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第六章
共に生きる5
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「ふん……私はあなたには負けていません。なのであなたの命令になんて従いませんよ」
「へぇ? なら今やってみる?」
「負けて泣かないでくださいよ?」
「同じ言葉を返してあげる」
負けて泣いていたのはどっちだとルフォンは言いたくなる。
リュードの子種は渡さない。
「ケガしても知らないからね」
リュードとハチの戦いを見ていたルフォンは本気にならなきゃ勝てない相手だと魔人化をする。
体が大きくなり全身に毛が生える奇妙な感覚を乗り越えると、体中に力がみなぎり闘争本能が大きく刺激される。
ただ感覚も鋭敏になり、ドワーフのいびきや酒臭さが不快なほどに感じられる。
「リューちゃんの子種は私のもの!」
言ってて若干の恥ずかしさはあるけれどお酒の匂いにルフォンもまた思考が鈍り始めていた。
「地を這うことしかできないケモノが私に勝てると思わないでよ?」
ハチも羽を広げて羽ばたかせる。
短い間に二回も負けるわけにはいかない。
こうしてルフォンとハチの戦いが始まったのである。
「やあああっ!」
前回はほんの僅かな油断がハチの負けに繋がった。
今回は油断しないとハチは飛び上がる。
「速さなら誰にも負けない!」
負けられない女の戦いが始まった。
先に動いたのはハチ。
地面からギリギリのところを滑走し、目にも止まらぬ速さでルフォンに接近した。
しかしルフォンに接近したハチの目に飛び込んできたのはルフォンの拳。
「……ッ!」
速さ自慢はハチだけじゃない。
ルフォンもまたスピードタイプである。
他の人だったらとても捉えられない速度でもルフォンには正確にハチの動きが見えていた。
直線的に詰めてきたハチに対してルフォンは拳を突き出した。
ハチもまたルフォンの動きは見えているが、ルフォンの攻撃速度も速かった。
ギリギリのところで軌道を変えて回避したけれども、ハチの頬をルフォンの拳がかすめた。
「舐めないでよ!」
なんとかかわしたハチは再びルフォンから距離を取った。
ルフォンの力的にはリュードには遠く及ばないけれど、ハチの速度で拳に衝突すればリュードの拳にも負けないほどの威力となる。
自分の速度が通じないことにハチは驚く。
「むむ……」
「次はこっちの番だよ!」
戦闘経験の少ないハチは次にどうすべきなのか必死に考える。
ルフォンはその隙を見逃さない。
今度はルフォンから動き出す。
地面を強く蹴り加速していくルフォンは黒い軌跡を残してハチに急接近する。
拳を握らず爪での攻撃を繰り出す。
「くぅっ!」
ハチが爪をかわし、空気を切り裂く音が聞こえて背中がヒヤリとする。
当たればケガどころじゃ済まない。
ハチは距離を取ろうとするが、ルフォンはしつこくハチを追いかける。
速度はハチの方が速いけれども、ルフォンの怒りの動体視力と戦いの経験による先読みがハチに及ばない速度をカバーしていた。
子種などくれてやるものか。
この一心で戦うルフォンの目はハチの動きを完全に捉えている。
「うぐぐ……ついてくるなぁ!」
けれどハチも回避を続ける。
当たれば死にそうなルフォンの猛攻をかわしながら反撃方法を探すけど、ルフォンに下手に手を出すと回避しきれずにやられてしまう。
互いが互いに速いと思っていた。
しかし反撃しないことにはジリ貧になって追い詰められてしまう。
ハチも覚悟を決めて反撃をする。
「くらえー!」
「うっ! ……うりゃー!」
ルフォンにハチの拳が当たるがルフォンはそのまま攻撃を続けた。
ルフォンの爪が脇を掠めてハチの服が破ける。
魔人化したルフォンはある程度の防御力も兼ね備えている。
ほぼ回避に専念しながらの軽い攻撃ではルフォンを止めることも叶わない。
このままではやられてしまうとハチは焦り始める。
「うっ!」
「ふえっ?」
そう思った瞬間だった。
ハチは急に気持ち悪くなった。
戦いの最中なのに堪えきれないほどの具合の悪さを感じてどうしようもなくなって動きが止まる。
ルフォンはチャンスだと大きく爪を振り上げていた。
「ぎぼぢわるい……ぶぇ……」
「ギャァー!?」
ハチは口から先ほどまでしこたま飲んでいたお酒を吐き出した。
ハチとて余裕ではない。
途中から酒注ぎに専念して飲むのをやめたのは限界だったからだ。
少し治まってきたと思っていたけど、動いてしまったので酔いが回って一気に気持ち悪くなった。
キラキラと吐き出されるお酒。
なんの攻撃かと思ったが、攻撃もなく予兆もなかった嘔吐にルフォンはもろに逆流を浴びてしまった。
「……何すんのーーーー!」
色々な甘い匂いが混ざったゲロを浴びたルフォンは思わず呆然としてしまった。
そしてすぐに状況を理解、怒りの大ビンタをハチにかました。
吐いた直後のハチはとてもかわしきれずに、残りのお酒を吐きながらぶっ飛んだ。
「もー最悪……最悪ーーーー!」
ゲロまみれになりながらもルフォンは勝利した。
けれどこんなので勝っても全然嬉しくない。
