人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第六章

冒険者にお任せあれ7

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「はっ!」

 狙いは一点。
 口の中である。

 とことん体の外皮を硬くして魔法への耐性が高いミスリルリザードであるが、裏を返せばそれ以外は弱いという弱点がある。
 リザーセツの剣はミスリルリザードの上顎に突き刺さり、頭の中まで入って、頭の上にぶつかる。

 内側からでも外皮は硬いので突き出てはこない。
 しかし頭の中を突き刺されたミスリルリザードはそのまま後ろに突き飛ばされて動かなくなる。

「ふっ、体の表面が硬くても戦いようはあるのさ」

 正確さ、それに大胆さも兼ね備えている。
 相手に怯まず狙いすまして正確に突き抜く必要があるし、失敗すればやられて大怪我をしてしまうやり方なので度胸もいる。

 爪で引っ掻く攻撃もあるのでその見極めも必要で簡単に見えて簡単なことではない。

「ほぅ……なかなか……」

 素早く周りの状況を見るリザーセツを小さくうなった。
 フォローが必要なところや体が大きく優先して倒す必要のあるミスリルリザードを確認する。

 思わず感嘆の声を漏らした。

「ラスト!」

「はいよ!」

 ルフォンとラストは二人一組で動いていた。
 周りを気にしながらもドワーフに任せてしっかりとミスリルリザード一体を相手取っている。

 ルフォンがミスリルリザードの気を引いて戦うけれど、単に囮になっているだけではない。
 関節部分の曲がるところは他に比べて柔らかい。

 ミスリルリザードを上回るスピードで相手を翻弄しながらそんな弱い部分を切り付けていた。
 他に比べて柔らかいといっても比べたらの話である。

 それでも硬い外皮なのにルフォンはしっかりと魔力をナイフに通して容易く見えるほどに切り裂いていた。

「くらえー!」
 
 ラストはラストで集中力を高めていた。
 ルフォンの動きを見ながら矢をつがえて弓を引く。

 関節を攻撃されて動きが鈍くなり、ルフォンに完全に気を取られたミスリルリザードの目や口を狙う。
 動いたルフォンに遅れて反応して首を振ったミスリルリザードの喉奥に矢が突き刺さる。

 近くだとラストでも追いきれないけど、少し離れていればルフォンがどう動くのかも今なら分かる。
 ミスリルリザードがラストの方に顔を向けるわずかな隙を狙った。

 喉奥で魔力が爆発して、ミスリルリザードはひどく苦しむ。
 一撃で絶命はしなかったが喉が潰れてはそう長くはもたない。

「第三下がって第十と交代! そこ、気をつけろ!」

「悪い、助かった!」

 一方でリュードは忙しかった。
 なぜならドワーフの指揮を任されていたからである。

 リザーセツに従う気があまりない以上リュードがドワーフの指揮を取ることが適切である。
 周りの状況を広く捉えて、上手くミスリルリザードを分断してドワーフたちの負担になりすぎないように指示を飛ばしていた。

 目まぐるしく状況が変わっていくので頭がパンクしそうになりながらも、リュードはドワーフのフォローをするために走り回っていた。
 あまりにも混戦で雷属性の魔法は使えない

 リュードに余裕がなく、電気の性質を持つ雷属性の魔法を使うと敵味方入り混じっている状況下では他の人にも電撃が伝わってしまう可能性があった。

「そっちはもう少し離れて縦を構えろ!」
 
 もうちょっと余裕があればこれまでの鍛錬や加護のおかげでコントロールできるけどなんせ忙しすぎる。
 戦っていて分かったのは意外と蹴りが有効なことである。
 
 四足で地面に這いつくばっているミスリルリザードの背中は硬くても腹部はそんなに硬くなかった。
 なので蹴り上げるようにして腹部を狙うとダメージを与えられた。
 
 そこで慣れてきたドワーフにも少し変わった指示を出してみた。
 これまでは盾を使っての体当たりでミスリルリザードの気をひいてもらっていたけれど盾を斜めに傾けてミスリルリザードの下に入れてひっくり返してもらえないか試してみた。

「そーらっ!」

「いいぞ!」

 予想外の攻撃にミスリルリザードがゴロリと転がり腹を見せる。
 そこにリュードが剣を突き立てると背中よりもはるかに容易く剣がミスリルリザードの体を切り裂いた。

「敵の数も減ってきたな……」

 ミスリルリザードの数が減れば減るほどリュードも楽になる。
 ドワーフの方にも油断や隙、疲れが生じて攻撃を受けるものが出てきているが致命傷なものはいない。

 このまま減らしていけば思ったよりも早く片付くかもしれないと希望も見えてきた。

「リュードォ!」

 鼓膜が破れそうなほどの大声が響き渡る。
 そして隕石でも降ってきたかのような衝撃。

 リュードの目の前のミスリルリザードの体が背中側にくの字に曲がっていた。

「ダリル!」
 
 やったのはダリルだった。
 ダリルはドワーフの壁を飛び越えてミスリルリザードにメイスを思い切り振り下ろした。
 
 単純な力押しなやり方だが硬くても潰れるものは潰れる。
 斬撃よりももしかしたら打撃の方が有効だったかもしれないと思ったが、ダリルのとんでもないパワーがあってこそのやり方だった。

「あっ、あの方は……」

 後方でケガをしたドワーフの治療に当たっていたユリディカがダリルを見て驚きに目を見開く。

「ワハハッ、遅れてすまないな。私も参戦しよう!」

「助かるよ!」

 硬いミスリルリザードが逆に折れ曲がって死ぬほどの力なんてリュードには想像できない。
 ともあれ心強い味方が来てくれた。

 ダリルが周りに神聖力による強化をかけてくれた。
 全員纏めてなので効果は弱いが疲れてきていたところにもらえる強化はとても心強かった。
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