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第五章
孤独、ではない6
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「なんと! 人がいたのか!」
「だから言ったではありませんか! もっと慎重になるべきだと……」
「そうは言っても入り口を探している暇などなかったではないか!」
そして天井の崩落と共に上から降りてきた二人の男女がいた。
盾とメイスを持ったガタイのいい男性と白い鎧に身を包んだ精悍な顔つきをした女性が言い争っている。
「あれは……今はあなたと言い争っている時間はありません!」
ハッとした顔をした女性の視線の先にはリュードがいた。
肩から血を流して、非常に顔色が悪い。
キッと男性の方を睨みつけて女性はリュードの方に駆け寄ってきた。
「遅くなってしまい、申し訳ありません」
「……アンタは?」
「私、主神ケーフィス様にお仕えしております聖騎士のブレアと申します。よろしければケガの治療をしたいのですがよろしいでしょうか?」
「ああ、治してくれるならお願いするよ」
聖騎士のブレアと名乗る女性はリュードの肩に手をかざす。
淡い光に肩が包まれて、少しむず痒いような感覚がある。
時には宗教の違いやその宗教の教えのために他宗教の治療を拒むことがある。
なので相手に意識がないやよほど緊急でなければ一言治療してよいか聞くのはマナーである。
今ブレアがやっているのは神聖力による治療だった。
血が止まり、肩の肉が再生し始めて、リュードの呼吸が安定してくる。
ポーションの効果もあって肩の痛みはあまりなかったけれど、ポーションでは穴が空いた肩は簡単には治らない。
それが瞬く間に治ってしまう。
「どうして聖職者がここに?」
マヤノブッカは荒廃した都市である。
教会や神殿と言った宗教関係は撤退していてほとんどいない。
まして聖騎士なんてものがこんなところにいるはずもない。
「黒いツノの若い男性……」
一人が聖騎士ということはもう一人も聖職者の関係であるのだろうとリュードは思った。
男性の方が治療を受けるリュードをじっと見る。
「私たちがここにいるのは……ダリルさん、後ろです!」
「ムッ!」
ダリルと呼ばれた男性が振り向き様に盾を振った。
黒い魔力の球が飛んできていて、盾でそれを殴り飛ばした。
後ろにはデルゼウズがそこに立っていた。
リュードに殴り飛ばされて完全に崩壊に巻き込まれていたはずなのに全くの無傷であった。
「その不吉な魔力……貴様が悪魔だな」
ダリルと呼ばれた男性はデルゼウズのことを睨みつける。
「いかにも。そういう貴様は神の犬か」
余裕の表情を浮かべているものの内心で流石に分が悪すぎるとデルゼウズは思った。
何者かは分からないが強い神聖力を持った真人族が現れた。
結局リュードにトドメを刺すことも出来ず、少し見ない間に治療までされてしまっている。
何もかも上手くいかずにイライラする。
ガマガエルのくだらない欲望に付き合わされてこんなことになるなんて思いもしなかった。
せめて最初から本気でやっておけばよかった。
リュードを倒して血と肉を吸収でもできればもっと力をつけられたのにと頭の中で苛立った考えばかりが浮かぶ。
けれどそれにしてもおかしい。
デルゼウズが考えるよりも聖職者が来るのが早すぎる。
悪魔が出ればどこかの宗教から聖職者が派遣されることは普通のことである。
だから聖職者が来ることそのものに疑問はないのだが聖職者が来るにしてもまるで事前に待ち受けていたように到着が早いのである。
放っておいた低級の悪魔も狩りとられつつあることもデルゼウズは感じている。
しかしそんなことを考えている時間も、大悪魔たる自分が焦ったり遅れをとったような態度を見せるわけにはいかない。
悪魔には悪魔のプライドがある。
「悪いが時間がないんだ」
聖職者は愚かである。
そうなることなど絶対にあり得ないのに悪魔相手にすら改心を一度促してみせる連中である。
