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第六章
冒険者にお任せあれ5
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「原因は不明なのですが魔物の群れがドワガルの方に向かってきているのを警戒中の衛兵が発見しました。魔物はミスリルリザードでおそらく鉱山にいた魔物だと思われます」
ドワガルの所領はドワガルの町だけでなく鉱山やその向こう側も領土である。
特に鉱山周辺は関係者以外立ち入り禁止の場所なので見回りがいる。
その見回りが移動する魔物の群れを見つけた。
異常な魔物の移動、しかもその方向はドワガルの方向であった。
「ミスリルリザードか……」
来た方向と見回りの話を合わせるとミスリルリザードが向かってきている魔物であるようだ。
みんなが最初に考えたのは討伐の失敗や手違いによって鉱山から魔物が逃げ出してきたのだと思った。
けれど今冒険者たちが向かっている鉱山はミスリルリザードの鉱山ではなく、方向も違っていた。
これまでの傾向として魔物は鉱山から大きく離れることはない。
そのために調査も楽で、討伐も鉱山の中で行うことになっていた。
仮にミスリルリザードが鉱山の中にいても討伐から大量に逃げ出してくるようなことも考えにくく、原因もわからない魔物の移動に一同に緊張が走る。
「ひとまず備えよう」
今はその原因を考えている時間はない。
被害が出る前にミスリルリザードを何とかせねばならない。
ミスリルリザードは非常に硬く、生半可な攻撃は通じない。
素早さも高いのでドワーフたちでは対処が難しい。
「数は分かりますか?」
「正確なことは分かりませんが30体ほどであるかと」
「多すぎるな」
リザーセツはため息をついた。
リュードたちを戦力と考えてもミスリルリザードの数が多い。
ドワーフの頭数はいるけど戦力として未知数な以上は、確実な数に数えることはできない。
このまま放っておけば町中に入ってくる危険も考えられる。
そうなると戦いの備えもしていない一般のドワーフたちも入り乱れて余計な危険が発生する。
さらに問題なのは門の外である。
ドワガルに入りたい人たちが集まるキャンプがある。
まず狙われるとしたらそこだ。
ドワガルよりも前にそこにいる冒険者なり商人なりが襲われることだろう。
少し魔物がいることはあるけどドワガルの前で大量の魔物に襲われたなどドワーフたちの信頼にも関わる。
ドワーフの信頼まで守る必要はないけど門を固く閉じて自分だけが助かれば良いと考えるほどリザーセツも人間が出来ていない。
鉱山を攻略に出ている冒険者たちだって帰ってくる時に魔物に遭遇してしまう可能性がある。
不意の遭遇、しかも攻略して疲れている時に何の備えもなく戦い始めると被害が出るに違いない。
「うーん、じゃあこんなんはどうですかね?」
ただ他のためとはいっても自分たちに被害を出しながら戦うほどの自己犠牲精神も備えてはいない。
悩むリザーセツにリュードが提案をした。
「……悪くないかもしれないな」
リュードの提案は悪くない作戦だとリザーセツは頷く。
リュードはリザーセツとは比べ物にならないほど酒を飲んでいるのに潰れる様子もなく思考がはっきりしている。
それどころか頭の回転が早く、ユニークなことを思いつく。
将来有望な冒険者だ。
リザーセツはだいぶリュードのことを気に入っていた。
ーーーーー
「27」
「30よりは少ないか」
見回りのドワーフがかなり早めに気づき、倒れるほどの猛ダッシュで伝えてくれたために時間的な余裕があった。
魔物の場所や数を把握するために疾風の剣のメンバーが偵察に出て帰ってきた。
ドワーフが見た時には走っていたけれど、現在のところ少し速度を落としてミスリルリザードがドワガルの方向に進行中である。
その数は27体であった。
30と言われていたよりは少ないけれどそんなに差はない。
「よし……みんな! 今ここにいるのは僕たちしかいない。ドワガルを守れるのは僕たちだけだ。家族や大切な人を守れるかはみんなの働きにかかっている。頼むぞ!」
「えっ…………や、やるぞ!」
「やるぞ! おっー!」
「…………」
「落ち込むなよ、リーダー」
「なんだかすいません……」
「いや、いいんだ」
リザーセツが士気を上げようとカッコ良く言葉を投げつけたが、ドワーフたちの視線はリュードの方に向いていた。
リザーセツへの信頼はまだ薄い。
まだリザーセツの指示に従うほどの関係はできていなかった。
信頼関係が気づけるほどの時間を過ごしていないので仕方のないことである。
緊急事態においてもそのような態度を取られるのは傷つくけど受け入れる必要がある。
むしろリュードが指示を出せば従ってくれそうなことは分かったので、リザーセツもリュードを介して指示を出そうと改めて思考を切り替える。
「ドワーフの信頼の差はわかっていたじゃないか」
「分かっていてもここまで露骨だとな……」
「あなたが悪いというよりもシューナリュード君が凄すぎるのね」
急ぎドワガルを出てミスリルリザードを迎えうつ準備をする。
ドワガル前のキャンプにも危険を知らせて避難を呼びかけた。
リュードたちが移動する間にミスリルリザードはさらに速度を落としてくれたので、思い通りの場所まで行くことができた。
