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第六章
お家を探して11
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「うーむ……」
負けたハチに出来るのは大人しく従うことだけで、リュードは意図せずこの場にいるキラービーの生殺与奪の権利を握ってしまったのだ。
理性ではない本能的で絶対的なルールにハチたちは縛られている。
人には人のルールがあるように魔物には魔物の従わなければならないルールがあるのだ。
それをリュードに押し付けるのはどうかと思うけど、何にしてもハチたちの処遇については決めて従ってもらう必要があるので不都合なことではない。
ただし背負わされるリュードの身になってみると、ただただ困りものである。
「諦めるんだ。リュード君、君が決めるしかない」
ハチがリュードに従う以上リザーセツに決められる問題ではない。
どんな判断をしてもリュードの考えを尊重するつもりでリザーセツは頷いた。
「……そうだな、殺すにしても生かすにしても自由なら楽か……君はどうしたい?」
抵抗しないで従うなら何を選んでも手間はかからない。
一応ハチにもどうしたいか聞いてみる。
「生きて……いたいです」
ハチに潤んだ瞳を向けられてはただの魔物とは思えなくなってリュードはウッと動揺してしまう。
やはり心を無にして倒しておくべきだったと今更ながら後悔する。
このように会話が成立してしまい、敵意もなく泣かれてしまうと同情心が生まれてしまう。
これが小汚いオッサン風ならざっくり倒せるのだけど、見た目も美少女風なのもまたズルい。
みんなも同情し始めているのが顔を見て分かる。
ただしなんとかポーションを飲んで支えられて鉱山から出てきたユリディカは殴られたこともあるし、同情している男たちに冷ややかな目を向けていた。
「ちょ、ちょーとまってよ! あのさ、失踪した冒険者は? それに他のパーティーの人たちは?」
ラストはここでハッと冷静になった。
あまりにも人っぽいハチにラストも同情し始めてはいるが、忘れちゃいけないものがある。
現在も残りの二パーティーは鉱山にいるし失踪したパーティーは安否が不明である。
もし仮にその人たちが無事でなかったとしたらただ同情して逃すわけにもいかなくなる。
「その冒険者たちはどこにいる?」
「…………」
「くぅ……またか」
質問を無視するハチにドワーフのことを思い出してリザーセツは落ち込む。
ハチはリュードに負けてリュードに命を握られているのであって、リザーセツはなんの関係もない。
「答えるんだ」
「……全員生きてらっしゃいます」
「本当なのか?」
「はい。奥の方に毒で痺れさせて捕らえてあります」
なのでリュードが質問すると何であろうとサラッと答える。
「殺さなかったのか?」
「そうすることもできましたがエサの蓄えも必要だったので」
魔物らしい答えではある。
キラービーの扱う毒は相手を死に至らしめる強力な毒だけではない。
相手を痺れさせて自由を奪う神経毒のようなものも持ち合わせていた。
その使い道は生き餌の確保である。
ただ単純に運が良かったといえる。
冒険者にとっても、ハチにとっても。
「連れてこれるか?」
「はい!」
「お前はダメだ。……そこの大きなキラービーが」
ハチのことはまだ信頼できない。
目を離した隙に逃げる可能性もある。
リュードが命令を出すと大キラービーが鉱山の中に飛んでいく。
そして大キラービーと冒険者を抱えたキラービーが鉱山の中から出てきた。
何と鉱山に入った別行動のパーティーも神経毒で捕まっていたのであった。
獲物の不用意な消耗を避けるために殺す時に比べて傷口も小さい。
口も聞けないほどに痺れてはいるけれど、意識はあって状況を理解はできるので理解できない状況に戸惑っていた。
「命に別状はない」
ダリルはユリディカも戦いで消耗していて神聖力もないので毒の治療もできないが、状態の確認ぐらいはできる。
死ぬほどの状態ではなく、治療ができない今は自然と毒が抜けるのを待つか神聖力の回復を待つしかない。
結局ハチは奪えたのに冒険者の命を奪わなかった。
結果的に、ではあるが殺さなかった事実は変わらないのである。
「……どうしたもんかな」
決断を迫られる。
生かすにしても問題がないわけでもないが、魔物というだけで積極的に殺すのもはばかられてしまう。
理性的で言葉通じてキラービーの統率も取れている。
殺さない選択肢がリュードの中で大きくなる。
「何か理由があれば……」
リスクは当然にあるけれど、リュードたちの毒気も抜かれてハチの利用価値を考え始める。
同時にリュードは昔の読んだ本のことを思い出していた。
ヴェルデガーが持っていた本で内容に興味があるというより貴重な原書をたまたま見つけたので失われるのが惜しくて保管していた。
著者の名前はダジュルミュリウスという人だった。
真魔大戦よりも前の時代にいた変人と呼ばれる研究者で研究内容は魔人族のルーツについてだった。
その記述された内容がリュードにとっては興味深くてよく覚えている。
現在でも魔人族のルーツは解明されていない。
真魔大戦以前はそうした研究も盛んだったようだけれど、現在は魔法の復旧に忙しいのでそうした研究を行う科学者は少ない。
現在における魔人族における主流な考えは真人族も魔人族も同じ種族であって魔物的な力を得るために進化した真人族が魔人族のルーツであるとされている。