無駄に終わる説得なぞする意味もないのに毎回毎回神の懐の深さを説いてくる。
面白いのは少し聞いてやるフリをするとすぐに調子に乗ってきてバカのように大きな隙を見せるのだ。
その間に攻撃を加えてやると1人ぐらいは簡単に倒せる。
どうせこいつらもくだらない説教を始める。
デルゼウズはそう思っていた。
「貴様……!」
攻撃や回復、どう逃げるかはその時に考えようと目論んでいたのにダリルは説教くさい言葉を吐き出す前にメイスを振り上げてデルゼウズに接近した。
ためらいなく振り下ろされたメイスは説得を試みる者の威力ではない。
デルゼウズは驚きながら間一髪のところでメイスをかわした。
メイスが地面に当たって土埃が舞い、地面が軽く陥没して一切の手加減がない威力だったことが見て分かる。
体に当たっていたらと考えるとゾクリとする。
「その人の体は悪魔に取り憑かれているだけなんです! 殺さないでください!」
リュードがダリルに叫ぶ。
デルゼウズは本体ではなくトーイの体を借りてここにいるにすぎない。
「な、なんだと。それはやっか……」
「よそ見とは余裕だな!」
ダリルはうっかり全力で殺しにかかっていた。
リュードの話を聞いて動揺を見せたダリルの頭にデルゼウズの蹴りが入る。
「卑怯だな」
リュードですら重いと感じていたデルゼウズの蹴りをダリルはぶっ飛ぶこともなく首の力で受け止めていた。
「俺はもう大丈夫なのであちらをお願いできますか」
肩の傷もあらかた治った。
トーイの体からデルゼウズを追い出す方法をリュードは持ち得ていないが聖職者なら可能かもしれないと思う。
「どうかトーイを助けてください!」
ああなっていたのはリュードだったかもしれない。
トーイが勇気を振り絞って助けてくれたおかげでリュードはデルゼウズに体を乗っ取られずに済んだ。
「分かりました。私たちにお任せください」
リュードの真剣なお願いにブレアは力強く頷く。
ダリルとデルゼウズは激しい戦いを繰り広げている。
リュードと戦っている時と同様に魔法と剣を駆使して戦うデルゼウズにダリルは苦戦している。
「だから言ったではありませんか! もっと慎重になるべきだと……」
「そうは言っても入り口を探している暇などなかったではないか!」
そして天井の崩落と共に上から降りてきた二人の男女がいた。
盾とメイスを持ったガタイのいい男性と白い鎧に身を包んだ精悍な顔つきをした女性が言い争っている。
「あれは……今はあなたと言い争っている時間はありません!」
ハッとした顔をした女性の視線の先にはリュードがいた。
肩から血を流して、非常に顔色が悪い。
キッと男性の方を睨みつけて女性はリュードの方に駆け寄ってきた。
「遅くなってしまい、申し訳ありません」
「……アンタは?」
「私、主神ケーフィス様にお仕えしております聖騎士のブレアと申します。よろしければケガの治療をしたいのですがよろしいでしょうか?」
「ああ、治してくれるならお願いするよ」
聖騎士のブレアと名乗る女性はリュードの肩に手をかざす。
淡い光に肩が包まれて、少しむず痒いような感覚がある。
時には宗教の違いやその宗教の教えのために他宗教の治療を拒むことがある。
なので相手に意識がないやよほど緊急でなければ一言治療してよいか聞くのはマナーである。
今ブレアがやっているのは神聖力による治療だった。
血が止まり、肩の肉が再生し始めて、リュードの呼吸が安定してくる。
ポーションの効果もあって肩の痛みはあまりなかったけれど、ポーションでは穴が空いた肩は簡単には治らない。
それが瞬く間に治ってしまう。
「どうして聖職者がここに?」
マヤノブッカは荒廃した都市である。
教会や神殿と言った宗教関係は撤退していてほとんどいない。
まして聖騎士なんてものがこんなところにいるはずもない。
「黒いツノの若い男性……」
一人が聖騎士ということはもう一人も聖職者の関係であるのだろうとリュードは思った。
男性の方が治療を受けるリュードをじっと見る。
