人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
490 / 550
第七章

白狐姫1

しおりを挟む
「流れ的に考えれば次の白キツネにはまた尻尾が増えているはずだな」
 
「ここまでで四本。次は五本……かな?」
 
 四尾の白キツネが出てきて、ウィドウは安全のために切り札である闇魔法を出すことに決めた。
 五尾になるとどうなるのか誰にも予想ができなかった。

「あ、あれは……」

「場所もさることながら……人なのか?」

 白キツネが襲ってこないなと思いながら進んでいると、白い世界における異様な空間が目の前に広がった。
 誰もが明らかに違う雰囲気に、とうとう白キツネのボスに辿り着いたのだとみんなが思った。

 森が開けた。

「春が来たみたいだな」

 ボソリとリュードが呟く。
 まるでそこだけ春でもきたように円形に雪がなく草が茂っている。

 その真ん中に五本の尻尾を持つ白い女性が立っていた。
 真っ白な髪がたなびく頭には白いキツネミミが生えていて、見る人の目を奪うような美しい顔立ちをしている。

 白に染まったような容姿の中で、目の縁に赤い隈取りが引いてある。
 衣装は真っ白で、和服にも似た作りの服を着ていて、全体的な世界観はこの世界で初めて見る感じだった。

「なんだか……やばそうだな」

 空を見上げている五尾の白キツネにブレスは嫌な予感を覚えた。
 絵になりそうな幻想的な光景だが、他と異なる異常な光景が広がる時は最高な時か、最悪な時と相場が決まっている。

 身を隠す場所もない不思議な円形の草原に足を踏み入れることを誰もがためらった。
 しかしやらねばならない。

「俺が行こう! 待っていろよ、テレサ!」

 ガッチリと盾を構えたダリルを先頭にして草地に足を踏み入れる。
 しっかりと大地を踏みしめられる感覚が心地よいが、そんなこと言ってられない。

 ダリルが草原に足を踏み入れると五尾の白キツネのミミがピクリと動く。
 音を聞いて侵入者に気がついたようだ。

 視線を空からリュードたち一行に移す。
 五尾の白キツネは端から順に一人一人の顔を見ていく。

「リュード!」

 五尾の白キツネの視線がリュードで止まった。
 パタリと五尾の白キツネの尻尾が振られて、視線で射抜かれたリュードはとっさに剣を上げてガードする。

 ほとんど本能的な行動だった。
 直後強い衝撃を受けて、腕が折れる音が聞こえた。

「ぐはっ……!」

 後ろに飛ばされたリュードは草原の外にある木にぶつかって地面に倒れ込んだ。
 木から落ちる雪がリュードの姿を覆い隠して無事が確認できない。

「ぬう!」

「はっ!」

 ダリルとウィドウが突如としてリュードを殴りつけた五尾の白キツネに攻撃を仕掛ける。
 一瞬でリュードに距離を詰めてきた五尾の白キツネは、ウィドウですらギリギリ姿を捉えられるぐらいだった。

「ニャロ!」

「はいにゃ!」

 ニャロが走ってリュードのところに向かう。
 ガードはしたので死んではいないはず。

 治療さえすれば戦線に復帰できる。
 五尾の白キツネはダリルとウィドウの攻撃をかわして距離を取る。

「……速いな」

 これまでの白キツネも十分速かったが、ボスまでになると一つも二つも格が違う。

「よくもリューちゃんを!」

 戦う環境としては雪のない地面になった。
 しっかりと踏みしめられるならルフォンの速さも最大限に活かせる。

 ニャロがリュードの方に向かったので、五尾の白キツネの気を引かなきゃいけない。
 最初にリュードを狙った理由は謎だけど、またリュードを狙わないとも限らない。

 五尾の白キツネはルフォンをナイフを見切ってかわしたが、頬を浅く切り裂かれる。
 ルフォンの速さが想定よりも速かったのだ。

「ルフォン、避けて!」

 ラストの声が聞こえた。
 ルフォンの視界の端で五尾の白キツネの尻尾が一本動いているのが見えた。

 ルフォンの頭ほどの火球が尻尾の先に生み出されて打ち出される。
 のけぞりながら身をよじる。

 ルフォンの胸スレスレを火球が通り過ぎていく。
 ラストが声を出さなかったら気づけなかった。

「グァッ……!」

 火球に気を取られたルフォンを、逆から尻尾が襲いかかって叩き飛ばした。

「ルフォン、大丈夫!?」

「う、うん……」

「待ってください! 今治しますので」

 アルフォンスがルフォンの治療をする。

「尻尾が五尾の白キツネの武器のようだな」

 魔法も放てるし普通に攻撃もできる。
 これまでの白キツネは爪や牙で攻撃するか魔法を使うかだったけれど、魔法を使いながら尻尾による攻撃もすることができるようだ。

「人化した魔物がボスとはな……出し惜しみもできないな!」

 人化した魔物は大きな脅威だ。
 このダンジョンのボスというだけでも強いだろうに、このような魔物の強さは計り知れない。

 幸いにして取り巻きの魔物はいない。
 五尾の白キツネに集中はできる。

 裏を返せば一体で十分強いとも言える。
 速さを活かした相手なら速さを活かせないようにするのが定石。
 
 五尾の白キツネを取り囲むようにして布陣する。

「ブレス、危険だ!」

「うわっ、くっ、た、助けてくれ!」

 ルフォンを中心にして攻撃を仕掛けていたが、五尾の白キツネはなんと攻撃を掻い潜ってブレスを狙った。
 流石にゴールド+ランクの冒険者のブレスも、前衛職でないからと言ってただ仲間に守られているのを期待してるだけではない。

 ブレスの腹部を突き刺そうとした五尾の白キツネの尻尾をかわす。
 しかし自在に動く五本の尻尾は、魔法使いであるブレスにとって対処するのは難しい。

 尻尾だけでなく、さらに爪まで繰り出されてブレスは何とか回避をする。
 けれど視界の外に回り込むように伸ばされた尻尾から打ち出された火球に対して反応が遅れた。

 直撃は避けたが脇腹を掠め、服に火がついた。
 消えない炎が服についしまってブレスの顔から血の気がひく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。 選んだ職業は“料理人”。 だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。 地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。 勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。 熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。 絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す! そこから始まる、料理人の大逆転。 ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。 リアルでは無職、ゲームでは負け組。 そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...