人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
361 / 550
第五章

孤独、ではない5

しおりを挟む
「これが悪魔ってやつなのか……!」

 流石に若干魔法の威力は落ちているようであるけれど、それでも当たれば大きなダメージになる威力はある。
 リュードにも真似できないような魔法を扱う卓越した技術と能力の高さを見せつけられている。

 黒い魔力の槍や球、針がリュードを襲い、同時にデルゼウズは激しく剣で切りかかる。

 技量では格上の相手だと認めざるを得ない。
 不利な戦いにリュードはあくまでも冷静に戦う。

 魔法が体をかすめ、剣を首筋ギリギリで受け止める。
 ドンドンとリュードの動きが研ぎ澄まされていき、デルゼウズの動きに追いついていく。
 
「くっ……なんだ…………」

 ムチャクチャな戦いだとリュードも戦いながら思った。
 デルゼウズが一方的に攻めて、リュードがなんとかそれを防ぎ続けていた。

 終わりの見えない戦いだと思えるほどであったが、先に限界を迎えたのはデルゼウズだった。
 いや、デルゼウズというよりもトーイの体が限界を迎えたのだ。
 
 無理矢理魔力で強化して、魔法と剣の同時使用という負担のかかる戦いを続けたトーイの体は悲鳴を上げていた。
 デルゼウズの体が突然動かなくなり、頭がぼんやりとして足元がふらつく。

「ダメー!」

 回避と防御に集中していたリュードはデルゼウズの異変を見逃さず、すかさず反撃に出る。
 激しい戦闘の中であまりの相手にトーイの体を傷つけていけないとか制圧するとかすっかり頭から抜け落ちていた。

 ミュリウォの悲鳴のような声に我にかえったリュードは剣を止めてしまう。

「ふふっ、そこが甘いのだ」

 今度はリュードが隙を作ることになってしまった。
 できたのはほんの僅かに身をよじることだけだった。

「リューちゃん!」

 デルゼウズが手を突き出して黒い魔力の槍を打ち出した。
 かわしきることができずにリュードの肩を槍が貫いてルフォンが悲鳴を上げる。
 
 リュードのところに行きたいが、シャドードールは防御に徹するように動いていて粘り強く戦うためになかなか倒しきれない。

「手間をかけさせおって……」

 倒れたリュードにトドメを刺そうと迫るデルゼウズを止められる人はいない。

「あ……あ……」

 なんてことをしてしまったのだとミュリウォの目から涙が溢れ出す。

「リューちゃん!」

「リュード!」

「この私をここまで追い詰めたことは評価してあげましょう。しかしあなたの敗因はその反吐が出るような、甘さだ」

 デルゼウズは余裕を取り戻し、見下すようにリュードのことを見ている。

「クソッ……」

「この期に及んでそんな目ができるあなたを殺すのは惜しいですがもはや遊んでもいられない。終わりにしましょう」

「リューちゃーん!」

 デルゼウズがゆっくりと剣を持ち上げる。

「むっ?」

 そして振り下ろそうとした瞬間低くて響くような音がした。
 デルゼウズにも予想外の音で、敵襲かと警戒して振り返るがルフォンやラストはまだシャドードールと戦っていた。

 今の音はどこからだと探す。
 もう一度音がして、デルゼウズは天井を見上げた。

 天井にメキリと大きなヒビが走った。

「ここかぁーーーー!」

「な、なん」

「食らえ! ルフォン、ラスト、今だ!!」

 天井が崩壊した。
 驚くデルゼウズを素早く立ち上がったリュードが殴り飛ばす。

 状況は分からないけれど何かの変化が訪れることは確実だとリュードは考えた。
 何が起きてもデルゼウズを殴り飛ばすと決めていたリュードは天井が落ちてくる中でも素早く動くことができたのである。

 デルゼウズが殴られてコントロールしていたシャドードールの動きが悪くなった。
 ルフォンとラスト隙をついてシャドードールを倒してリュードのところに駆けつけた。

「伏せろ!」

 窪みのある部屋の真ん中にドンドンと天井が崩れ落ちてきて轟音と土埃が舞う。

「リューちゃん……!」

「いいから頭下げてろ!」

 リュードは真上に手を伸ばし、魔力を集める。

「はぁ!」

 リュードは魔法を放つ。
 下から上に、巨大な雷の柱が打ち上がって崩れて落ちてくる岩を飲み込んでいく。

 崩落の音とリュードの魔法の轟音と光で一切の状況が見えなくなる。

「ぐぅ……」

「リュード、大丈夫!?」

 リュードが魔法を使って消滅させたのでリュードの周り円形に岩のない空間が出来上がる。
 どうにか岩に潰されることなく済んだ。

 リュードの体がぐらりと揺れてラストが抱きかかえるように支える。
 命の危機は脱したが貫かれた肩の傷は重傷と言ってよく、出血は激しかった。

 無茶して動き、魔力もゴッソリと使ったために一瞬意識が遠のいた。

「待ってて! えっと、えっと……あった! はい、これ!」

 ルフォンが慌てて荷物を漁る。
 その中からポーションの入ったビンを取り出してリュードに渡す。

「悪いな……プハッ。何が起きたんだ?」

「分かんない……いきなり天井が崩れて……」

 ポーションが早速効き始めて肩の痛みがほんの少しだけ楽になる。
 魔人化を維持できなくて真人族の姿に戻ったリュードは顔色が悪い。

 崩れた天井の上は外で、日の光が差し込んできてリュードは光に目を細めた。

「よく、見つけられたな」

 ともかく二人と再会できたことは嬉しいことである。

「どこに居たって、どんなところだって絶対に見つけるよ」

「私だってリュードを諦めるつもりなんてないからね!」

「ふふっ、ありがとう」

「とりあえず少し休んで」

 ラストに支えられて地面に腰を下ろす。
 とりあえずデルゼウズの姿は見えず、状況も分からないがリュードは立っていることすら辛かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...