ひとまず勝利を収めたルフォンは殺してはいけないと思いとどまってビンタにしたけど、やってしまえばよかったと後悔した。
ーーーーー
「へぇ? なら今やってみる?」
「負けて泣かないでくださいよ?」
「同じ言葉を返してあげる」
負けて泣いていたのはどっちだとルフォンは言いたくなる。
リュードの子種は渡さない。
「ケガしても知らないからね」
リュードとハチの戦いを見ていたルフォンは本気にならなきゃ勝てない相手だと魔人化をする。
体が大きくなり全身に毛が生える奇妙な感覚を乗り越えると、体中に力がみなぎり闘争本能が大きく刺激される。
ただ感覚も鋭敏になり、ドワーフのいびきや酒臭さが不快なほどに感じられる。
「リューちゃんの子種は私のもの!」
言ってて若干の恥ずかしさはあるけれどお酒の匂いにルフォンもまた思考が鈍り始めていた。
「地を這うことしかできないケモノが私に勝てると思わないでよ?」
ハチも羽を広げて羽ばたかせる。
短い間に二回も負けるわけにはいかない。
こうしてルフォンとハチの戦いが始まったのである。
「やあああっ!」
前回はほんの僅かな油断がハチの負けに繋がった。
今回は油断しないとハチは飛び上がる。
「速さなら誰にも負けない!」
負けられない女の戦いが始まった。
先に動いたのはハチ。
地面からギリギリのところを滑走し、目にも止まらぬ速さでルフォンに接近した。
しかしルフォンに接近したハチの目に飛び込んできたのはルフォンの拳。
「……ッ!」
速さ自慢はハチだけじゃない。
ルフォンもまたスピードタイプである。
他の人だったらとても捉えられない速度でもルフォンには正確にハチの動きが見えていた。
直線的に詰めてきたハチに対してルフォンは拳を突き出した。
ハチもまたルフォンの動きは見えているが、ルフォンの攻撃速度も速かった。
ギリギリのところで軌道を変えて回避したけれども、ハチの頬をルフォンの拳がかすめた。
「舐めないでよ!」
なんとかかわしたハチは再びルフォンから距離を取った。
ルフォンの力的にはリュードには遠く及ばないけれど、ハチの速度で拳に衝突すればリュードの拳にも負けないほどの威力となる。
自分の速度が通じないことにハチは驚く。
「むむ……」
「次はこっちの番だよ!」
戦闘経験の少ないハチは次にどうすべきなのか必死に考える。
ルフォンはその隙を見逃さない。
今度はルフォンから動き出す。
地面を強く蹴り加速していくルフォンは黒い軌跡を残してハチに急接近する。
拳を握らず爪での攻撃を繰り出す。
「くぅっ!」
ハチが爪をかわし、空気を切り裂く音が聞こえて背中がヒヤリとする。
当たればケガどころじゃ済まない。
ハチは距離を取ろうとするが、ルフォンはしつこくハチを追いかける。
速度はハチの方が速いけれども、ルフォンの怒りの動体視力と戦いの経験による先読みがハチに及ばない速度をカバーしていた。
子種などくれてやるものか。
この一心で戦うルフォンの目はハチの動きを完全に捉えている。
「うぐぐ……ついてくるなぁ!」
けれどハチも回避を続ける。
当たれば死にそうなルフォンの猛攻をかわしながら反撃方法を探すけど、ルフォンに下手に手を出すと回避しきれずにやられてしまう。
互いが互いに速いと思っていた。
しかし反撃しないことにはジリ貧になって追い詰められてしまう。
ハチも覚悟を決めて反撃をする。
「くらえー!」
「うっ! ……うりゃー!」
ルフォンにハチの拳が当たるがルフォンはそのまま攻撃を続けた。
ルフォンの爪が脇を掠めてハチの服が破ける。
魔人化したルフォンはある程度の防御力も兼ね備えている。
ほぼ回避に専念しながらの軽い攻撃ではルフォンを止めることも叶わない。
このままではやられてしまうとハチは焦り始める。
「うっ!」
「ふえっ?」
そう思った瞬間だった。
ハチは急に気持ち悪くなった。
戦いの最中なのに堪えきれないほどの具合の悪さを感じてどうしようもなくなって動きが止まる。
ルフォンはチャンスだと大きく爪を振り上げていた。
「ぎぼぢわるい……ぶぇ……」
「ギャァー!?」
ハチは口から先ほどまでしこたま飲んでいたお酒を吐き出した。
ハチとて余裕ではない。
途中から酒注ぎに専念して飲むのをやめたのは限界だったからだ。
少し治まってきたと思っていたけど、動いてしまったので酔いが回って一気に気持ち悪くなった。
キラキラと吐き出されるお酒。
なんの攻撃かと思ったが、攻撃もなく予兆もなかった嘔吐にルフォンはもろに逆流を浴びてしまった。
「……何すんのーーーー!」
色々な甘い匂いが混ざったゲロを浴びたルフォンは思わず呆然としてしまった。
そしてすぐに状況を理解、怒りの大ビンタをハチにかました。
吐いた直後のハチはとてもかわしきれずに、残りのお酒を吐きながらぶっ飛んだ。
「もー最悪……最悪ーーーー!」
ゲロまみれになりながらもルフォンは勝利した。
けれどこんなので勝っても全然嬉しくない。
ひとまず勝利を収めたルフォンは殺してはいけないと思いとどまってビンタにしたけど、やってしまえばよかったと後悔した。
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