人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
317 / 550
第五章

始まる悪魔の大会6

しおりを挟む
「周りの人全てが敵です。倒して、殺して、生き残ってください。この勝負が終わりを迎えるのはいつなのか、それはお教えできません。始まりましたら、周りに落ちています武器はご自由にお使いください。では始めてください」

「えっ?」

 盛大な合図もなく、ぬるっと始まるバトルロイヤル。
 全員があっけに取られたように動きが止まる。

 動き始めるのが早かったのはやはり闘技場に早く上がったような人たちだった。
 
「トーイ!」

 リュードは近くに落ちていたメイスをトーイに投げ渡す。
 どう見てもトーイに戦いの心得はない。

 当然剣なんか振ったこともないだろうし扱い方も分からないはずだ。
 それなら剣を持つよりも殴るだけでいいメイスの方が扱いやすいのではないかと思った。

 剣よりも頑丈だし、振り回しているだけで脅威になる。
 次にリュードは長剣を拾い上げる。

「おい、それは俺が目をつけていたやつだぞ!」

 スタートの合図があまりにもあっさりとしすぎていて出遅れてしまった男が手近にあったナイフを取ってリュードに襲いかかる。
 男もリュードの拾った剣に目をつけていたのだがリュードに先に取られてしまい逆上した。

「るせえ、早いもん勝ちだ!」

 男の動きは早くない。
 リュードは男の手からナイフを弾き飛ばすと接近して頭を掴んで床に叩きつけた。

 前歯ぐらいはぐらつくかもしれないけど死ぬよりはいいだろう。
 ジワーっと鼻血が広がり、男が動かないのを確認してリュードはトーイのところに戻った。

 武器を取り合う者、すぐに武器を見つけて戦う者、全く何もできずにやられる者。
 阿鼻叫喚の闘技場の上に熱い歓声が降り注ぐ。

 命をかけた戦いを見せ物にして興奮しているのはおそらく貴族たちであろう。

「チッ……くだらない……!」

 一方では命をかけて必死に戦い、一方ではそれを娯楽として見ている。
 なぜ同じ人でもこれほどまでに立場が違うのか。

 怒りが湧いてくる。

「わ、私はどうしたら……」

「このまま気配を消して突っ立ってるのが1番いい。もし見つかったら俺が戦うし、俺が間に合わなかったらそのメイスを振り回して敵を近づけちゃいけないぞ」

「わ、分かりました!」

 青い顔をするトーイはメイスを持つ手が震え、今にも倒れそうになっている。
 ここで倒れたら死あるのみなので何とか踏みとどまっていた。

 トーイに戦闘経験がないこともそうだが、こんなに萎縮してしまってはとてもじゃないが戦えない。
 まだリュードの村の子供の方が強い。

 けれどリュードたちも二人固まっているせいか手を出してくる人もいない。
 わざわざ二人もいるところに手を出す必要がないからだ。

「こんなところで何静観決め込んでいるんだい、お嬢さん」

 ただしそれも乱戦極まる最初のうちだけである。
 人が減り、乱戦が徐々に落ち着いてくると二人固まって突っ立っているリュードたちは目立ってくる。

 ここまで戦っていないリュードとトーイ。
 一人は顔も青いし細っこく、リュードの方はまだ実力が分からない。
 
 リュードも竜人族の身体的な特性上筋肉がつきにくくガタイがいいように見えにくい。
 非常に引き締まった体ではあるが、筋肉が大きく目立っているのではないので外見だけで周りと比べるとさほど強そうにも見えない。
 
 戦ってこなかったと言うことはそれほど強くないから隠れていたのだろうと考える人がいてもおかしくない。
 残っているのはそれなりに戦える人が多い。
 
 終了の条件が時間なのか、人数なのか分からないがライバルは減らしておいて損はない。
 少なくとも弱いことがバレバレのトーイぐらいはやってしまおうと大男がニヤついてリュードたちの前にやってきた。

「みんなが勝手に戦ってるだけさ」
 
 男の武器は斧である。
 すでに誰かの頭をかち割った後なのか血が滴っている。
 
 大男が斧を振り下ろし、リュードが一歩前に出てそれを剣で受け止める。
 苦しそうな表情を浮かべて何とか受けたようにみせた。

「フハハハハっ!」

 リュードも簡単に倒せそうな相手であると大男は思った。
 調子に乗って斧を振り回し、周りの人も大男に任せておけばライバルが減るだろうとリュードたちのことは放っておくことに決めた。

 何回かギリギリのところで防いでみせる。
 斧を受けてふらついたリュードに大男はチャンスだと大きく斧を振り上げた。

 リュードは足元にあったナイフを軽く蹴った。

「ぬっ、おっ!」

 スッと床を滑ったナイフはリュードの頭をかち割らんと踏み出そうとした大男の足の下に入った。
 突然足の下に異物が入ってきて、大男は足を滑らせた。

 盛大に足を滑らせた大男は後ろに倒れて頭を打ち付ける。
 それで気でも失っていたならよかったのに、大男の頭は固くてひどい痛みを受けただけだった。

「ぐ……」

「そのまま寝ておけばよかったのにな……」

 周りから見たら偶然の出来事だった。
 斧の勢いを殺しきれずにふらついたリュードの足に落ちていたナイフが当たった。

 それがたまたま大男の足の下に滑り込んで、大男が足を滑らせた。
 リュードは大男に近づくと思い切り大男の頭を蹴り飛ばした。
 
 首が飛んでいきそうな一撃は優男にも見えた男が放つ威力ではなく、しっかりと鍛え上げられたものの蹴りだった。
 しかしリュードが実は強かったと理解したのは蹴り飛ばされて蹴りの威力を身をもって知った大男だけであった。

「はい、そこまででございまーす!」

 リュードが大男を倒したタイミングで係員が呑気に終了の合図を出した。

 闘技場の上に立っているのはおよそ十人ほど。
 半分にも及ばない奴隷だけが生き残り、バトルロイヤルは終了した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...