人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

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第四章

王様の前に一人の父親2

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「それでは王がお待ちですので、参りましょうか」

 ウグドーにラストが付いていき、その後ろをリュードとルフォンが歩く。
 さらにその後ろに護衛や部下たちがゾロゾロと続く。

「こちらでございます」

 てっきり玉座でもある謁見の間みたいな大きな部屋に連れていかれるのかと思っていた。

「お父様、私です、ラストです」

「入りなさい」

 通されたのは王様の執務室であった。
 いきなりこんなところに来ていいのかとリュードは感じるけれどラストは娘なのでいいのである。

「失礼します」

 正面に大きなデスクがあり、メガネをかけた白髪の中年男性が書類にハンを押していた。
 リュードにも渋さを感じさせるイケメンおじさんがラストの父親である王様であった。
 
 王様は入ってきたラストをメガネを外して優しい目で見た。

「よく帰ってきたな」

 他の人たちが下がると王様は立ち上がりラストをギュッと抱きしめる。

「ただいま」

「お帰り、ラスト」

「お父様、苦しいよ!」

「久々なんだ、少しぐらいいいじゃないか」

 若いラストを大領主にして経験を積ませるような人、どんな厳しい王様だろうかと色々想像を膨らませていた。
 兄弟姉妹での争いを放置しているのだし子に厳しく冷たい感じの人なのではないかと思っていた。

 実際に会って見てみると思っていたよりも柔らかい印象の人であった。
 ただのおじさんというには顔は整っていて威厳も感じさせているけれど、想像よりも遥かに角がない。

 そして体格も良い。
 魔人族の王なので強さも兼ね備えなければいけない王様は鍛錬も怠らない。

 直接戦うわけでもない王様の座についてからも体を鍛えていることが見た目にも分かった。

「こんな綺麗になって……レストは元気にしているか?」

「お姉ちゃんも元気だよ」

「そうか。そちらが娘を手伝ってくれているシューナリュード君とルフォンさんだね。話は聞いているよ。私はサキュロヴァンダル。ヴァンとでも呼んでくれて構わない」

 大人の試練の途中報告はコルトンから上がってきている。
 仕事の間を縫ってヴァンはラストがどうしているのか報告書をちゃんと読んでいた。

 リュードとルフォンが一緒に旅をしていて、リュードが大人の試練の同行者として大人の試練に挑んでいることも調べていて知っていた。

「娘を手助けしてくれてどうもありがとう」

「どういたしまして……」

 手を差し出してきたヴァンにリュードが応えて手を握る。
 単なる握手ではなかった。

 ニコニコと笑顔を浮かべて握手を交わすヴァンはその裏でリュードの手を潰さんばかりの力を込めていた。
 普通の人なら痛いと声を上げていたかもしれないがリュードも魔人族も魔人族である。

 負けず嫌いなところはリュードの中にもある。
 たとえ王様が相手であろうと勝負の場では対等になる。

 ここで引いてはいけないとリュードも笑顔で力を込め返した。

「お父様?」

 やたらと長い握手を疑問に思ったラストに声をかけられてヴァンはようやくリュードから手を離した。
 誰も気づかない地味な勝負であるが互いに一歩も引くことはなかった。
 
 さっとラストにバレないように引いた2人の手は人の手の形に赤くなっていた。
 顔もなんともないというような表情を取り繕っている。

「……ラストを助けてくれたことに感謝はするがお父様と呼ぶことは許さないからな!」

「お父様!」

 ヴァンの宣言にラストが悲鳴のような声を上げる。
 気持ちが分からないでもないのでリュードは否定も肯定もしないで黙っておく。

 変に何かを言うとこじれてしまう可能性があるのでこういう時にはとりあえず口を出さないでおくのだ。
 顔を赤くしてリュードとの関係を否定するラストを見てヴァンはもう遅かったかと1人落胆していた。
 
 ふらふらとヴァンがソファーに腰掛け、ラストたちもそうする。
 ラストはヴァンの横に座ってこれまでの旅について話し始める。
 
 モノランのことやプジャンがモノランにしたこと、ベギーオの領地で起きたことなど包み隠さず父親に報告する。
 
「うむ、ダンジョンブレイクのことは聞いている。その事について問うために人をやったのだが……ベギーオはもう屋敷にはいなかった。何も知らない使用人しかおらず、当人は少し出かけているなんて言われてしまったようだ」

 悩ましげにヴァンが首を振る。
 ベギーオは最悪の選択をしたものだとヴァンは思った。

 責任を取らずに全てを捨てて逃げてしまった。
 確かに管理しているダンジョンでダンジョンブレイクを起こしてしまい、町一つが壊滅しかける損害を出してしまったことは大領主剥奪ものの失態である。

 そうではあるがそれについて弁明もなく逃げてしまっては庇いようもなくなる。
 王族である温情で死罪とはならなくてももっとどうにか出来ることもあったはずなのに逃げてしまえば厳罰に処するよりほかなくなる。

 このままでは全国に指名手配をかけて探さなくてもいけなくなり、やってしまったことも白日の元に晒されてしまうとため息をついた。
 ヴァンは父親の前に王様である以上そのようなところで甘さを見せるわけにいかないのである。
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