戦場に選んだのは開けた草原。
森など木々があると速いミスリルリザードの方が有利であるし、周りの状況を把握して指揮を取るのも大変になる。
草原はミスリルリザードの進行方向にあったのでちょうど良かった。
ドワガルの所領はドワガルの町だけでなく鉱山やその向こう側も領土である。
特に鉱山周辺は関係者以外立ち入り禁止の場所なので見回りがいる。
その見回りが移動する魔物の群れを見つけた。
異常な魔物の移動、しかもその方向はドワガルの方向であった。
「ミスリルリザードか……」
来た方向と見回りの話を合わせるとミスリルリザードが向かってきている魔物であるようだ。
みんなが最初に考えたのは討伐の失敗や手違いによって鉱山から魔物が逃げ出してきたのだと思った。
けれど今冒険者たちが向かっている鉱山はミスリルリザードの鉱山ではなく、方向も違っていた。
これまでの傾向として魔物は鉱山から大きく離れることはない。
そのために調査も楽で、討伐も鉱山の中で行うことになっていた。
仮にミスリルリザードが鉱山の中にいても討伐から大量に逃げ出してくるようなことも考えにくく、原因もわからない魔物の移動に一同に緊張が走る。
「ひとまず備えよう」
今はその原因を考えている時間はない。
被害が出る前にミスリルリザードを何とかせねばならない。
ミスリルリザードは非常に硬く、生半可な攻撃は通じない。
素早さも高いのでドワーフたちでは対処が難しい。
「数は分かりますか?」
「正確なことは分かりませんが30体ほどであるかと」
「多すぎるな」
リザーセツはため息をついた。
リュードたちを戦力と考えてもミスリルリザードの数が多い。
ドワーフの頭数はいるけど戦力として未知数な以上は、確実な数に数えることはできない。
このまま放っておけば町中に入ってくる危険も考えられる。
そうなると戦いの備えもしていない一般のドワーフたちも入り乱れて余計な危険が発生する。
さらに問題なのは門の外である。
ドワガルに入りたい人たちが集まるキャンプがある。
まず狙われるとしたらそこだ。
ドワガルよりも前にそこにいる冒険者なり商人なりが襲われることだろう。
少し魔物がいることはあるけどドワガルの前で大量の魔物に襲われたなどドワーフたちの信頼にも関わる。
ドワーフの信頼まで守る必要はないけど門を固く閉じて自分だけが助かれば良いと考えるほどリザーセツも人間が出来ていない。
鉱山を攻略に出ている冒険者たちだって帰ってくる時に魔物に遭遇してしまう可能性がある。
不意の遭遇、しかも攻略して疲れている時に何の備えもなく戦い始めると被害が出るに違いない。
「うーん、じゃあこんなんはどうですかね?」
ただ他のためとはいっても自分たちに被害を出しながら戦うほどの自己犠牲精神も備えてはいない。
悩むリザーセツにリュードが提案をした。
「……悪くないかもしれないな」
リュードの提案は悪くない作戦だとリザーセツは頷く。
リュードはリザーセツとは比べ物にならないほど酒を飲んでいるのに潰れる様子もなく思考がはっきりしている。
それどころか頭の回転が早く、ユニークなことを思いつく。
将来有望な冒険者だ。
リザーセツはだいぶリュードのことを気に入っていた。
ーーーーー
「27」
「30よりは少ないか」
見回りのドワーフがかなり早めに気づき、倒れるほどの猛ダッシュで伝えてくれたために時間的な余裕があった。
魔物の場所や数を把握するために疾風の剣のメンバーが偵察に出て帰ってきた。
ドワーフが見た時には走っていたけれど、現在のところ少し速度を落としてミスリルリザードがドワガルの方向に進行中である。
その数は27体であった。
30と言われていたよりは少ないけれどそんなに差はない。
「よし……みんな! 今ここにいるのは僕たちしかいない。ドワガルを守れるのは僕たちだけだ。家族や大切な人を守れるかはみんなの働きにかかっている。頼むぞ!」
「えっ…………や、やるぞ!」
「やるぞ! おっー!」
「…………」
「落ち込むなよ、リーダー」
「なんだかすいません……」
「いや、いいんだ」
リザーセツが士気を上げようとカッコ良く言葉を投げつけたが、ドワーフたちの視線はリュードの方に向いていた。
リザーセツへの信頼はまだ薄い。
まだリザーセツの指示に従うほどの関係はできていなかった。
信頼関係が気づけるほどの時間を過ごしていないので仕方のないことである。
緊急事態においてもそのような態度を取られるのは傷つくけど受け入れる必要がある。
むしろリュードが指示を出せば従ってくれそうなことは分かったので、リザーセツもリュードを介して指示を出そうと改めて思考を切り替える。
「ドワーフの信頼の差はわかっていたじゃないか」
「分かっていてもここまで露骨だとな……」
「あなたが悪いというよりもシューナリュード君が凄すぎるのね」
急ぎドワガルを出てミスリルリザードを迎えうつ準備をする。
ドワガル前のキャンプにも危険を知らせて避難を呼びかけた。
リュードたちが移動する間にミスリルリザードはさらに速度を落としてくれたので、思い通りの場所まで行くことができた。
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