人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第四章

最後の挑戦1

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 最後の大人の試練もダンジョンであった。
 ダンジョンが多いなという印象があるのだけど、それはラストが複数の試練をこなさねばならないことに理由があった。

 野生の魔物はどうしても流動的なもので完全に管理しておくことが不可能であると言わざるを得ない。
 対してダンジョンであれば封鎖してしまえばいいし、ある程度のコントロールもすることができる。

 大人の試練は一定の期間内にこなせばいいということになっている。
 なので複数の試練をこなさねばならないラストでは試練をいつやるか、またはやるのかすらも予想を立てることは困難である。

 魔物の討伐をラストの大人の試練として用意しておくことは大変難しい。
 だから自然とダンジョンの方が割り当てられることが多くなっているのだ。
 
 ダンジョンブレイクのことがあったので必ずしも確実でコントロールが出来ると言い切れはしないのだが、ダンジョンブレイクが起こることは本当に稀な例である。

「はぁ……いらないってのに」

 ラストが小さくため息をつく。
 一度でも事件があれば心配になるのが親心というものである。
 
 最後の大人の試練に向かうラストには小隊が1つ護衛に付いていた。
 その中には先日秘密を共有して仲良くなったツィツィナとユーディカの姿もあった。

 治療薬が出来たので早速クゼナのところにとは行かなかった。
 大人の試練を無視してクゼナのところに行くなんてことはどこからどう見ても不自然極まりない。

 理由が分からなくても目的があることは一目瞭然である。
 ひとまず怪しまれないように大人の試練となっているダンジョンに向かいながらどうするのか悩んだ。

「クゼナのためにもさっさと終わらせなきゃね」

 どうすればクゼナに自然と近づけるか考えたのだけど、道中の能天気なユーディカの発言でその方法は思いついていた。
 怪しまれることなくクゼナを連れ出せる方法があったのだ。

 そのためにはむしろ大人の試練を乗り越えねばならない。
 急ぎ足でダンジョンに向かう旅路は非常に順調であった。

 首都がある地域周辺なので冒険者も多く、魔物の討伐もよく行われている。
 護衛がいるのでリュードたち一行の人数も多いために襲いかかってくる魔物もおらず快適な旅となっている。

 中立な立場の護衛がいるし、度重なる失敗のためか妨害らしい妨害もない。
 そもそも嫌がらせはあっても命まで狙ってくるようなのは大領主である他の兄姉ぐらいだったのでベギーオがいなくなれば大きな脅威もなかった。

 今は他の兄姉はきっとベギーオが捨てた大領主の座を狙うことの方が得策であると考えていてラストに構っている暇もない。
 そんなことで急ぎながらものんびりとダンジョンの手前まで安全に来ることができた。

「もう遅いのでダンジョンの攻略は明日になさいますか?」

「そうだね、そうしよっか」

 ダンジョンに近い村の外に野営する。
 旅の工程としては迷ったが少しだけ無理をして村にまで進んだ結果もう辺りは暗かった。

 ダンジョン内であれば時間なんて大きく問題にはならないけれど人の体は休まなきゃいけない。
 旅の疲れだってあるのでゆっくり休んでから挑む方が回り道のようで早いやり方だ。

「リュード、ルフォン、ありがとね……」

 焚き火を囲む。
 野営の準備は護衛たちがやってくれたのでリュードたちはラストたちが寝るテントを立てたぐらいであとは任せていた。

 することもないと色々考えてしまう。
 ポツリとラストが考えたままの言葉を口にした。

 この旅の時間は振り返ってみるとそんなに長くもない。
 旅を始める前のラストは大人の試練なんて乗り越えられるものでない、妨害されて失敗するに決まっていると思っていた。

 でもなんだかんだと旅の終わりが見えてきた。
 これまでを振り返ってみるとリュードとルフォンがいなかったら乗り越えられなかった。
 
 2人がいたから乗り越えられた場面というものがあった。
 そんなことを考えていると自然と感謝の言葉が口に出てきたのである。

「いきなりなんだ? まだそんなことを言うには早いんじゃないか?」

「わ、分かってるよ! でもさ、言葉に出して言いたくなったんだ」

 顔を赤くしたラストだってこんな気持ちになるのはまだ早いことだって分かっている。
 でも思考の波に揺られながら焚き火を眺めているとなんだかセンチな気持ちになってきたのだ。

 面と向かって言うのは恥ずかしいから焚き火に向かって言葉を投げかけた。
 こんな時じゃないと素直にありがとうって言うのも楽じゃない。

「そうですな、私もお2人には感謝しております」

「ヴィッツだって今じゃないだろ?」

「感謝しておりますのは本当です。このような機会でもなければ私も恥ずかしくて口には出せませんから」

「そんな人じゃないだろ……」

 しっとりとした空気にヴィッツが茶々を入れる。
 こういう時の冗談はラストにとって有難かった。

 護衛が用意してくれた食事を食べながらルフォンが作った方が美味しいね、なんて話していると夜も更けてきた。
 緊張で眠れないと思っていたラストも旅の疲れからか横になっていたらいつの間にか眠ってしまっていた。

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