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第六章
せめて見つけてあげたい3
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「……みんな触るな」
駆け寄ってみるが倒れている人は動かない。
声への反応も呼吸する胸の動きもない。
毒で苦しんだだろうか、それとも腹部に空いた大きな穴で先に亡くなっただろうかと考える。
「動かすぞ、すまないな」
リュードが手袋を着けて死体を裏返す。
年は大体ウメハトと同じくらいに見える男性だった。
開きっぱなしの目を閉じてやってリュードはゆっくりとため息をついた。
多分毒で長く苦しむことはなかっただろうとは思った。
男の腹部には大きな穴が空いていて、その周りが痛々しく黒く変色している。
毒が体に回りきっていないので、多分だけど毒が体に回る前に死んだのだ。
それが幸か不幸かどっちと言っていいのか知らないけれど全身黒くなっているよりはマシかもしれない。
「名前が確認できるものは……」
リュードは男の懐をまさぐる。
死体を漁るのは気分が良くないけどそうした依頼だから仕方ないと割り切る。
財布と一緒に入れてあった冒険者証を確認する。
ウメハトの仲間だろうけど後に報告するためには名前の確認が必要だ。
これでウメハトの仲間ではない死体だったらそれもまた問題となる。
名前を確認してリストを見るとウメハトのパーティーのメンバーであった。
死体があって顔が綺麗で名前も分かって町に戻ってくる。
冒険者の死に様としてはまだ上等なものだ。
そんな話を酔っ払って叫ぶように会話していた冒険者のことをふと思い出した。
死体が見つからないことで行方不明になる冒険者も多い。
死んだと明確に言えるのも運がいい方なのだ。
その酔っ払いの友人は片腕しか帰ってこなかった。
古傷から友人のものだと分かったらしいが、腕一本でどうしろと言うんだと最後は泣き崩れていた。
「死んでなお運が良いなんてことはないよな」
見つかることは幸運である。
下を見れば限りないからそう言えることだけど、死なないことが一番の幸運だ。
リュードは大きな袋を取り出した。
デルデにも手袋を渡して手伝ってもらって男の死体を袋に詰める。
袋に冒険者の名前と発見者であるリュードの名前を書く。
そして木にロープで吊るす。
出来るなら連れ帰ってやりたいところだけど今は出来ない。
重たい死体を持って歩くことはできないし他のメンバーも探さねばならないからだ。
吊るしておけば大体の魔物は手が出せない。
地図に大体の位置を記し付けて、この死体にはもう少し待ってもらうことにする。
一々帰ってもいられない。
後で冒険者ギルドに報告して、冒険者ギルドが死体の回収に向かうのである。
懐を漁った挙句に袋に詰めて吊るすなんてとんでもないことだけど現状できる最良の手段だから許してほしい。
こうすることでのちに死体が帰ってきて少しでも心が軽くなる人がいるのだからやるしかないのだ。
その後も一人の死体を見つけた。
そちらの方もウメハトのパーティーのメンバーだった。
女性冒険者だったのだけど全身が黒くなっていて毒で死んだのだとリュードは推測した。
ウメハトの様子を見るに楽に死ねる毒じゃない。
女性なのに顔も黒く毒で染まってしまっているのもまた同情をしてしまう。
こちらもまた袋に詰めて木に吊るす。
「しょうがないとはいえ重たい仕事だな」
「必要なことだとやりはするけど、気持ちは割り切れないよな」
事前にルフォンが作ってくれていたお昼を食べながらリュードはため息をついてしまう。
帰ってこない時点でこうした結末は予想できていたけれど、ほんのわずかに残っていた希望も打ち砕かれたような気がする。
死体を見つけて名前を確認して袋詰めにするとやるせない気持ちになってくる。
「そうだね。……でもこうなったら見つけてあげたいね」
「うん。見つけられるなら見つけてあげようよ」
ある種の希望というか幸運としてはキラービーにやられた死体は毒に冒されていることである。
それのどこが幸運なのかというと、猛毒に体が冒されているために魔物に食い荒らされないのだ。
命としては助からないけど、死体としては残っている可能性が高い。
毒のせいで死ぬけど毒のおかげで死んだ後は見つけられる。
皮肉なものである。
「しかし凶悪な魔物もいるものだな」
二つの死体は結構距離が離れている。
さらにいえば待ち伏せ地点からも離れている。
しつこく追いかけ回して冒険者を襲ったのだとわかる。
そこまでする理由がデルデには分からなかった。
「キラービーが凶悪な魔物なのはそうだけど、おかしいらしいぞ」
「おかしいってなんだ?」
「キラービーは攻撃されたり巣に近づかれたりすると凶暴な魔物だけど普段はそんなに積極的に人を襲う魔物でもないらしい。敵対的な行動を取らないで大人しくしていれば巣から離れたところでは人に手を出してこないんだと」
そこがウメハトたちの話と矛盾する。
ウメハトたちは確かに敵対的な行動を取ってしまった。
それが行けなかったのだけどキラービーの方もわざわざウメハトたちに接近してきたのだ。
互いに近づかなきゃ戦いにならない。
キラービーの方も人に近づいてこないはずなのに近づいてきたからウメハトたちも攻撃してしまったという経緯があった。
