人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

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第七章

増える尻尾8

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「リューちゃん!」

「大丈夫だ!」

 四尾の白キツネはそのままクルリと一回転して、フワフワの尻尾をリュードに向かって振るった。
 尻尾がまとう魔力に気がついたリュードが上体をそらして尻尾を回避するが、かわしきれずに浅く頬が切れる。

「巧みな尻尾使いだな!」

 四尾の白キツネは再びリュードから距離を取ろうとする。
 リュードは逃してはならないと大きく踏み込みながら剣を振る。

「甘いな!」

 今度はただ切っただけじゃない。
 剣にまとわれた魔力が雷属性に変化して四尾の白キツネに電撃がほとばしる。

 火を使う性質上火に強いが、使わない他の属性には強くない。
 特に雷属性はあまり使われたり、使ったりする属性じゃないので耐性を持っているものは多くない。

 電気の影響で全身の毛がボワッとなりながら痺れて動きが止まる。

「よくもリューちゃんの顔に!」

 毛が逆立ってボワボワになった四尾の白キツネの毛に手を突っ込むようにしながら、ルフォンがナイフで首を切り裂いた。
 あと尻尾とミミの可愛いはこっちのもんだ! という対抗意識があったとか、なかったとか。

「次行こう」

「うん!」

 雷属性は白キツネにも有効だと判明した。
 もう一体の四尾の白キツネはウィドウに任せてリュードたちは三尾の白キツネを相手取る。

 四本の尻尾から次々と放たれる火球の厄介さを思えば、三尾の白キツネなんて楽に戦える。

「私だってやるんだぞ!」

 ラストもだいぶ白キツネの動きや速さになれてきた。
 聖壁のおかげで保護されているので、安心して狙いを定めることもできる。

 白キツネは例えラストに注意を向けていなくても矢を放てば気づいてかわしてしまうぐらいに鋭い。
 しかしルフォンやリュードに追いかけ回されている白キツネは流石にそこまで注意を割けない。

 ラストはしっかりと狙いを定めて、動きを先読みして矢を放つ。
 ほとんど真っ直ぐに飛んでいった矢は、ラストの狙い通りに白キツネの胴体に突き刺さった。
 
 魔力が爆発する矢は防御の弱い白キツネにとって致命的。
 刺さった矢に込められた魔力がボンと爆発して大きく怯んだ白キツネをリュードが切り捨てた。
 
 その間にウィドウも四尾の白キツネを倒して、順調に三尾の白キツネも倒して戦いを終えた。

「これは厳しいな……」

 尻尾一本につき火球一個。
 四尾の白キツネの尻尾は四本なので、一気に火球の数が四倍になった計算になる。

 聖壁を展開していたニャロによると結構重たいにゃ! らしいので威力も三尾と同じか上がっている可能性がある。
 リュードが相手にした四尾の白キツネは逃げ回るような行動を取った、がウィドウが相手にした四尾の白キツネは違った。

 積極的にかかってきて、爪や牙での攻撃をしながら火球も放っていた。
 尻尾での防御や攻撃も繰り出してきて、非常に厄介な相手だった。

 ドロップする毛皮の量は多いがそれが目的でもないので喜んでもいられない。
 四尾。
 
 中途半端な数だけど、ここで尻尾の増加が終わってくれればいいのにと誰もが思った。

「相手は九体。……全部四尾だ!」

 流れを考えると分かっていた。
 次の襲撃は全て四尾の白キツネで構成されていた。

「ググッ……負けないにゃ!」

 先制攻撃は白キツネの火球。
 走ってきながらそれぞれの尻尾から火球が放たれてリュードたちに襲いかかってくる。

 ニャロとアルフォンス、そしてハルヴィンも加わって聖壁を展開する。
 火球が当たって三人が苦しそうな顔をする。

 ビキリと大きなヒビが聖壁に走ったが、なんとか火球を防ぎ切った。

「若い者たちに負けてはいられないな。本気を見せようか!」

 白キツネの数も多く、力を温存していては怪我を負う可能性の方が大きくなってきた。
 ウィドウは腰につけたポーチから数本の小さいナイフを指の間に挟んで取り出した。
 
 ナイフがウィドウの黒い魔力に包まれる。

「とうとうウィドウも本気になったか」

 ウィドウは白キツネに向かってナイフを投擲する。
 リュードだって容易くかわせると思う投擲は、白キツネも軽々とかわしてみせる。

 しかし何体かの白キツネの動きが急にピタリと止まる。
 体が動かないのではなく、その場から動けないといったように動けなくなっている。

「ほらよ!」

 動けなくなった白キツネの首を黒い魔力をまとった剣で刎ね飛ばす。
 ウィドウがやったことの正体は知らないが、チャンスだとリュードも動けない白キツネを切り捨てる。

「影が道をつなぐ……」

 ウィドウの姿が黒い影となって消えた。
 次の瞬間ウィドウは後ろの方にいた白キツネのさらに後ろに現れた。

 白キツネは音もなく現れた真後ろのウィドウに気づいていない。
 首を刺されてもなおウィドウがいたとは分かっていなかったかもしれない。

「にゃんだあれは……」

 一体倒されて、ようやく白キツネもウィドウが後ろに回り込んだことに気がついた。
 動揺が走り動きが鈍る。

「みんなら畳みかけろ!」

 ウィドウは再び黒い魔力をまとわせたナイフを投げる。
 だが今度もナイフは白キツネを外れて雪に刺さる。

「ナイフが影に……」

 リュードは見た。
 ナイフが刺さった先は白キツネの影であった。

 その瞬間、白キツネは逃げようとして何かに引っ張られたようにその場から動けなくなる。
 パッとすぐさま白キツネを切って捨てるウィドウ。

「あれはまさか……」

 急に動けなくなるなんて不思議である。
 ウィドウの黒い魔力も疑問だったのだけど、リュードにはうっすらと理由が分かった。

 一気に味方の数が減り、加えてウィドウの不思議な魔法に知能の高い白キツネは動揺してしまった。
 変にウィドウのことを意識してしまってそれぞれの連携も取れなくなったのだ。

 動きが悪くなった白キツネの隙を狙って一気に畳みかける。
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