224 / 550
第四章
手負いの牛肉5
しおりを挟む
「期待してるぞ、ルフォン」
「そー言われちゃ断れないね。期待してて!」
ちょっとだけリュードとラストを2人きりで行かせることに抵抗を覚える。
けれど料理を期待していると言われては断れない。
『あれよ、胃袋掴んどきゃ大体の男は捕まえておけるわよ』
なんて自分の母親が言っていたことを思い出すルフォン。
実はルーミオラは料理が得意でなく、料理を何パターンかしか作らなくてそれをぐるぐるとループさせていた。
ウォーケックはそれで満足だったけれどルフォンはそうもいかない。
飽きがくるし、たまには別の料理も食べたくなる。
そんなわけで自分で作り始めたのが料理を始めた1つのきっかけでもある。
始めたきっかけはそんなではあるが続けている理由はリュードが美味しいと言ってくれるからである。
ついでにヴィッツにまだ聞けていない香辛料のことでも聞いてみようと前向きに考えた。
「それじゃあまず村長だな」
リュードとラストは家を出てまず村長のところに向かった。
話を聞くなら村の偉い人がいいだろうと思ったからである。
そうしてとりあえず目につく人に声をかけてミノタウロスについての情報を集めていく。
村の人はみんな協力的で出来る限りのことを教えてくれる。
村であるので規模は大きくなく人は多くないために情報収集もそれほど時間のかかることではなかった。
集まった情報は多少のズレはあってもまとめると1つの場所を指し示していた。
この村の北にある大きな湖付近にミノタウロスが出るというのであった。
魚が取れる大きな湖で村の人も漁をするので困っている。
小型の小動物系の魔物しかほとんど出てこない平和な村であったのに少し前からどこからか迷い込んできた。
まだ村まで来たことはないのだけどやはり不安でたまらないと話す村人もいた。
「確かにこんなところに現れたら不安だよね」
「そうだろうな」
ミノタウロスは牛型の魔物が突然変異的な進化を遂げてなることも稀にある。
かなり希少な例ではあるがいきなり現れたならそんなことが起きた可能性も否定できない。
後はどこかのナワバリ争いに負けて逃げてきたことも考えられる。
むしろこっちの方が現実的。
少なくとも追い払ってほしいという村人の期待がのしかかってくる。
料理ができるまではまだ時間があるだろうとミノタウロスをどう倒すか考えながらゆっくりと村を歩く。
「ねえ、旅って楽しい?」
「なんだいきなり。旅か、楽しいよ。ラストは楽しくないのか?」
急に口を開いたラストの質問にリュードはサラリと答える。
「あ、そっか、これも旅っちゃ旅か……そうだね……楽しい、かな」
リュードは楽しいと答えた。
そして今やっていることもある種の旅だろうという言葉にラストは一瞬面を食らった。
ほんのわずかに楽しいと口に出すことに迷いがあった。
楽しくないことは決してない。
楽しいのだけどクゼナのとことか大人の試練のこととか大事なことを抱えているのに、それでも楽しいと思ってしまっていて、それを口に出していいのか迷ったのだ。
それでも楽しい。
そう思える、そう言える。
自分が旅を楽しいと思っていることにラストは気づいた。
「楽しいんだ……」
思えばこんな風に旅に出て外を自由に歩くなんてことあまり経験がない。
まだ比較的平和だった子供の頃も王族なので護衛はついていた。
他の領地にラストが赴くことも少なく、大領主になってからは王の直轄地以外に行った記憶なんてほとんどない。
直轄地に行くのも馬車に乗って護衛に囲まれていた。
自分で歩いて宿も探して、さらにその上自分で準備して野営するなんてことあり得ないことである。
色んなことが初めてで最初は文句も言っていた。
今は慣れてきて文句も言わないしむしろ積極的に自分から動いて準備すらしている。
そんなことを感じるような旅じゃないのに思い返してみればとても楽しんでいた。
「あるいは……」
ラストは隣を歩くリュードの横顔を見た。
ご飯は何かなと上機嫌なリュードはうっすらと笑顔を浮かべている。
他の人との旅だったらこんなに楽しかっただろうか。
楽しいと思えるには楽しいなりの理由がある。
きっとリュードが一緒だから。
「ううん、これは違うの……」
ラストは頭を振って自分の中に浮かんだ考えを振り払う。
リュードとラストは今はこうして並んで歩いているけれど本来立場も違う同士である。
大人の試練が終わってしまえばお別れで、関わりなんてなくなってしまう。
「友達……そう、友達だから……」
それでも友達ではある。
きっと友達だから旅していても楽しいのだ。
なんだか妙に頬が熱い。
なぜなのか、ミノタウロスもリュードと共にならば倒せる気がしてくるラストなのであった。
ーーーーー
翌日の昼までのんびりと休んだ。
リュードとラスト、それにルフォンとコルトンは村の北にある湖を目指して出発した。
ミノタウロスと戦う時にはルフォンは手を出しちゃいけないけれど、道中の魔物と戦う時にルフォンが戦ってはいないルールはない。
そこに問題がないこともコルトンには確認済みである。
なので魔物に遭遇したらルフォンをメインにして戦っていく。
ヴィッツは荷物番として家でお留守番ということになっている。
別に盗みを働く不逞の輩がいるなんて思っちゃいない。
やってもらうことがヴィッツにはあったのである。
「そー言われちゃ断れないね。期待してて!」
ちょっとだけリュードとラストを2人きりで行かせることに抵抗を覚える。
