人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
215 / 550
第四章

毒草を探せ!1

しおりを挟む
 イェミェンを取りに行くけどそれをプジャンに悟られてはいけない。
 目的を隠しながらそこに行く正当な理由が必要である。

 けれど今回運はラストに味方をしていた。
 イェミェンの群生地があるところはラストの大人の試練であるダンジョンから近いのである。

 クゼナを早急に治してやらねばならないために速度を上げてダンジョンに向かったが、道中の妨害もなく順調そのものでダンジョンまで来ることができた。
 事前の調査ではダンジョンのレベルも高くはない。

 もしかしたらバラフィランの作戦が成功すると思っていて何も対策を講じていなかったのかもしれない。

「遅かったですね」

 コルトンはすでにダンジョン前で待ち構えていた。
 横にテントなどが設置してあるところを見るとかなり早めにきて待っていたのだろう。

 下手すると数日待っていたこともありうる。
 モノランやクゼナのことで時間を使ったので真っ直ぐダンジョンに向かうよりも少し遅れてしまったことは否めない。

「お兄様にご挨拶申し上げる必要もありましたんで」

「ああ……まあ、そのようなこともありますね」

 これに関してはコルトンが悪いところもある。
 時間も差し迫っているのでダンジョンにまっすぐ来ると勝手に思っていた。

 ラストにも立場というものがあって、ただの大人の試練とは少し違うことを失念していた。

「それでは大人の試練に挑みますか?」

「はい、やります」

「……わかりました」

 コルトンとしてもこんなところさっさとおさらばしてベッドで寝たい。
 いつ大人の試練に挑むのかの判断はコルトンに裁量はない。

 ついてすぐ挑むというのには少し驚いたけれどラストが挑むというならコルトンは大人しくついていくしかない。
 ラストとリュードがダンジョンの中に入っていき、コルトンは自分の剣とチェック表を持って後を追いかけた。

「それでは参りましょうか」

 ルフォンとヴィッツは一緒にいけないのでダンジョンの外で待つ。
 3人が戻ってくる気配はなくて問題なく攻略を開始したようだった。

 ルフォンたちも動き出す。
 向かうのはダンジョンの裏にある山。
 
 イェミェンを探しに行くのである。

「イェミェンの特徴、覚えておりますか?」

「もちろん!」
 
 イェミェンは鮮やかな赤紫をした葉っぱの植物で見た目だけなら分かりやすい。
 ただどこに生えているかの情報はなく、手探り状態で歩き回って探さなければいけない。

「……やはりこちらにもきておりますな」

「そうだね」

 プジャンの屋敷に立ち寄った後ぐらいからだろうか。
 どことなく視線を感じるようになった。

 人がいる町中では分かりにくかったけれど、こうして町を出て外を歩いているとよく分かる。

「妨害こそありませんでしたが抜け目ありませんね」
 
 監視がついている。
 それもおそらく1人2人ではなく、複数人いて交代交代で昼も夜もなく監視を続けている。

 誰が監視をつけてきたのか考えるまでもない。
 プジャンの領地で、プジャンの屋敷に行った後からついてきている。

 犯人はプジャンだ。
 監視するならラストの方だろうと思っていたけれどルフォンたちにもしっかりと監視の人員を割いてきた。
 
 監視がなかったらイェミェンをさっさと探すのだけどそうもいかない。

「片付けますか」

「そうだね、そうしよっか」

「物騒な提案をしましたのにサラリと受け入れてしまわれますね」

「私だって旅をしてるんだよ? 世界が綺麗なだけじゃないってちゃんと学んでいるんだ」

「結構なことですがどのような旅をなされてきたのか興味が出てきますね」

 きっとラストに同様に監視を片付けようなんて言ったら複雑そうな顔をしてどうにか他の方法はないかなんて尋ねてくることだろう。
 戦うことやなんかへの抵抗や心配があるからだ。

 それなのに同年代のルフォンはヴィッツの言葉にニッコリと笑ってみせた。
 これなら監視している方もなんの会話をしているのか分からない。

 ヴィッツは思わず感心してしまった。
 リュードがしっかりとしていてルフォンは少しだけ世間知らずな感じがあるように思っていたが、ちゃんとルフォンも旅を通じて成長している。

「ではどうしましょうか……」

 どうやって監視を倒すかが問題である。
 町中ならもっと簡単に建物の角とか利用できるものもあるけれど、木が少なめの山の中では中々奇襲するのも難しい。

 どうにか相手の目を逸らしたいヴィッツは思った。

「あちらに見える木ではいかがでしょうか?」

「あれぐらいならいけるかな」

 監視にバレないように周りを観察して細い木が多い中でも太い木をヴィッツが見つけた。
 二人の体型よりも太くて隠れられそうな感じがある。

「行きますよ」

「うん!」
 
 ルフォンとヴィッツは急に走り出して木の後ろに回り込んで出てこなかった。

「……おい、まさか!」

 それほど太さがある木でもなく、走れば通り過ぎるのも一瞬のはずなのに二人が木の後ろから出てこない。
 まかれたのではないかと思って男たちは木の後ろを確認しに行ってしまった。

「くそっ、どこに行った! 探せ、まだそう遠くには……」

「誰をお探しかな?」

「な、どこに……」

 声が聞こえて、振り返る間も無く男の胸から剣が飛び出してくる。
 ヴィッツが後ろから心臓を一突きにした。

「バレていたのか!」

 ルフォンとヴィッツに割り当てられた監視役は二人。
 もうすでに一人がやられてしまった。

 剣を手にかけた男は目の前のヴィッツのことしか頭になく、腰の剣に手を伸ばした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。 選んだ職業は“料理人”。 だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。 地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。 勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。 熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。 絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す! そこから始まる、料理人の大逆転。 ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。 リアルでは無職、ゲームでは負け組。 そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...