265 / 550
第四章
甘いケーキと苦い薬2
しおりを挟む
「よろしくね、2人とも。それじゃあ今度こそいくぞー!」
ラストは意気揚々と歩き出す。
ちょっと離れたところに待機する話なのに周りを囲まないだけでそのまま少し後ろを付いてくる兵士たちとの再びの衝突はあった。
けれど兵士たちがもうちょっと距離を空けてわかりにくくついてくることでどうにか妥協したのであった。
「どこに行くの?」
「ふっふー、実は目をつけてたところあるんだよねぇ」
ニタリと笑ったラストがみんなを連れてきたのは町でも有名なケーキのお店であった。
前々からチェックしていた。
王都から離れたラストのところにまで評判は聞こえてきていたのでいつか行ってみたいと思っていたのだ。
「いざ入店!」
ドアベルが鳴ってラストたち5人が中に入る。
可愛らしさもありつつ落ち着いた店内はきらびやかで雰囲気がいい。
ガラスで作られたケースの中には様々なケーキが並んでいて、ディスプレイされたケーキは色とりどりでどれも美味しそうであった。
「どれにする?」
「えっ、食べるの?」
「もー、ここまできて何言ってんのさ!」
とりあえず付いてきていたルフォンは自分も食べるだなんて思ってなかった。
お金は持ってきているけどラストが来たかったお店だし高そうだしで眺めるだけになりそうだと思っていた。
村社会で生きてきて買い食いとかこうした経験のないルフォンはどうしたらいいのか分かっていなかった。
「ふふっだいじょーぶ。ここは私の奢りだしリュードが結構お金持ちぃなことは知ってるのだよ。仮にルフォンが払ったとしてもこんなところでお金使ったって怒りゃしないって」
「そうかな……」
実はルフォンもケーキ食べたい。
ジーッとケーキを見つめたままルフォンがした葛藤は一瞬だった。
「そうだね!」
「よしよし、どれにする?」
「これだけたくさんあると迷っちゃうよ~」
念願のお店、しかも友達と。
ラストは食べる前から楽しくて、嬉しくてしょうがなかった。
ルフォンも美しいとも思えるケーキの前にフリフリと尻尾を振っている。
美味しそうだし、ルフォンから見ると作り方も気になるぐらいである。
許されるなら全部食べてみたい。
けれどそんなにたくさんのケーキも食べられない。
目を輝かせてケーキを眺める2人は年相応の女の子だとヴィッツは目を細めていた。
「どれにする……ハッ!」
これからの予定もある。
ここでケーキだけでお腹いっぱいにも出来ない。
多くあるケーキの中から選ばなきゃいけない悩ましさの中でラストは閃いた。
「……2人は甘いもの、好き?」
ラストやルフォン、あるいは外の警戒ではなくてケースの中のケーキを凝視してしまっているユーディカにラストが気づいた。
このケーキ屋は女性兵士の間でも超有名店である。
憧れで、お金を貯めて剣を買うかケーキを買うかで女性兵士で論争になるほどのお店なのである。
買わないのに店内に入れるはずもなくてケーキすら見ることも滅多に出来ない。
ユーディカは思わず自分ならどれを選ぶかとケーキに目がいってしまっていた。
「私たちは護衛ですので……」
「甘いものは私もツィツィナも大好きです!」
「ユーディカ!」
「甘いものが好きかどうか聞かれただけじゃにゃーい。答えない方が失礼ってもんよ」
「ツィツィナさんも甘いもの好きなの?」
「私は……はい、私も好きです」
ただ聞いただけではない。
そう思いながらも質問の意図を勝手に曲解して答えないのも確かに失礼だとツィツィナも答える。
ニマァとラストが笑う。
「いろんな種類食べてみたいんだけど私たち2人じゃそんなに食べられないと思わない?」
「それはそうかもしれませんね」
ツィツィナは何が言いたいのか薄々勘づき始めていた。
「ねぇ、2人も食べない?」
ラストの閃きとは、2人じゃ食べられる数も多くないならもっと人数を増やせばいい。
ちょうどここにはもう2人女子がいるじゃないかと二人に笑顔を向ける。
「……私たちは護衛ですので」
ツィツィナは一瞬の迷いはあったもののラストの提案を突っぱねた。
ユーディカは隣で目を見開き、とんでもないものを見る目でツィツィナを見ている。
この2人ではツィツィナの方がユーディカよりも先輩である。
基本的にはユーディカはツィツィナの判断に従うしかなく、ツィツィナが断ればユーディカにはどうしようもなくなってしまう。
明らかにユーディカがしょぼんとした顔をする。
ただツィツィナも苦渋の決断だったことは見てとれる。
「いいじゃない。どうせ私のお父様の支払いよ」
ちなみにだけどドレスの代金も王様支払いだった。
いいのかそれでと思うけど王族には品格維持費なる名目の費用があってそこからお金が出ている。
ラストは自分に割り当てられた費用を使うことがないので有り余っていた。
ケーキ代金を品格維持費で賄っていいのか突かれるのは痛いがそんなことをついてくる人はいない。
奢りだということを強調してラストが食い下がる。
「いえ、仕事ですので」
(……すごい顔してる)
キッパリ断るツィツィナの後ろでユーディカがすごい顔をしていることがルフォンには気になっていた。
ユーディカとしてはオッケーを出してほしいのだろう。
ラストは意気揚々と歩き出す。
ちょっと離れたところに待機する話なのに周りを囲まないだけでそのまま少し後ろを付いてくる兵士たちとの再びの衝突はあった。
