や川で生活する魔物は雷属性を苦手としていることが多い。
 2人のいう、アレも雷属性が有効であったという過去の記録があったとドランダラスは思い出していた。

「兄の時はまだ使い手もいたのだがな……」

 ゼムトの戦いで雷属性が使えるものは動員され、亡くなってしまった。
 結果として雷属性の魔法を受け継ぐ者がヘランド王国にはいなくなってしまったのだ。

「それにつきましても1つお伝えしたいことがございまして」

「むっ、なんだ?」

「これは唯一の吉報と言えるかもしれません」

 ファランドールの最後の報告。
 ドランダラスは今一度恩人を訪ねなければならないなと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...