どうしても純粋な能力で見ると魔物に人は敵わない側面があるから魔物を参考にそうした能力を得ようとした結果なのであるとされているのだ。
負けたハチに出来るのは大人しく従うことだけで、リュードは意図せずこの場にいるキラービーの生殺与奪の権利を握ってしまったのだ。
理性ではない本能的で絶対的なルールにハチたちは縛られている。
人には人のルールがあるように魔物には魔物の従わなければならないルールがあるのだ。
それをリュードに押し付けるのはどうかと思うけど、何にしてもハチたちの処遇については決めて従ってもらう必要があるので不都合なことではない。
ただし背負わされるリュードの身になってみると、ただただ困りものである。
「諦めるんだ。リュード君、君が決めるしかない」
ハチがリュードに従う以上リザーセツに決められる問題ではない。
どんな判断をしてもリュードの考えを尊重するつもりでリザーセツは頷いた。
「……そうだな、殺すにしても生かすにしても自由なら楽か……君はどうしたい?」
抵抗しないで従うなら何を選んでも手間はかからない。
一応ハチにもどうしたいか聞いてみる。
「生きて……いたいです」
ハチに潤んだ瞳を向けられてはただの魔物とは思えなくなってリュードはウッと動揺してしまう。
やはり心を無にして倒しておくべきだったと今更ながら後悔する。
このように会話が成立してしまい、敵意もなく泣かれてしまうと同情心が生まれてしまう。
これが小汚いオッサン風ならざっくり倒せるのだけど、見た目も美少女風なのもまたズルい。
みんなも同情し始めているのが顔を見て分かる。
ただしなんとかポーションを飲んで支えられて鉱山から出てきたユリディカは殴られたこともあるし、同情している男たちに冷ややかな目を向けていた。
「ちょ、ちょーとまってよ! あのさ、失踪した冒険者は? それに他のパーティーの人たちは?」
ラストはここでハッと冷静になった。
あまりにも人っぽいハチにラストも同情し始めてはいるが、忘れちゃいけないものがある。
現在も残りの二パーティーは鉱山にいるし失踪したパーティーは安否が不明である。
もし仮にその人たちが無事でなかったとしたらただ同情して逃すわけにもいかなくなる。
「その冒険者たちはどこにいる?」
「…………」
「くぅ……またか」
質問を無視するハチにドワーフのことを思い出してリザーセツは落ち込む。
ハチはリュードに負けてリュードに命を握られているのであって、リザーセツはなんの関係もない。
「答えるんだ」
「……全員生きてらっしゃいます」
「本当なのか?」
「はい。奥の方に毒で痺れさせて捕らえてあります」
なのでリュードが質問すると何であろうとサラッと答える。
「殺さなかったのか?」
「そうすることもできましたがエサの蓄えも必要だったので」
魔物らしい答えではある。
キラービーの扱う毒は相手を死に至らしめる強力な毒だけではない。
相手を痺れさせて自由を奪う神経毒のようなものも持ち合わせていた。
その使い道は生き餌の確保である。
ただ単純に運が良かったといえる。
冒険者にとっても、ハチにとっても。
「連れてこれるか?」
「はい!」
「お前はダメだ。……そこの大きなキラービーが」
ハチのことはまだ信頼できない。
目を離した隙に逃げる可能性もある。
リュードが命令を出すと大キラービーが鉱山の中に飛んでいく。
そして大キラービーと冒険者を抱えたキラービーが鉱山の中から出てきた。
何と鉱山に入った別行動のパーティーも神経毒で捕まっていたのであった。
獲物の不用意な消耗を避けるために殺す時に比べて傷口も小さい。
口も聞けないほどに痺れてはいるけれど、意識はあって状況を理解はできるので理解できない状況に戸惑っていた。
「命に別状はない」
ダリルはユリディカも戦いで消耗していて神聖力もないので毒の治療もできないが、状態の確認ぐらいはできる。
死ぬほどの状態ではなく、治療ができない今は自然と毒が抜けるのを待つか神聖力の回復を待つしかない。
結局ハチは奪えたのに冒険者の命を奪わなかった。
結果的に、ではあるが殺さなかった事実は変わらないのである。
「……どうしたもんかな」
決断を迫られる。
生かすにしても問題がないわけでもないが、魔物というだけで積極的に殺すのもはばかられてしまう。
理性的で言葉通じてキラービーの統率も取れている。
殺さない選択肢がリュードの中で大きくなる。
「何か理由があれば……」
リスクは当然にあるけれど、リュードたちの毒気も抜かれてハチの利用価値を考え始める。
同時にリュードは昔の読んだ本のことを思い出していた。
ヴェルデガーが持っていた本で内容に興味があるというより貴重な原書をたまたま見つけたので失われるのが惜しくて保管していた。
著者の名前はダジュルミュリウスという人だった。
真魔大戦よりも前の時代にいた変人と呼ばれる研究者で研究内容は魔人族のルーツについてだった。
その記述された内容がリュードにとっては興味深くてよく覚えている。
現在でも魔人族のルーツは解明されていない。
真魔大戦以前はそうした研究も盛んだったようだけれど、現在は魔法の復旧に忙しいのでそうした研究を行う科学者は少ない。
現在における魔人族における主流な考えは真人族も魔人族も同じ種族であって魔物的な力を得るために進化した真人族が魔人族のルーツであるとされている。
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