けれど兵士たちがもうちょっと距離を空けてわかりにくくついてくることでどうにか妥協したのであった。
「どこに行くの?」
「ふっふー、実は目をつけてたところあるんだよねぇ」
ニタリと笑ったラストがみんなを連れてきたのは町でも有名なケーキのお店であった。
前々からチェックしていた。
王都から離れたラストのところにまで評判は聞こえてきていたのでいつか行ってみたいと思っていたのだ。
「いざ入店!」
ドアベルが鳴ってラストたち5人が中に入る。
可愛らしさもありつつ落ち着いた店内はきらびやかで雰囲気がいい。
ガラスで作られたケースの中には様々なケーキが並んでいて、ディスプレイされたケーキは色とりどりでどれも美味しそうであった。
「どれにする?」
「えっ、食べるの?」
「もー、ここまできて何言ってんのさ!」
とりあえず付いてきていたルフォンは自分も食べるだなんて思ってなかった。
お金は持ってきているけどラストが来たかったお店だし高そうだしで眺めるだけになりそうだと思っていた。
村社会で生きてきて買い食いとかこうした経験のないルフォンはどうしたらいいのか分かっていなかった。
「ふふっだいじょーぶ。ここは私の奢りだしリュードが結構お金持ちぃなことは知ってるのだよ。仮にルフォンが払ったとしてもこんなところでお金使ったって怒りゃしないって」
「そうかな……」
実はルフォンもケーキ食べたい。
ジーッとケーキを見つめたままルフォンがした葛藤は一瞬だった。
「そうだね!」
「よしよし、どれにする?」
「これだけたくさんあると迷っちゃうよ~」
念願のお店、しかも友達と。
ラストは食べる前から楽しくて、嬉しくてしょうがなかった。
ルフォンも美しいとも思えるケーキの前にフリフリと尻尾を振っている。
美味しそうだし、ルフォンから見ると作り方も気になるぐらいである。
許されるなら全部食べてみたい。
けれどそんなにたくさんのケーキも食べられない。
目を輝かせてケーキを眺める2人は年相応の女の子だとヴィッツは目を細めていた。
「どれにする……ハッ!」
これからの予定もある。
ここでケーキだけでお腹いっぱいにも出来ない。
多くあるケーキの中から選ばなきゃいけない悩ましさの中でラストは閃いた。
「……2人は甘いもの、好き?」
ラストやルフォン、あるいは外の警戒ではなくてケースの中のケーキを凝視してしまっているユーディカにラストが気づいた。
このケーキ屋は女性兵士の間でも超有名店である。
憧れで、お金を貯めて剣を買うかケーキを買うかで女性兵士で論争になるほどのお店なのである。
買わないのに店内に入れるはずもなくてケーキすら見ることも滅多に出来ない。
ユーディカは思わず自分ならどれを選ぶかとケーキに目がいってしまっていた。
「私たちは護衛ですので……」
「甘いものは私もツィツィナも大好きです!」
「ユーディカ!」
「甘いものが好きかどうか聞かれただけじゃにゃーい。答えない方が失礼ってもんよ」
「ツィツィナさんも甘いもの好きなの?」
「私は……はい、私も好きです」
ただ聞いただけではない。
そう思いながらも質問の意図を勝手に曲解して答えないのも確かに失礼だとツィツィナも答える。
ニマァとラストが笑う。
「いろんな種類食べてみたいんだけど私たち2人じゃそんなに食べられないと思わない?」
「それはそうかもしれませんね」
ツィツィナは何が言いたいのか薄々勘づき始めていた。
「ねぇ、2人も食べない?」
ラストの閃きとは、2人じゃ食べられる数も多くないならもっと人数を増やせばいい。
ちょうどここにはもう2人女子がいるじゃないかと二人に笑顔を向ける。
「……私たちは護衛ですので」
ツィツィナは一瞬の迷いはあったもののラストの提案を突っぱねた。
ユーディカは隣で目を見開き、とんでもないものを見る目でツィツィナを見ている。
この2人ではツィツィナの方がユーディカよりも先輩である。
基本的にはユーディカはツィツィナの判断に従うしかなく、ツィツィナが断ればユーディカにはどうしようもなくなってしまう。
明らかにユーディカがしょぼんとした顔をする。
ただツィツィナも苦渋の決断だったことは見てとれる。
「いいじゃない。どうせ私のお父様の支払いよ」
ちなみにだけどドレスの代金も王様支払いだった。
いいのかそれでと思うけど王族には品格維持費なる名目の費用があってそこからお金が出ている。
ラストは自分に割り当てられた費用を使うことがないので有り余っていた。
ケーキ代金を品格維持費で賄っていいのか突かれるのは痛いがそんなことをついてくる人はいない。
奢りだということを強調してラストが食い下がる。
「いえ、仕事ですので」
(……すごい顔してる)
キッパリ断るツィツィナの後ろでユーディカがすごい顔をしていることがルフォンには気になっていた。
ユーディカとしてはオッケーを出してほしいのだろう。
11
あなたにおすすめの小説
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜
大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!?
どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる