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第五章
孤独、ではない1
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「自分でこれを外すとはやるではないか」
トントンと指先で自分の首輪を叩いてみせるデルゼウズはニヤリと笑っている。
魔力を封じるはずの首輪をしたままなのにデルゼウズはなぜか魔力を扱えている。
なぜなのかとリュードは疑問であったけれど、実はこの首輪は悪魔が特別に用意したものであった。
かけられている魔法は悪魔が用意したものである。
ゆえに悪魔であるデルゼウズは首輪に影響されずに魔力を使うことができていたのであった。
「その体……返してもらうぞ」
「ハハハッ、一度入ってしまえばもう元には戻らん。それに大人しくやられるつもりもない」
「方法がないかどうかは、やってみてから決める……まずはトーイには悪いがあんたを倒して拘束させてもらうぞ!」
リュードが手を伸ばして雷を放つ。
体を傷つけることは申し訳ないけれど多少傷つけないことには止められない。
「やるな!」
デルゼウズもリュードに対抗して魔法を放った。
黒色の黒い稲妻が放たれ、リュードの雷とデルゼウズの黒い雷がぶつかり相殺される。
魔法を放った直後に走り出していたリュードは雷の影響が残ってほんのりとビリつく空気を切り裂くように一直線にデルゼウズと距離を詰めた。
リュードが拳をデルゼウズに突き出す。
殺してしまわないように爪は使わないがトーイだったなら致命傷になってしまいそうな勢いで殴りかかる。
「グアっ……チッ!」
速いがこれぐらいなら避けられる。
そのつもりで回避しようとしたデルゼウズであったがリュードの攻撃を避けきれずに腹に一発もらってしまう。
続いて顔にも一発食らってデルゼウズは悟った。
全てこの体が悪いと。
分かっていても避けきれない。
デルゼウズが持つ反射神経に体がついてこれていない。
目は悪くないので見えているがただ見えているだけである。
けれどもあまり無理に体を動かすと対応しきれない速さに負担がかかってしまう。
それはそれで脆い体では長く持たなくなる。
ただ少し健康体なだけで全く鍛えられていない軟弱で使えない体にデルゼウズは苛立ち始めていた。
「舐めるなよ!」
どうにかリュードの拳をかわしてデルゼウズが指先をクイっと上に向ける。
それだけで腕ほどの太さがある黒い針が地面から突き出してリュードを串刺しにしようとする。
相手がトーイの体なので魔法を使うなんてことリュードの頭から抜け落ちていた。
体をねじって回避しようとするけれど黒い針の1本がリュードの脇腹の鱗を砕いて血をにじませた。
ただ流石に魔人化した体は頑丈で魔法に貫かれずに済んだ。
「シャドードール」
まだトーイの体に馴染んでいないこともあり、身体能力で勝負をつけることは不利だと感じたデルゼウズはさらに魔法を使う。
デルゼウズの影が起き上がり、分裂していく。
トーイの体を大雑把に縁取ったような影の人形が5体出来上がった。
悪魔が得意なのは魔法だ。
別に体で戦う必要はなく魔法でリュードを殺してしまえばいいとデルゼウズは思った。
ただそれでは接近戦で負けた気にさせられるので魔法を使いながら接近戦のように勝負を決めようと自分の影を作り出した。
「このようなところでダラダラとしているつもりはない。さっさとお前を殺して外に出る!」
5体の影のデルゼウズが一斉にリュードに襲いかかる。
完全な数的不利である。
5対1など圧倒的な差があるが本体でないならリュードだって遠慮はしない。
5体もいるなら回避しても間に合わないし、そうしても防戦一方になってしまうのでただ消耗するだけになる。
村にいた時に大量のオヤジに囲まれて鍛錬させられたリュードは素手で複数を相手にする時に引いてはむしろ不利になってしまうことを知っていた。
反撃すること、前に出ること、圧力をかけることが大事なのである。
「負けるかよ!」
流石にデルゼウズの影は弱くない。
しかしリュードは殴られながらも前に出る。
鋭い爪を使って影を切り裂いて数を減らしていく。
魔法で作られた影の人形の攻撃は意外と重たいがリュードは一切怯むことがない。
「トーイを返せ!」
5体のシャドードールを倒してリュードは再びデルゼウズに近づく。
「せっかく呼び出されたのだ、もう少し楽しんでも良かろう?」
「それなら本体で来いよ!」
「そうしたくてもできない事情があるのだ。恨むなら愚かにも永遠の美しさなどを追い求めた阿呆に言うのだな!」
リュードとの正面での接近戦を嫌がるデルゼウズが魔法を放ちながらリュードと距離を取ろうとする。
黒い魔力の球が放たれてリュードはそれをかわしながら距離を詰めていく。
リュードの方が速くて、だんだんと距離が近づく。
「厄介だな……」
「どこに行くつもりだ!」
もう少しで届く。
そこまで近づいた瞬間、デルゼウズが背中を向けて走り出した。
「ぐわっ!」
「な、なぜこちらに……うわっ!」
まさか逃げるのかと思ったがデルゼウズが向かったのは兵士たちの方だった。
ガマガエルの従えていた兵士たちは状況もわからず、雇い主であるガマガエルが氷漬けにされていて次への指示もなくリュードとデルゼウズの戦いを遠巻きに見ていた。
兵士たちの中に入ったデルゼウズは魔法を使って兵士を殺し始めた。
突如として始まった無差別殺人にリュードも困惑する。
兵士を盾にするでもなく攻撃し出すとは目的はなんなのか。
「やめろ!」
とにかくあんなことはやめさせなければいけない。
散り散りに逃げ出す兵士が邪魔でデルゼウズになかなか近づけない。
トントンと指先で自分の首輪を叩いてみせるデルゼウズはニヤリと笑っている。
魔力を封じるはずの首輪をしたままなのにデルゼウズはなぜか魔力を扱えている。
なぜなのかとリュードは疑問であったけれど、実はこの首輪は悪魔が特別に用意したものであった。
かけられている魔法は悪魔が用意したものである。
ゆえに悪魔であるデルゼウズは首輪に影響されずに魔力を使うことができていたのであった。
「その体……返してもらうぞ」
「ハハハッ、一度入ってしまえばもう元には戻らん。それに大人しくやられるつもりもない」
「方法がないかどうかは、やってみてから決める……まずはトーイには悪いがあんたを倒して拘束させてもらうぞ!」
リュードが手を伸ばして雷を放つ。
体を傷つけることは申し訳ないけれど多少傷つけないことには止められない。
「やるな!」
デルゼウズもリュードに対抗して魔法を放った。
黒色の黒い稲妻が放たれ、リュードの雷とデルゼウズの黒い雷がぶつかり相殺される。
魔法を放った直後に走り出していたリュードは雷の影響が残ってほんのりとビリつく空気を切り裂くように一直線にデルゼウズと距離を詰めた。
リュードが拳をデルゼウズに突き出す。
殺してしまわないように爪は使わないがトーイだったなら致命傷になってしまいそうな勢いで殴りかかる。
「グアっ……チッ!」
速いがこれぐらいなら避けられる。
そのつもりで回避しようとしたデルゼウズであったがリュードの攻撃を避けきれずに腹に一発もらってしまう。
続いて顔にも一発食らってデルゼウズは悟った。
全てこの体が悪いと。
分かっていても避けきれない。
デルゼウズが持つ反射神経に体がついてこれていない。
目は悪くないので見えているがただ見えているだけである。
けれどもあまり無理に体を動かすと対応しきれない速さに負担がかかってしまう。
それはそれで脆い体では長く持たなくなる。
ただ少し健康体なだけで全く鍛えられていない軟弱で使えない体にデルゼウズは苛立ち始めていた。
「舐めるなよ!」
どうにかリュードの拳をかわしてデルゼウズが指先をクイっと上に向ける。
それだけで腕ほどの太さがある黒い針が地面から突き出してリュードを串刺しにしようとする。
相手がトーイの体なので魔法を使うなんてことリュードの頭から抜け落ちていた。
体をねじって回避しようとするけれど黒い針の1本がリュードの脇腹の鱗を砕いて血をにじませた。
ただ流石に魔人化した体は頑丈で魔法に貫かれずに済んだ。
「シャドードール」
まだトーイの体に馴染んでいないこともあり、身体能力で勝負をつけることは不利だと感じたデルゼウズはさらに魔法を使う。
デルゼウズの影が起き上がり、分裂していく。
トーイの体を大雑把に縁取ったような影の人形が5体出来上がった。
悪魔が得意なのは魔法だ。
別に体で戦う必要はなく魔法でリュードを殺してしまえばいいとデルゼウズは思った。
ただそれでは接近戦で負けた気にさせられるので魔法を使いながら接近戦のように勝負を決めようと自分の影を作り出した。
「このようなところでダラダラとしているつもりはない。さっさとお前を殺して外に出る!」
5体の影のデルゼウズが一斉にリュードに襲いかかる。
完全な数的不利である。
5対1など圧倒的な差があるが本体でないならリュードだって遠慮はしない。
5体もいるなら回避しても間に合わないし、そうしても防戦一方になってしまうのでただ消耗するだけになる。
村にいた時に大量のオヤジに囲まれて鍛錬させられたリュードは素手で複数を相手にする時に引いてはむしろ不利になってしまうことを知っていた。
反撃すること、前に出ること、圧力をかけることが大事なのである。
「負けるかよ!」
流石にデルゼウズの影は弱くない。
しかしリュードは殴られながらも前に出る。
鋭い爪を使って影を切り裂いて数を減らしていく。
魔法で作られた影の人形の攻撃は意外と重たいがリュードは一切怯むことがない。
「トーイを返せ!」
5体のシャドードールを倒してリュードは再びデルゼウズに近づく。
「せっかく呼び出されたのだ、もう少し楽しんでも良かろう?」
「それなら本体で来いよ!」
「そうしたくてもできない事情があるのだ。恨むなら愚かにも永遠の美しさなどを追い求めた阿呆に言うのだな!」
リュードとの正面での接近戦を嫌がるデルゼウズが魔法を放ちながらリュードと距離を取ろうとする。
黒い魔力の球が放たれてリュードはそれをかわしながら距離を詰めていく。
リュードの方が速くて、だんだんと距離が近づく。
「厄介だな……」
「どこに行くつもりだ!」
もう少しで届く。
そこまで近づいた瞬間、デルゼウズが背中を向けて走り出した。
「ぐわっ!」
「な、なぜこちらに……うわっ!」
まさか逃げるのかと思ったがデルゼウズが向かったのは兵士たちの方だった。
ガマガエルの従えていた兵士たちは状況もわからず、雇い主であるガマガエルが氷漬けにされていて次への指示もなくリュードとデルゼウズの戦いを遠巻きに見ていた。
兵士たちの中に入ったデルゼウズは魔法を使って兵士を殺し始めた。
突如として始まった無差別殺人にリュードも困惑する。
兵士を盾にするでもなく攻撃し出すとは目的はなんなのか。
「やめろ!」
とにかくあんなことはやめさせなければいけない。
散り散りに逃げ出す兵士が邪魔でデルゼウズになかなか近づけない。
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