けれど料理を期待していると言われては断れない。
『あれよ、胃袋掴んどきゃ大体の男は捕まえておけるわよ』
なんて自分の母親が言っていたことを思い出すルフォン。
実はルーミオラは料理が得意でなく、料理を何パターンかしか作らなくてそれをぐるぐるとループさせていた。
ウォーケックはそれで満足だったけれどルフォンはそうもいかない。
飽きがくるし、たまには別の料理も食べたくなる。
そんなわけで自分で作り始めたのが料理を始めた1つのきっかけでもある。
始めたきっかけはそんなではあるが続けている理由はリュードが美味しいと言ってくれるからである。
ついでにヴィッツにまだ聞けていない香辛料のことでも聞いてみようと前向きに考えた。
「それじゃあまず村長だな」
リュードとラストは家を出てまず村長のところに向かった。
話を聞くなら村の偉い人がいいだろうと思ったからである。
そうしてとりあえず目につく人に声をかけてミノタウロスについての情報を集めていく。
村の人はみんな協力的で出来る限りのことを教えてくれる。
村であるので規模は大きくなく人は多くないために情報収集もそれほど時間のかかることではなかった。
集まった情報は多少のズレはあってもまとめると1つの場所を指し示していた。
この村の北にある大きな湖付近にミノタウロスが出るというのであった。
魚が取れる大きな湖で村の人も漁をするので困っている。
小型の小動物系の魔物しかほとんど出てこない平和な村であったのに少し前からどこからか迷い込んできた。
まだ村まで来たことはないのだけどやはり不安でたまらないと話す村人もいた。
「確かにこんなところに現れたら不安だよね」
「そうだろうな」
ミノタウロスは牛型の魔物が突然変異的な進化を遂げてなることも稀にある。
かなり希少な例ではあるがいきなり現れたならそんなことが起きた可能性も否定できない。
後はどこかのナワバリ争いに負けて逃げてきたことも考えられる。
むしろこっちの方が現実的。
少なくとも追い払ってほしいという村人の期待がのしかかってくる。
料理ができるまではまだ時間があるだろうとミノタウロスをどう倒すか考えながらゆっくりと村を歩く。
「ねえ、旅って楽しい?」
「なんだいきなり。旅か、楽しいよ。ラストは楽しくないのか?」
急に口を開いたラストの質問にリュードはサラリと答える。
「あ、そっか、これも旅っちゃ旅か……そうだね……楽しい、かな」
リュードは楽しいと答えた。
そして今やっていることもある種の旅だろうという言葉にラストは一瞬面を食らった。
ほんのわずかに楽しいと口に出すことに迷いがあった。
楽しくないことは決してない。
楽しいのだけどクゼナのとことか大人の試練のこととか大事なことを抱えているのに、それでも楽しいと思ってしまっていて、それを口に出していいのか迷ったのだ。
それでも楽しい。
そう思える、そう言える。
自分が旅を楽しいと思っていることにラストは気づいた。
「楽しいんだ……」
思えばこんな風に旅に出て外を自由に歩くなんてことあまり経験がない。
まだ比較的平和だった子供の頃も王族なので護衛はついていた。
他の領地にラストが赴くことも少なく、大領主になってからは王の直轄地以外に行った記憶なんてほとんどない。
直轄地に行くのも馬車に乗って護衛に囲まれていた。
自分で歩いて宿も探して、さらにその上自分で準備して野営するなんてことあり得ないことである。
色んなことが初めてで最初は文句も言っていた。
今は慣れてきて文句も言わないしむしろ積極的に自分から動いて準備すらしている。
そんなことを感じるような旅じゃないのに思い返してみればとても楽しんでいた。
「あるいは……」
ラストは隣を歩くリュードの横顔を見た。
ご飯は何かなと上機嫌なリュードはうっすらと笑顔を浮かべている。
他の人との旅だったらこんなに楽しかっただろうか。
楽しいと思えるには楽しいなりの理由がある。
きっとリュードが一緒だから。
「ううん、これは違うの……」
ラストは頭を振って自分の中に浮かんだ考えを振り払う。
リュードとラストは今はこうして並んで歩いているけれど本来立場も違う同士である。
大人の試練が終わってしまえばお別れで、関わりなんてなくなってしまう。
「友達……そう、友達だから……」
それでも友達ではある。
きっと友達だから旅していても楽しいのだ。
なんだか妙に頬が熱い。
なぜなのか、ミノタウロスもリュードと共にならば倒せる気がしてくるラストなのであった。
ーーーーー
翌日の昼までのんびりと休んだ。
リュードとラスト、それにルフォンとコルトンは村の北にある湖を目指して出発した。
ミノタウロスと戦う時にはルフォンは手を出しちゃいけないけれど、道中の魔物と戦う時にルフォンが戦ってはいないルールはない。
そこに問題がないこともコルトンには確認済みである。
なので魔物に遭遇したらルフォンをメインにして戦っていく。
ヴィッツは荷物番として家でお留守番ということになっている。
別に盗みを働く不逞の輩がいるなんて思っちゃいない。
やってもらうことがヴィッツにはあったのである。
21
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜
大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!?
どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる