人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第七章

増える尻尾4

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「いや……ちがっ!」

 ルフォンに睨まれるリュード。
 撫でようなんて思っていないと否定するけれど、時すでに遅し。

「おい、しっかりしろ!」

「……アイツら、速いな!」

 ほとんど音もなく白キツネが木々の間を走り抜けてくる。
 今のところレッドットベアやスノーケイブよりも足は速そうだ。

「ふん!」

 ダリルが駆けてくる白キツネに合わせてメイスを振り下ろす。
 白キツネにかわされて地面を殴りつけたメイスが雪を舞い上がらせる。

「ぬうっ!」

「ダリル!」

 メイスをかわして反撃に転じる白キツネの爪が、ダリルの胸を切り裂いた。
 金属の胸当てをしていたのに、そんなものがないようにあっさりとダリルの体にまで爪が届いた。

「くらえ! ……おあっ!?」

 ブレスが白キツネに火の玉をぶつけた。
 頭に直撃してブワリと一瞬白キツネが火に包まれるが、そのままブレスに突っ込んでくる。

「危ない!」

「悪い、助かった! コイツら、火が効かないようだ!」

 横からリュードがブレスに迫る白キツネを斬りつけるが、サラッとリュードの剣はかわされる。
 白キツネが頭を振ると炎が消える。

 真っ白な毛皮には焦げ目の1つもなかった。

「爪は鋭く、動きは素早い。炎系の魔法は効きにくいか」
 
 力強さはないが攻撃の鋭さが凄まじく、まともに攻撃が当たると危険だ。
 その上、白キツネには火炎耐性があるようだった。

 火属性というのは割とどの相手にも有効であることも多いので、広く使われている属性である。
 魔物だけでなく人相手でも、あるいは便利な魔法としても使える。

 なので火属性を極めようとする人は多いのであるが、一方でそうした人は火属性に強い魔物に対して弱い。
 一般に寒い地域に生息する魔物は火属性に耐性がなく、弱点レベルで弱いはずである。

 なのに白キツネは火属性に対して高い耐性を持っている。

「やっぱりダメだ!」

 もう一度火属性の弱めの魔法で試してみるが、白キツネは一切避けることもなくブレスに突っ込む。
 火属性が効かないと自身で分かっていてやっている。

「これならどうだ!」

 ブレスは風を操る。
 火属性の方が高いレベルにはあるものの、他の属性が扱えないような青二才とブレスは違う。

 風の刃が降り注ぎ、白キツネは巧みにそれを回避する。
 流石に風属性に対する耐性はなさそうだ。

「はあっ!」

 速いけれど追えないほどでもない。
 特にスピードタイプであるルフォンはみんなが戦っていることもよく観察して、白キツネの動きを分析した。

 ルフォンに追いかけられて距離を取ろうとする白キツネだけど、ピタリとルフォンは白キツネについていく。
 地面も雪が少なく本来のスピードが発揮できる。
 
 ルフォンのナイフが白キツネの首を刎ね飛ばす。
 毛皮そのものはあまり固くはない。

 速さや鋭さといった長所の代わりに、防御力や物理的な力の強さはあまり高くないようだとリュードは分析していた。

「くっ!」

「ダリル、気をつけろ!」

「速い相手は苦手だな」

 基本的には牙か爪で攻撃してくる。
 動きはかなり速く、雪の上を滑らかに滑るように移動する。

 攻撃は鋭くしっかりと防御しないと致命傷になりうる。
 けれど物理攻撃だし、接近しないといけないので隙をつければ倒すこともできる。

 ちょっとダリルなんかの攻撃は大振りすぎて当たらない。
 なのでダリルは白キツネに攻撃を当てることを諦めて、攻相手の動きを制限するように立ち回ることにした。

 分かりやすい動きには相手も分かりやすく動くものだ。
 ダリルによって誘導される白キツネよ先を予想してリュードも動く。

 ちょっとだけ白キツネを倒すことに罪悪感を覚えながらスパッと一刀両断する。

「はい、らくしょー!」

 ほとんど何もしなかったラストが腰に手を当てて快勝宣言。
 矢が当たるか疑わしいと思っていると、みんなすぐに戦いに慣れて白キツネを倒してしまった。

 何もしなくても勝てればそれでいい。

「うわっ、これ気持ちいいな」

「欲しけりゃ持ってけよ。俺たちは稼いでるからな」

 倒した白キツネは魔力となって消え、毛皮をドロップした。
 持ってみるだけで滑らかでクセになる柔らかい手触りをしている。

 非常に手触りが良いだけでなく、持っているとすぐにじんわりと暖かくなる。
 しかしリュードがサワサワとキツネの毛を触っているのをみて、ルフォンが対抗心を燃やして尻尾を差し出す。

 ルフォンの尻尾は敏感なところもあって普段はあまり触らせてくれない。
 魔物の毛皮と争う必要はないと思うけど、触らせてもらえるならと触っておくとルフォンは顔を赤くしながらリュードに体を寄せる。

「むむ……」

 ラストが二人のいちゃつきに険しい顔をしているが、戦いで何もしていないのでここはグッと我慢する。

「ふむ……速さは厄介だがこれまでで1番楽な相手ではないか?」

「確かにな」

 皆が思っていたことをダリルが口にする。
 戦い終えた後の感想としてはそんなに強くないという印象だった。

 当たれば致命傷なのはレッドットベアやスノーケイブでも同じである。
 速さこそピカイチだが、その一点だけで他はこれまでの方が強かった。
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