人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
374 / 550
第六章

封鎖された国3

しおりを挟む
「やれやれ、この年でこんなに走らされる事になるとは思いもせんかったわい」

 当然の如く焚き火のそばに腰を下ろしたドワーフはビューランデルデと名乗った。
 ビューランデルデは背負った自分の身の丈ほどもありそうなリュックを下ろして足を揉む。

 ルフォンが水を渡してやると一気に飲み干してしまい、リュードの呆れたような視線を乾いた笑いでごまかした。
 
「酒はないのか?」

「残念ながら」

「ハッハッハッ、冗談だよ!」

 ビューランデルデも実は酒があるなら本当に要求するつもりだった。
 ないなら出しようもないので冗談だったと笑って終わりにする。

 帰りの分の酒を残しておくんだったとビューランデルデは後悔した。
 大変だろうからと高い酒を持ってきてしまったがばかりにあっという間に飲み干してしまった。
 
「本当に助かった。お前さんたちはこんなところで何を? どこかへ行く途中か?」

 焚き火を囲んで座る中で自然に溶け込んでいるビューランデルデだけど、お座りくださいとも一言も言っていない。
 夜に魔物に追われていた人を追い出すことはしないけどいささか気さくが過ぎる。

「俺たちはドワーフの国に向かっていたんだ」

 今更文句を言っても仕方がない。
 相手が気さくに接してくるならリュードも相応に対応する。

「なに? ドワガルに行くつもりなのか? あそこは魔人族であっても簡単に入れるところではないぞ」

「分かっています。けど今回はちょっとツテがありまして」

 チラリとラストを見る。
 ドワーフと交流がある血人族の紹介状があれば中に入れるはずである。

 今はなんと紹介状どころか王様の娘、いわゆる王女様が直接来ているのだ。
 入れる事にあまり疑いは持っていない。

「そうか……ワシもドワガルに帰るところなんだが一緒に行かせてもらってもいいか? 道案内ぐらいはできる……と言ってもほとんど一本道だかな」

「じゃあ、お願いします」

 行き先と進む道が同じなら特に断ることもない。
 拒否したところで同じ道を行くのに距離でも空けて歩くことになるだけだ。

 命の恩人だから是非デルデと呼んでくれというドワーフのデルデと共にドワーフの国であるドワガルに向かう事になった。

「見れば見るほどデルデはドワーフだな」

 ややずんぐりむっくりした体型だが太っているのではなく筋肉質。
 髭も含めて毛量が多くて、固そうな毛質をしている。

 性格は明るく気さくで細かいことを気にしない。
 少し無遠慮だと思えるところもあるがどこか憎めず、一緒にいて楽しいオッサンである。

 リュードがイメージしていたドワーフとほとんど同じであった。

「あんなか何入ってるんだろうね?」

 デルデは体と同じくらいの大きなリュックを背負っていてラストは中身が気になっていた。
 野営の時に退かそうとしてひどく重たく、何が入っているのか聞いてみたら自分で掘ってきた鉱石が入っているのだと言った。

 あれをずっと背負っているのだと考えるとドワーフの力は結構強い。
 話を聞くと一人で鉱石を掘りに行って、帰ってくる時にミスリルリザードに見つかって追いかけられてしまったらしい。
 
 執念深くてどれほど逃げても追いかけてくるので限界が近かったところにリュードたちが現れた。
 道は一本だがドワーフしか知らないような抜け道なんかを教えてもらってドワガルまで予想よりも早く到着することができた。

「申し訳ございません。それでもお通しできません」

「なんでぇ!」

 ドワガルは巨大な山の麓の一部をくり抜いて作られた都市である。
 そしてドワガルの特殊なところはその立地もそうなのであるが、都市が1つしかないというところである。

 つまりドワガルとはドワガルという国であり、ドワガルという都市でもある。
 山周辺もドワガルの領土となっているが他にドワガルの居住地はないのだ。

 そんなドワガルは入るのには巨大な門を通らなければならないのだけれど、その門は今固く閉ざされていた。
 門の前にはリュードたちも含めて困り果てたような表情の人がたくさんいた。

 なんのツテもなく武器を求めて訪ねてきた冒険者が入れないのはもちろんのこと、交流のある商人や紹介状を持つ王女様まで入ることを断られた。
 誰も入れられないのですと髭のない若いドワーフが困ったように繰り返している。

 これがリュードたちに対するお礼であるのに入れてもらわねば困る王女様は食い下がるが、相手は申し訳なさそうに謝罪を繰り返す。
 王女様アピールも紹介状も効果がなく、これじゃラストがドワーフをいじめているみたいにも見えてしまう。

「やはりな……」

 デルデがため息をついた。
 ツテがあっても入れないだろうことはデルデには分かっていた。

「ちょっとよいか?」

「はっ……ビューランデルデ様ではございませんか! 皆さまお探しでしたよ!」

「ふん、どうせ時間を浪費するだけの話し合いのためにだろう? ならワシなぞ必要ないわい。そんなことよりこやつらはワシの客じゃ。中に入れてやってくれ」

「ビューランデルデ様のお客様ですか? ……少々お待ちください」

 若いドワーフでは中に入れてよいかの判断がつかない。
 上の者に判断を仰ぎにドワーフが中に入っていった。

 そして程なくして戻ってくる。

「お待たせいたしました。ビューランデルデ様がご責任を持たれるというのであらばお入れになっても構わないとのことでした」

「ワシの客だ、ワシが当然責任を持つに決まっている! またくだらんことで時間を使いおってに」

「分かりました。それでは中にお入りください」

 若いドワーフは巨大な門ではなく、その横にある小さい門を開く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...