人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

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第七章

愛のため3

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「俺は守れなかった。……大切な笑顔を」

 たとえ辛い時でも頭に浮かぶのはテレサの顔だった。
 貴族の息子ではあったが、貧乏貴族で上に兄がいて半ば捨てられるように教会に預けられたダリルは孤独感を感じていた。

 そこにいたのがテレサだった。
 テレサは両親を魔物の襲撃によって失った孤児で、親戚もおらずに教会が引き取った子だった。

 魔物によって両親を失ったのにめげることもなく、明るい子だった。
 日々の祈りを欠かさず、そんな祈りが通じたのかテレサは聖者となった。

 ダリルも祈った。
 神がいるならテレサを幸せにしてやってほしいと。

 彼女には幸せになる権利があるはずだと。
 ダリルの思いに神が出した答えは、ダリルを使徒にすることだった。

 神のため、テレサのために戦うようにと神が言っている。
 ダリルはそう理解した。

「俺は諦めない。神物を取り戻しテレサを治して、今度こそ守り抜くのだ。その神物を渡してもらおうか!」

 テレサを幸せにすることが自分の使命なのだとダリルの体が強く光る。
 
「降臨……!」

 テレサが倒れる原因にもなった、一時的に限界を超えた神聖力を引き出す降臨をダリルは使った。
 この先降臨の反動は待ち受けるだろうが、神物があれば降臨の反動は死ぬまでいかずに何とかなる。

 ガーディアンは盾を外して投げ捨てる。

「俺がどうなろうともテレサは救う! それが俺の使命なのだ!」

 光り輝くダリルを見て、ガーディアンは剣を両手で持って大きく上半身を捻じる。
 ダリルに対抗するようなまばゆい光がガーディアンの剣を包み込む。

 リュードが剣に魔力を込めるように、ガーディアンは剣に神聖力を込めた。
 足を滑らせるように前に出しガーディアンは剣を振った。

 剣を振った白い軌跡が神聖力によって斬撃となる。
 大きな光り輝く斬撃は真っ直ぐにダリルに向かう。

「テレサ……力を貸してくれ!」

 ダリルは足を大きく開いて、盾に神聖力を込める。
 ほんのわずかな不安すら今はない。

『あなたならきっとできるよ』

 ダリルの脳裏にはそう言って微笑むテレサがいた。
 貴族の末息子で誰にも必要とされなかったダリルにもテレサは優しかった。

 失敗しても上手くいかなくてもテレサは微笑んでそう言って励ましてくれた。

「俺なら出来る」

 優しくて、暖かくて、この世界に、そして自分に必要な存在であるテレサを取り戻してみせる。
 盾に斬撃がぶつかる。

 膨大な神聖力同士がぶつかり強い衝撃がダリルを襲う。

「はああああっ!」

 押し切られてしまいそうな強い力だったがダリルは耐え抜いた。
 ダリルは殴りつけるように盾を動かしてガーディアンの斬撃を弾き飛ばした。

「うにゃ……!」

 斬撃が柱に当たり、柱が砕ける。
 あまりの威力に盾を持っていた肩が抜けるが、ダリルはそのまま走り出した。

 ガーディアンは大きな神聖力を使い果たして、剣を重たそうに持ち上げた。
 必死の形相でガーディアンに迫るダリルがメイスを振り下ろす。

 剣とメイスがぶつかり、剣が飛んでいく。

「神物は誰かを救うためにあるのだ!」

 ダリルのメイスがガーディアンの頭に直撃した。
 普通の人だったら頭が飛んでいってしまっていただろう一撃を受けてガーディアンがもんどり打って飛んでいく。

 ひしゃげた頭から床に落ちてガーディアンは動かなくなる。
 静寂。

 ガーディアンが本当に倒れたのかみんなが固唾を飲んで見守る。
 長い数秒。
 
 ガーディアンはピクリともしない。

「ダリル!」

 スルリとダリルの手からメイスが落ちた。
 勝った。

 あとは神物を手に取って、帰ってテレサを笑顔にする。
 そう思った瞬間ダリルは体から力が抜けていくのを感じた。
 
 手すらつかないで床に倒れたダリルにみんなが駆け寄る。

「ダリル、大丈夫か!」

「か、体が動かん……」

 ヤバい倒れ方をして死んだのかと思ったけれど、ダリルはバッチリ意識もあった。
 けれどダリルは意識があっても指先一つすら動かせないでいた。

 降臨の効果が切れて反動がダリルを襲ったのだ。

「あとは時が解決するのを待つしかありませんね」

 アルフォンスがダリルを治療するが、出来るのは体のダメージの治療だけ。
 降臨を使ったことによる反動は神聖力で治すことができない。

「リュード……」

「なんだ?」

「俺の代わりに……神物を」

 口ですら動かすのがやっと。
 ダリルは勝者の権利をリュードに任せた。

「……俺でいいのか?」

「ああ、お前がいい」

「分かった。待ってろ」

 他でもないダリルの頼み。
 リュードが神物に触ることに誰も反対しない。

 ちょうど神物の前に倒れるガーディアンを乗り越えてリュードは一段高くなった神物の台座の前に立つ。

「誰がなんだってこんなところに神物を隠したんだろうな」

 誰でもいいけどもし会うことがあったらぶん殴ってやる。
 リュードはゆっくりと神物に手を伸ばした。

 神物に触れた瞬間、リュードの意識は光に包まれたのであった。
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