人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

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第六章

静かな森の不穏な気配2

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「なるほど……まあ、これは練習用にって買ったものだからね……」

「まあまだ発展途上でお前さんの剣も変わっていくかもしれないから一概には言えんがな」

 せっかくドワガルにいたのだ、こんなことならドワガルで剣の一本でも買っておけばよかったとラストは思った。
 アドバイスを受けたのは今だし、ドワガルにいる時は弓を作ってもらったので今更な話である。
 
「別に今でも悪かない。ただそうした方がもっと良いかもしれないという話だ」

「デルデさーん……」

「いやだ」

「まだ何も言ってないでしょーが!」

「どうせ剣を作って欲しいとか言うのだろう? ワシに剣を打って欲しいならもっと腕を上げることだな! ……リュードが欲しいというなら作ってやらんこともないがな」

「えー……ひーきだぁ。私だって才能はあるでしょ?」

 なかなか高飛車な発言であるが、ラストに才能があるかないかで言ったらかなり才能がある方だ。
 そこはリュードもデルデも認めるところだ。

「ふん、上等な才能はあるな。しかし天才かまでは分からんし、才能があってもそれを伸ばせない奴らも大勢いる。こう……ワシに電撃でも走るような印象がなければハンマーは振るわん」

「リュード、電撃やっちゃって!」

「なんでだよ!」

「年寄りを殺す気か!」

 電撃でも走るようなと言う比喩表現に本当に電撃を流そうとしてどうする。

「才能で言えば弓の方が上かもしれなんな。剣も上等だから悪くはないが使ってきた歴史もあるだろうな。ただワシは弓は専門外だがな。矢尻なら作ってやれんこともないが」

「まあ……それなら」

 デルデはふんと鼻息を吹く。
 弓の方が本職なのはラストも理解している。

 弓の方なら武器を作ってもよいと言われてラストも悪い気はしない。
 剣の方だって才能なしではないのだから、今からでも努力を続ければデルデの方から剣を作らせてくださいと言わせることだって出来るはずだとラストは思った。

 全てにおいて傑出した才能の持ち主であることなどあり得ないのだからある程度はしょうがない。

「……ラスト」

「なーに?」

「ほれ、こんなのはどうだ?」

 リュードは不意に取り出した剣をラストに差し出した。

「これは?」

「そういえばちょうどよさそうなものがあったと思ってな」

 ドワーフたちはすっかり王者となったリュードに優先的に勝負を挑むために美味い酒と挑戦料として武器やらなんやらを差し出した。
 様々差し出されたものはあったけれど分類してみると多かったのは剣である。

 一般的な武器でもあるので数が多く、別にリュードが使いそうでもない剣も多かった。
 全てのものをまだ把握しきれてはいないが、剣は大体どんなものがあるのか確認してある。

 挑戦料とするためにどのドワーフも結構な自信作を持ってきていた。
 中には自分の武器がいかに優れているのか飲みながら熱弁していたドワーフもいた。

 そんな熱弁を振るっていたドワーフが持ってきた剣だった。

「わあっ……! キレイ!」

 受け取ったラストが剣を抜いた。
 剣身は赤く細身でやや短めな剣が姿を見せた。

 ラストの瞳のような深く澄んだ赤さではないけれど、鮮やかで人も目を惹きつけるような美しい剣である。
 ドワーフの熱弁によると炎華宝という火属性の魔力を持つ宝石を細かく砕いて混ぜ込んで作った剣で魔力を込めると熱を発するらしい。

 ラストが振り回してみると赤い剣は軽く、片手でも問題なく振り回すことができた。
 体格の良く力のあるリュードが使うには軽すぎ短すぎで剣として扱うか、ナイフみたいに扱うか中途半端な感じになってしまうがラストにはちょうどよい。

 赤い剣はラストの容姿にもよく似合っている。
 人に合う武器は意外と見た目の一体感としても合っているものだったりする。

「ほう? その剣の方がお前さんに合っていそうだな」

 振り回す様子を見てデルデも感心した様子だ。

「こ、これ、いいの?」

 剣としての質もかなり高そう。
 売れば高値で売れることだろう。

 最悪リュードならば扱えないこともないしリュードが貰ったものを貰っていいのか。
 ラストはすでに返す気などなさそうにキラキラした目をリュードに向けた。

「俺は使わないからな。なら才能のある人で使う人に使ってもらうのが一番だ。それに俺にこれをくれたドワーフも使うべき人が使ってくれる方が嬉しいって言ってたぞ」

「そっか、ありがとうリュード!」

「お礼は名前も知らないドワーフのおっさんに言ってくれ」

 初めて持ったはずなのに手に馴染むよう。
 抜き身の剣を抱きしめてしまいそうな衝動を抑えながらラストは笑顔でお礼を言って、顔も知らないドワーフのおじさんにも心でお礼を告げた。

「ルフォン」

「なーにー?」

 その様子を見てちょっと拗ねた顔をしているルフォン。
 嬉しそうに剣を振り回して具合を確かめているラストは全然気づいていなかった。

 ちょっとばかりラストに甘すぎて、ずるくはないかとむくれている。

「手を出して」

「……はい」

「ちゃんとルフォンのことも忘れてないよ」

「リューちゃん……これは…………」

「髪留めだよ。料理する時にでも使ってくれ」

 最近剣を教えてもいるのでルフォンよりもラストに構う時間の方が多くて、ルフォンが不満そうなオーラを出していることにリュードは気づいていた。
 まだ旅に不慣れなこともあって気にかけているのだけど、ラストの方もリュードを何かと頼るので距離も近かったりする。

 ただルフォンのことは忘れてないし考えている。
 こんな外であげるつもりはなかったのだけどラストに剣をプレゼントして、ルフォンには何もなしだと不公平だ。

 これ以上はルフォンの不満も溜まりすぎてしまうので先手を打っておくのだ。
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