人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
182 / 550
第四章

大人になるために7

しおりを挟む
 サキュルラストからは抑えていても分かる強い魔力をリュードは感じていた。
 才能があると単に思っていたがそれは先祖返りの影響もあって強い魔力を持って生まれてきたのだろう。

 ただ、先祖返りで強者であるというなら余計に何を助けるのか。
 先祖返りを秘密にしていることと関係があるとリュードは予想した。

「私の父はこの国の王なんです」

 そこに関してリュードにも予想はついていた。
 全くこの国に関して調べずに来たわけでもない。

 大領主だと言われていた時からそのような立場にある人であることはリュードにもなんとなく察することはできる。

「血人族でもやはり強い子、特に先祖返りにまでなると貴重ですから私は父上に可愛がられました。そのために私は腹違いの兄弟姉妹に疎まれて育ちました。私が今大領主なんて任されているのも先祖返りのためで、本来ならお姉ちゃんが大領主になるはずでした」

「そんなのラストが努力したおかげよ」

「ううん、私がしてきた努力なんてお姉ちゃんがしてきたものに比べたらまだまだお姉ちゃんに敵わないよ。それで、ええと……大領主に誰がなるとかは今はどうでもよくて。血人族には昔からある風習があるんです」

 先祖返りではなそうだけどデコピンの威力といいレストもそれなりに強そうではある。

「その風習っていうのが大人になるためには試練を乗り越えなきゃいけないってものなんです。血人族は試練を乗り越えなきゃ大人として認めてもらうことができないんです」

「ふーん……」

 大人になるために何かしらの試練を課されてそれを乗り越えなきゃいけない。
 竜人族や人狼族にはないような風習である。

 全く関係のない話をするはずがないということはこの大人の試練が何か関わりがある。
 リュードはうっすらと話のこの先の展開が読めてきた。

「その大人の試練なんですけど何も1人だけで挑まなきゃいけないってわけでもないんです。血縁以外の同行者を1人だけを連れて大人の試練に挑むことができるというルールがあるんです」

 もちろん1人で挑むこともできますが、とサキュルラストは付け足した。

「……正直な話、この大人の試練を私1人で乗り越えられる自信がないんです。その理由は私の兄姉が原因です」

 グッとサキュルラストの顔が暗くなる。

「大人の試練には私のことを疎ましくおもっている兄姉が関わってきます。試練の内容によっては命すら落とすこともあるのですがきっと兄姉たちは事故を装って私の命を狙ってきます……なので……」

 サキュルラストとレストが悲しそうな顔をする。
 言葉が出てこなくなってサキュルラストが唇を一文字に結ぶ。

 目に涙が込み上げてくる。
 自分が情けないとサキュルラストは思う。

 昔は神童とも呼ばれて王である父親に可愛がられ、姉であるレストの地位を奪うように大領主の座まで任された。
 なのに自分1人でできることはあまりにも小さくて他人を頼るしかない。

 自分の境遇を自分で説明しておいて胸がいっぱいになってしまった。
 まだ話は終わってないのに泣いてしまいそうで、言葉を出すと涙も出てしまいそうで少しだけ沈黙する。

 リュードも急かすマネはしない。
 ゆっくりと次の言葉を待ってやる。

「……なので、誰か一緒に行ってくれる人を探していたんです」

 込み上がってきた涙は引っ込んでくれなかった。
 堪え切れなかった涙が一筋目から流れ落ちる。

「……なんで俺に声をかけた? 別にこの国がそんなに人材不足じゃなさそうだと思うけど」

 一緒に大人の試練を行ってくれる人を探していることは分かった。
 けれどリュードに声をかけてきた理由は分からない。

 もっと知り合いとか信頼のおける人の方がいい。
 それこそ別にリュードじゃなくてレヴィアンでも良さそうな話だ。

 涙を見せてしまったサキュルラストをレストが抱きしめる。
 非難するような視線を向けられるリュードだが悪いことは何もしていない。

 これじゃあ単なる八つ当たりである。

「そりゃあいっぱいいるわよ、立候補者も。でもねぇ、大体の人の目的がラストの体か地位かなの。その上多くの人が兄さんたちの息がかかっている人物なの」

 サキュルラストを引き継いでレストが答える。
 なんの見返りもなく命の危険まである大人の試練を手助けするものは少ない。

 サキュルラストはこれからもっと美人になっていくし、大領主である。
 大人の試練を手伝うことでその恩恵にあずかることを代わりに要求する連中もいる。

 それだけではない。
 大人の試練は血人族にとって長い歴史を持っていて、ある特定のことに意味を持ってしまう可能性があるからだった。

「特定の意味?」

「それはね……」

 昔大きな身分の差がある男女がいた。
 その男女は愛し合っていて恋人であった。

 しかし身分に大きな隔たりがあるために恋人であることは周知の事実でありながらも公言はしていない公然の秘密であった。
 ある時、女性が大人の試練に挑む時に同行者として恋人の男性を連れて行くことにした。
 
 父親が選んだ優秀な護衛ではなく、勝手に男性を同行者としたのであった。
 父親は怒りを露わにし、大人の試練の難易度を故意に上げた。
 
 ヘタをすると自分の娘が死にかねない蛮行なのだが、父親の頭が冷静になる時にはすでに2人は試練に挑んでいた。
 とんでもないことをしてしまったと父親は娘の無事を祈るしかなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...