人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第四章

灰色の汗と白い肌3

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 ラストがクゼナの味方であるメイドさんに王城へ行く準備ととりあえず清潔なタオルの用意をお願いする。
 バレないようにと信頼できるメイドさんだけがなんてこともないように装いながら動いている。

「治療にかこつけてうら若き女性の肌を見られるとは役得ですな?」

「冗談でもやめてください……」

 そんな風に言われると意識してしまうとリュードは苦い顔をする。
 リュードだって集中しなきゃいけないのにそんなことで針を鈍らせるわけにはいかないのだ。
 
 あくまでも健全たる治療だけど、ただリュードも健全たる男子なのである。
 目をつぶって頭の中から邪念を追い出そうとする。
 
 さほど時間もかからずラストが準備ができたと呼びにきたので薬と針を持ってクゼナの部屋に向かう。
 
「あ、あんまり見ないでくださいね!」

 ベッドの上で一糸纏わぬ姿となり、仰向けで真っ直ぐ体を伸ばしているクゼナ。
 胸など大事なところはタオルを被せてあるが薄布一枚では裸と変わりない。

 なぜかピンと体の横に手をつけて気をつけでもするようにしているクゼナは顔を真っ赤にしている。

「その……ごめん。まずは仰向けじゃなくてうつ伏せでいいんだ」

「……二人の馬鹿ぁー!」

 プルプルと震えて泣きそうな顔をして叫ぶクゼナ。
 体を起こすとタオルがはだけてしまうので下手に動くこともできない。

 リュードを早々に追い出して準備を進めたのはラストとルフォンである。
 聞けばよかったのにとりあえず仰向けだろうとよくも分からずに進めてしまって、クゼナにもそうするように言った。

 リュードもリュードで伝えなかった責任はある。
 準備を始めてしまったので勝手に部屋に入るわけにもいかず、ヴィッツの余計な一言のせいで集中力を高めていたのでそんなことを伝え忘れていた。

 仰向けでやることもあるのだけど、今回は恥ずかしさとあるだろうし背中からやっていこうと思っていた。
 仰向けで受けたいなら別にリュードは構わないけどきっとうつ伏せの方がいいだろう。

「一回後ろ向いてくれる?」

「そうだな」

 パッと顔を隠したクゼナは首まで真っ赤になっている。
 石化する前に恥ずかしさで死んでしまいそう、あるいは死んでしまいたいぐらいの気持ちであった。

 何回も部屋に出入りするとプジャンの監視に気づかれるかもしれない。
 リュードは後ろを向かされて目を瞑る。

 ゴソゴソと音がしてクゼナが体をうつ伏せにする。

「よし、完璧!」

「完璧! じゃないわよ! 後で覚えときなさいよ!」

「も、もう大丈夫か?」

「はい…………もうどうにでもしてください…………」

 よかったといえばよかったかもしれないとリュードは思う。
 クゼナも極度の緊張でガチガチになっていたのが多少ほぐれた。

「とりあえず、まずは顔をこっちに向けて」

「顔、こう?」

「ん、そう」

 まだ顔が熱くてあんまり見られたくないけどわがままも言ってられない。
 このまま枕に顔を押し付けていたかったけどリュードの言う通り横を向いて赤くなった頬をさらけ出す。

「まずはここからだ。痛いかもしれないけど我慢しろよ」

 痛いなんて聞いてない。
 そう口を開きかけたクゼの頬に何かが触れた。

 そこは頬の石化したところだった。
 石のところにもわずかであるが感覚が残っている。

 何かが頬に触れているのが感じられる。
 リュードはハケに薬をつけると慎重に石の部分にだけ薬を塗り込む。

「どうだ……?」

「……んっ…………」

「……よしっ」

 変化が見られず失敗も頭をよぎった瞬間、少しだけジワリと頬の石化部分が小さくなったのをリュードは見逃さなかった。

「どうだ、大丈夫か?」

 薬が体にどんな影響を及ぼすかリュードには分からない。
 もしかしら痛みがあるかもしれないと思って先程は警告しておいたのである。

「うん……なんていうのかな、頬がすごく熱いような感じがするけど痛くはないよ。まだ我慢できるかな」

 何か熱いものでも頬に押し付けられているようだ。
 痛みよりも熱さに近い感覚が頬にあって、クゼナは顔を歪めた。

 頬を拭い去ってしまいたい衝動に駆られるが枕を握りしめてグッと我慢する。

「す、すごいじゃんリュード!」

「うん……うん! 良さそうだな!」

「な、なになになに!? どうなってんの。教えてよ!」

 自分の頬の上の出来事なので当の本人のクゼナにはその変化が見えていなかった。

「小さくなってるよ!」

 小さくなり始めたら早かった。
 みるみる間に頬の石化部分は小さくなっていき、頬には灰色の液体がじわりとにじんで残されていた。

 それをラストが慎重に拭き取ってやると、そこは薄く赤くなったクゼナの肌があった。
 石化の治療が成功している! とラストは1人大喜びで目を輝かせている。

「どうやら薬は本物みたいだな。ルフォン、ラスト、これを石化しているところに直接塗ってくれないか。ただ一気に治療すると危ないかもしれないからちょっとずつやっていこう」

 足を見ると際どいところまで石化してしまっている。
 おそらくちゃんと薬を塗るのにリュードではダメだ。

 リュードは安全策を取って2人に任せることにして針の用意に取り掛かった。
 薬が効くとわかれば、リュードからしてみればここからが本番である。
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