人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
497 / 550
第七章

愛のため2

しおりを挟む
「リュード、ここまで俺を導いてくれて……」

 最後にダリルはリュードの方を向いた。
 不思議な竜人族の青年だとダリルは改めて思う。

 神に愛されている気配はありながらも、神に仕えているのではない。
 それでいながらも神しか知り得ないようなことも知っていて、戦いにおいても目覚ましい活躍をしている。
 
「ダリル。勝って、神物持ち帰って、テレサさんが無事に回復したらでいい。とりあえず勝ってこいよ。話はそれからだろ?」

「そうだな」

 リュードがいる。
 それだけで勝てそうな気がした。

 感謝の言葉を述べるのは全てが終わった後でもいい。
 グッと親指を立てて笑うリュードにダリルも微笑み返す。

 まるで長年共にいた戦友のようにリュードのことを感じる。

「支援します!」

「がんばるにゃ!」
 
 聖者二人と使徒一人の神聖力の強化を受けてダリルが淡く輝く。

「ダリル・アステバロン、今、愛と正義のために神の試練に挑もう」

 ダリルが一人、前に歩き出す。
 ただ広い神殿の半分ほどまで進んで、ようやくガーディアンが動き出した。

 腰に差した剣を抜いて盾と共に構える。
 ただすぐに襲いかかってくる様子もない。
 
 ダリルもメイスと盾を構えながら接近し、いつ戦いが始まってもおかしくない距離まで近づいた。
 睨み合う両者。

 円を描くように互いが少しずつ移動する。
 先に動き出したのはガーディアンだった。

 一瞬で距離を詰めて剣を突き出す。
 ダリルはメイスを振り上げて剣を弾き、そのまま振り下ろして攻撃する。

 ガーディアンは盾でメイスを受け流すとそのままダリルに盾で体当たりをする。
 ダリルも盾で対抗して、盾同士がぶつかる。

 両者が衝撃に耐えきれずに弾き飛ばされる。
 強化をもらっているダリルとガーディアンの力は互角。

「軽い挨拶みたいなものだな」

 再び睨み合う。
 ガーディアンがダリルに切りかかる。

 剣を盾で受けてメイスで殴りつける。
 しかしガーディアンも盾でメイスを受けて、互いに押し合うようになる。

 やはり力は互角でどちらも動かない。

「ふん!」

 ただダリルは生身。
 勝負のつかない押し合いをしていては一方的に体力を消耗してしまう。

 ガーディアンの方が変化してこない以上、ダリルが先に動くしかない。
 力を抜いて一歩下がる。

 力のこもった押し合いをしていたガーディアンは急に相手がいなくなりバランスを崩した。
 ダリルはそのまま距離を空けずに盾を構えて体当たりをぶちかました。

 ガシャンと音を立てて転がるガーディアンにダリルは追撃にメイスを振り下ろす。

「身軽だな……」

 重たい全身鎧を着ていないかのような軽やかさで、ガーディアンは足を振り上げダリルを蹴り飛ばす。
 胸を蹴り飛ばされたダリルが後ろに転がるが、自分でさらに勢いをつけてもう一度転がって距離を取りながら起き上がる。

 力だけではない。
 技量としても大きな差は今のところ見受けられない。

「ぬぅん!」

 今度はダリルから攻める。
 ダリルがメイスを繰り出して、ガーディアンが盾で受ける。

 ガーディアンが剣を繰り出してダリルが同じく盾で受ける。
 重たい攻撃の応酬。

 静かな教会に金属がぶつかる音が響きわたる。

「はあっ!」

「上手い!」

 剣を盾で防いだダリルがそのまま滑らせるようにして盾でガーディアンを殴りつけようとした。
 ガーディアンはそれを自分の盾で防ぐが、脇腹がガラ空きになっていた。

 その隙を見逃さずにダリルは脇腹にメイスを叩き込んだ。
 ガーディアンの戦い方は上品で、いかにもナイトのような美しく戦っている。

 対してダリルはやや荒っぽい。
 戦いの中で磨いてきたダリルの戦い方は、実戦的で見た目の美しさにはとらわれない。

 生きるため、勝つための戦い方なのである。

「まだまだぁ!」

 倒れはしなかったがガーディアンの体が大きく流れる。
 ダリルは一気に勝負を決めようとメイスを振り上げた。

 勝負が決まったかと思われたその時、ガーディアンの剣が強く光った。
 振り下ろされるメイスと振り上げられる剣がぶつかって低い金属音が鳴り響いた。

「ダリル!」

 再びメイスを振り上げるダリル。
 しかしこれはダリルが意図してやったのではない。

 ガーディアンの剣に力負けをして、弾かれてメイスを振り上げる体勢になってしまったのである。
 ガーディアンが素早く剣を引き、上半身を回しながらダリルの胴を目がけて剣を振り抜く。

「うっ!」

 ガーディアンの剣から強い光がほとばしって一瞬目がくらむ。

「ダリル!」

「平気だ!」
 
 ダリルが飛んでいくが、幸い体は斬られずに繋がっている。
 何とか盾を差し込んで防いでいた。
 
 だが威力は殺しきれずに直撃だけを避けた形になった。
 柱にぶつかって柱が大きく陥没する。
 
 ニャロやラストは心配そうな顔をしてみんなを見るけど、誰も動かない。
 まだ動くには早い。
 
 ダリルはまだ諦めていない、倒れていない。

「強いな……その強さで何を守る」

 頭をかすめる諦めの言葉。
 よくここまでやった、もういいじゃないか、あとはみんなで倒せばいい。

 メイスが重たく感じられ投げ出してしまいそうなほどの気持ちに駆られる。
 全身が鈍くズキズキ痛んで休みたくなる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...