人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
496 / 550
第七章

愛のため1

しおりを挟む
 みんな思っていたよりも消耗が激しくて、丸一日休むことになった。
 他のみんなにもリュード特性のポーションを渡してのんびりと休んだ。

「飲みやすいな、これ」

「ああ、売ってくれるなら欲しいぐらいだ」

 飲みやすいリュードのポーションはみんなにも好評で、ちゃんと体の回復を助けてくれる効果もあった。
 魔力が濃いダンジョンの中ということもあって、一日でおおよそ回復した。

 魔物に襲われるかもしれないという緊張感もあるので、完全な回復をしようと思ったらもっと時間は必要だ。
 ただ時間をかけすぎるとボスなどが復活してくる可能性もある。

 一日を限度と定めて休みを取ったので、これ以上は引き延ばさない。

「では、行こうか」

 ここまで来て退く選択肢はない。
 ウィドウの言葉にみんながうなずく。

 先に進む、これが満場一致のみんなの意見である。

「開けるぞ」

 扉を開けるのはダリル。

「みんな、準備はいいか?」

「ダリルも気をつけて」

「任せておけ」

 ダリルはやや腰を落としてゆっくりと盾を扉に押し付ける。
 少しずつ力を込めていくと、扉が動き始めた。

 扉はすんなりと開いていき、ある程度押したところで最後まで勝手に開いていった。
 警戒していたが特に襲撃もなく扉は開かれた。

「なんだここは?」

「……神殿……ですかね?」

「雰囲気変わりすぎだな」

「とりあえず寒くはないにゃ」

 扉の向こうは別世界だった。
 別世界というか、どこか巨大な建物の中のような空間が広がっている。

 白い石で出来た大きな柱が立ち並び、天井ははるかに高く、正面には一段高くなった台座と黄金の盃が見える。
 そして、その前には鎧の騎士がいた。

「神物にゃ……」

 黄金の盃を見てニャロが言葉を漏らす。
 リュードでも感じる。
 
 見た目にはシンプルな黄金の盃なのに、神々しい気配を放っている。

「じゃあその前にいるのは……」

「神物を守るガーディアンってところだろうな」

 真っ白な鎧の騎士は、こちらからも神聖な感じがしている。
 威風堂々と神物の前に立つ姿はまさしく守護者といったところだ。

「なるほどな」

 ウィドウは納得したようにつぶやいた。

「何がですか?」

「おかしな作りのダンジョンだと思っていた。元々あるダンジョンの中に神物を隠したのだと思っていたけれど……こんな風になっているところを見ると神物の影響でダンジョンが出来たのだな」

 神物があるからダンジョンが出来た、ということはケーフィスに直接説明されたリュードしか知らない。
 神物があるからそこがダンジョンになるなどと普通の人は考えず、ダンジョンに神物を置いてきたと考えるのが一般的だった。

 しかし奇妙なほどに難易度が高く、こんな神物専用の場所まである。
 そこに至ってウィドウはダンジョンが先ではなかったと気付いたのだ。

「ここはある種の防衛施設。神物が己を守ろうとして生み出した場所だったのだな」

 もしくは神物が人に対する挑戦を叩きつけたのかもしれない。
 自分を奪えるならやってみろと。

 ケーフィスの神物なのだ、それぐらいのこともするかもしれない。

「あれを倒さなきゃならないのかな?」

「神聖な目的を持っていようとも、話が通じないなら私たちは略奪者に他なりませんからね」

 いかに正当な目的があり、正しいものであったとしてもガーディアンにそれを思考して判断する能力はない。
 現在リュードたちは神物を奪おうとする略奪者、侵入者である。

 崇高な目的を持つ神聖なる略奪者であるけれども、いくらそれを叫んでもガーディアンが神物を明け渡してくれることなどないだろう。

「これが最後の戦いになる……準備はいいか?」

 リュードたちも見えているはずなのにガーディアンは動かない。
 どうやら近づかなきゃ動き出さないようだ。
 
 このガーディアンとの戦いが最後であるとみんなが確信めいた予感を持っていた。

「待ってくれ」

「ダリル……?」

「私にやらせてくれないか」

 前に出たダリルから放たれた予想外の言葉。
 真剣な眼差しは冗談ではないことを物語っている。

「……本気なのか?」

「この戦いは俺の、テレサを助けたいというワガママから始まった。神は俺をリュードの下に導き、この場所をお示しくださった。俺はまだ何もなし得ていない。これが俺に与えられた神の試練なのだ」

 ここに来るまでにダリルは目立った活躍はしていない。
 みんなの力があってここまで来ることができたが、テレサのためにと協力してくれるリュードのためにもここで自分が戦わなければいけないと感じていた。

「俺にやらせてくれ。これは神でも、教会でもない、たった1人の男のケジメのため、やらねばならないのだ」

 ダリルはリュードを見据えていた。
 他の人も言葉は発さず、リュードとダリルを見ている。

 多分リュードがダメと言ったなら周りのみんなもダリルも引いただろう。

「負けたら承知しないぞ」

 ただこれは神の試練。
 ダリルがテレサを、愛する人を救うために課された試練なのである。

 理由は分からない。
 でもダリルが乗り越えねばならないような気がしたのだ。

 リュードが独断で決めた判断だけど、反対する人はいない。
 相手は1体、ガーディアンのみ。

 全員でかかれば楽だし、なんなら隙を見て神物だって奪えそうな気もするけれど、ダリルが戦うことが必然のようにみんながそれに納得した。

「行ってこいよ」

「せめて強化はさせてください。それぐらいは神もお許しになるでしょう」

「負けるなよ! 負けそうだったらなんと言われようとも戦いに入るからな」

「がんばるにゃ!」

「みんな……ありがとう」

 直接戦いには参加しないけれど、神聖力による強化の支援は行う。
 ちょっとズルスレスレな気もするけど、これぐらいはいいだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...