「私たちがここにいるのは……ダリルさん、後ろです!」
「ムッ!」
ダリルと呼ばれた男性が振り向き様に盾を振った。
黒い魔力の球が飛んできていて、盾でそれを殴り飛ばした。
後ろにはデルゼウズがそこに立っていた。
リュードに殴り飛ばされて完全に崩壊に巻き込まれていたはずなのに全くの無傷であった。
「その不吉な魔力……貴様が悪魔だな」
ダリルと呼ばれた男性はデルゼウズのことを睨みつける。
「いかにも。そういう貴様は神の犬か」
余裕の表情を浮かべているものの内心で流石に分が悪すぎるとデルゼウズは思った。
何者かは分からないが強い神聖力を持った真人族が現れた。
結局リュードにトドメを刺すことも出来ず、少し見ない間に治療までされてしまっている。
何もかも上手くいかずにイライラする。
ガマガエルのくだらない欲望に付き合わされてこんなことになるなんて思いもしなかった。
せめて最初から本気でやっておけばよかった。
リュードを倒して血と肉を吸収でもできればもっと力をつけられたのにと頭の中で苛立った考えばかりが浮かぶ。
けれどそれにしてもおかしい。
デルゼウズが考えるよりも聖職者が来るのが早すぎる。
悪魔が出ればどこかの宗教から聖職者が派遣されることは普通のことである。
だから聖職者が来ることそのものに疑問はないのだが聖職者が来るにしてもまるで事前に待ち受けていたように到着が早いのである。
放っておいた低級の悪魔も狩りとられつつあることもデルゼウズは感じている。
しかしそんなことを考えている時間も、大悪魔たる自分が焦ったり遅れをとったような態度を見せるわけにはいかない。
悪魔には悪魔のプライドがある。
「悪いが時間がないんだ」
聖職者は愚かである。
そうなることなど絶対にあり得ないのに悪魔相手にすら改心を一度促してみせる連中である。
無駄に終わる説得なぞする意味もないのに毎回毎回神の懐の深さを説いてくる。
面白いのは少し聞いてやるフリをするとすぐに調子に乗ってきてバカのように大きな隙を見せるのだ。
その間に攻撃を加えてやると1人ぐらいは簡単に倒せる。
どうせこいつらもくだらない説教を始める。
デルゼウズはそう思っていた。
「貴様……!」
攻撃や回復、どう逃げるかはその時に考えようと目論んでいたのにダリルは説教くさい言葉を吐き出す前にメイスを振り上げてデルゼウズに接近した。
ためらいなく振り下ろされたメイスは説得を試みる者の威力ではない。
デルゼウズは驚きながら間一髪のところでメイスをかわした。
メイスが地面に当たって土埃が舞い、地面が軽く陥没して一切の手加減がない威力だったことが見て分かる。
体に当たっていたらと考えるとゾクリとする。
「その人の体は悪魔に取り憑かれているだけなんです! 殺さないでください!」
リュードがダリルに叫ぶ。
デルゼウズは本体ではなくトーイの体を借りてここにいるにすぎない。
「な、なんだと。それはやっか……」
「よそ見とは余裕だな!」
ダリルはうっかり全力で殺しにかかっていた。
リュードの話を聞いて動揺を見せたダリルの頭にデルゼウズの蹴りが入る。
「卑怯だな」
リュードですら重いと感じていたデルゼウズの蹴りをダリルはぶっ飛ぶこともなく首の力で受け止めていた。
「俺はもう大丈夫なのであちらをお願いできますか」
肩の傷もあらかた治った。
トーイの体からデルゼウズを追い出す方法をリュードは持ち得ていないが聖職者なら可能かもしれないと思う。
「どうかトーイを助けてください!」
ああなっていたのはリュードだったかもしれない。
トーイが勇気を振り絞って助けてくれたおかげでリュードはデルゼウズに体を乗っ取られずに済んだ。
「分かりました。私たちにお任せください」
リュードの真剣なお願いにブレアは力強く頷く。
ダリルとデルゼウズは激しい戦いを繰り広げている。
リュードと戦っている時と同様に魔法と剣を駆使して戦うデルゼウズにダリルは苦戦している。
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