だからキラービーの行動としても若干おかしなところがあると言えるのだ。
駆け寄ってみるが倒れている人は動かない。
声への反応も呼吸する胸の動きもない。
毒で苦しんだだろうか、それとも腹部に空いた大きな穴で先に亡くなっただろうかと考える。
「動かすぞ、すまないな」
リュードが手袋を着けて死体を裏返す。
年は大体ウメハトと同じくらいに見える男性だった。
開きっぱなしの目を閉じてやってリュードはゆっくりとため息をついた。
多分毒で長く苦しむことはなかっただろうとは思った。
男の腹部には大きな穴が空いていて、その周りが痛々しく黒く変色している。
毒が体に回りきっていないので、多分だけど毒が体に回る前に死んだのだ。
それが幸か不幸かどっちと言っていいのか知らないけれど全身黒くなっているよりはマシかもしれない。
「名前が確認できるものは……」
リュードは男の懐をまさぐる。
死体を漁るのは気分が良くないけどそうした依頼だから仕方ないと割り切る。
財布と一緒に入れてあった冒険者証を確認する。
ウメハトの仲間だろうけど後に報告するためには名前の確認が必要だ。
これでウメハトの仲間ではない死体だったらそれもまた問題となる。
名前を確認してリストを見るとウメハトのパーティーのメンバーであった。
死体があって顔が綺麗で名前も分かって町に戻ってくる。
冒険者の死に様としてはまだ上等なものだ。
そんな話を酔っ払って叫ぶように会話していた冒険者のことをふと思い出した。
死体が見つからないことで行方不明になる冒険者も多い。
死んだと明確に言えるのも運がいい方なのだ。
その酔っ払いの友人は片腕しか帰ってこなかった。
古傷から友人のものだと分かったらしいが、腕一本でどうしろと言うんだと最後は泣き崩れていた。
「死んでなお運が良いなんてことはないよな」
見つかることは幸運である。
下を見れば限りないからそう言えることだけど、死なないことが一番の幸運だ。
リュードは大きな袋を取り出した。
デルデにも手袋を渡して手伝ってもらって男の死体を袋に詰める。
袋に冒険者の名前と発見者であるリュードの名前を書く。
そして木にロープで吊るす。
出来るなら連れ帰ってやりたいところだけど今は出来ない。
重たい死体を持って歩くことはできないし他のメンバーも探さねばならないからだ。
吊るしておけば大体の魔物は手が出せない。
地図に大体の位置を記し付けて、この死体にはもう少し待ってもらうことにする。
一々帰ってもいられない。
後で冒険者ギルドに報告して、冒険者ギルドが死体の回収に向かうのである。
懐を漁った挙句に袋に詰めて吊るすなんてとんでもないことだけど現状できる最良の手段だから許してほしい。
こうすることでのちに死体が帰ってきて少しでも心が軽くなる人がいるのだからやるしかないのだ。
その後も一人の死体を見つけた。
そちらの方もウメハトのパーティーのメンバーだった。
女性冒険者だったのだけど全身が黒くなっていて毒で死んだのだとリュードは推測した。
ウメハトの様子を見るに楽に死ねる毒じゃない。
女性なのに顔も黒く毒で染まってしまっているのもまた同情をしてしまう。
こちらもまた袋に詰めて木に吊るす。
「しょうがないとはいえ重たい仕事だな」
「必要なことだとやりはするけど、気持ちは割り切れないよな」
事前にルフォンが作ってくれていたお昼を食べながらリュードはため息をついてしまう。
帰ってこない時点でこうした結末は予想できていたけれど、ほんのわずかに残っていた希望も打ち砕かれたような気がする。
死体を見つけて名前を確認して袋詰めにするとやるせない気持ちになってくる。
「そうだね。……でもこうなったら見つけてあげたいね」
「うん。見つけられるなら見つけてあげようよ」
ある種の希望というか幸運としてはキラービーにやられた死体は毒に冒されていることである。
それのどこが幸運なのかというと、猛毒に体が冒されているために魔物に食い荒らされないのだ。
命としては助からないけど、死体としては残っている可能性が高い。
毒のせいで死ぬけど毒のおかげで死んだ後は見つけられる。
皮肉なものである。
「しかし凶悪な魔物もいるものだな」
二つの死体は結構距離が離れている。
さらにいえば待ち伏せ地点からも離れている。
しつこく追いかけ回して冒険者を襲ったのだとわかる。
そこまでする理由がデルデには分からなかった。
「キラービーが凶悪な魔物なのはそうだけど、おかしいらしいぞ」
「おかしいってなんだ?」
「キラービーは攻撃されたり巣に近づかれたりすると凶暴な魔物だけど普段はそんなに積極的に人を襲う魔物でもないらしい。敵対的な行動を取らないで大人しくしていれば巣から離れたところでは人に手を出してこないんだと」
そこがウメハトたちの話と矛盾する。
ウメハトたちは確かに敵対的な行動を取ってしまった。
それが行けなかったのだけどキラービーの方もわざわざウメハトたちに接近してきたのだ。
互いに近づかなきゃ戦いにならない。
キラービーの方も人に近づいてこないはずなのに近づいてきたからウメハトたちも攻撃してしまったという経緯があった。
だからキラービーの行動としても若干おかしなところがあると言えるのだ。
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