人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第七章

神様お助け人1

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「神は退屈していた。広い世界を任されたはいいものの、楽しみもなく、話し相手もなく孤独だった。少しは気がまぎれるだろうと神はお酒を飲んだ。盃に並々と酒を注いで一気に飲んでみたり、ちびちびと嗜むように飲んでみたりしてほんの一時だけ気は紛れた」

 ぼんやりとした意識の中で声が聞こえてきた。
 
「でも紛れると逆に紛れていない時はより寂しくなった。そこで神は自分の形に似せた人形を作った。目の前に座らせて話し相手としてたわいのない話をして酒を飲んだ。でも泥の人形は何も答えない。笑いも悲しみも怒りもしない」

 だんだんと聞こえる声がはっきりとしていく。

「神は人形にも話してほしくなった。そこで自分が飲んでいた盃に喜びを、悲しみを、楽しみを、怒りを、様々な感情を注いで人形に飲ませた」

「……何の話だ?」

 神物に触れた瞬間意識が遠のいた。
 何回か経験したことがある感覚だったのですぐに何なのか分かった。

 気づけばリュードは鬱蒼と木々が茂る森の中にいた。
 木のテーブルと丸太のようなイスがあって、テーブルの上にはリュードが手にした神物の盃があった。

 イスにはニコニコとしたケーフィスが腰掛けていて、不思議な話を語っていたのである。

「いくつかある人類誕生のお話のうちの一つさ。格式を重んじる宗派になら伝わっているけど、あんまりメジャーな話じゃないかな。古典みたいなものだよ」

 ケーフィスはどこからかビンを取り出して盃に中身を注いでいく。
 一ビンまるまる注いで、盃は白く濁った液体で一杯になる。

 盃を両手で持って一気に盃の中身を飲み干した。

「プハァー! やっぱこれ飲みにくいね!」

 持ち手のない盃は、雰囲気はあるけど飲みにくい。
 大人しくジョッキでも使っている方がよっぽど飲みやすいとケーフィスは笑った。

「ほれほれ、そんなとこ突っ立ってないでこっちおいでよー」

 ケーフィスは椅子の影からジョッキを取り出す。
 そんなものあったように見えなかったけれど、神の世界での出来事を気にしたところで答えは出ない。

 リュードがイスに座るとケーフィスはジョッキに液体を注ぐ。
 この神様、子供みたいな見た目してとんでもない酒好き神様だったりもする。

「ありがとうね、僕の神物取り戻してくれて」

「感謝するならダリルにしろよ。彼の誠意がみんなを動かしたんだ」

「もちろん感謝してるさ。ただ君みたいにお礼を直接言える相手は限られるからね。テレサはちゃんと治して報いるつもりさ。でもやっぱり君の働きは大きいよ」

「そうだな、俺も頑張ったからな」

「ふふっ、そう、それでいいんだよ。これはそのお礼だよ」

 ケーフィスはリュードの前にジョッキを置いた。
 前に飲んだお酒も美味しかった。

 飲もうとして口を近づけてリュードはその中身に気がついた。

「こ、これは……!」

「どうだい? 君の世界にあったものを再現してみようと思ったんだ。ちょっとばかり時間がかかったけどかなり近いものができたと思わない?」

 香りは爽やかでやや甘い。
 透明な液体は飲む前から唇にシュワシュワとした感覚が触れる。

 リュードの記憶を刺激するドリンクがジョッキには注がれていた。
 某メーカー製のソーダみたいな雰囲気があるとリュードは感じた。
 
 一口飲んでみて思わずケーフィスの方を見るとニッコリと笑う。
 出来は90点。
 
 やや炭酸が弱い。
 けれど味はもうほとんどあの炭酸ドリンクの味であった。

「んまい! 結構クオリティ高いな!」

 氷も入っていてしっかり冷えている。
 お酒も悪くないけどこうしたジュースが飲めるのはすごく感動する。

「でしょ? 色々と君の世界にあったものを再現してみようとしているんだよ。これも50年ぐらいかかったかな? 貴重な神様への奉納品だよ」

 軽く飲んでしまったけどものすごい貴重な努力の結晶だった。

「もっと質を上げて、量産してもらいたいものだけど僕が作るわけじゃないからね。ナンノーラっていう国で作ってるからよかったら行ってみなよ」

 これは是非とも一度立ち寄って確かめる必要があると思った。

「それで話は終わりか? なーんかありそうだけど……」

 炭酸飲料はすごくありがたい。
 すごく気分は良くなったし、サプライズとしても十分だ。

 お礼を言いたいだけなら別にもう終わりでいい。
 ダリルのことも気になるし戻りたいところである。

 だけれどもわざわざケーフィスがお礼を言うためだけにリュードを神の世界に呼んだのだとは考えにくい。
 こっちに呼ばれる時には大体厄介ごともセットである。

「その勘の良さ好きだよ。ファフラ!」

「遅い! いつまで私を木陰に立たせて、隠しておくつもりなんだ! よく分かんない話してないでさっさと私のこと紹介したらいいだろう!」

 木の影から女性が出てきた。
 燃えるような真っ赤な女性は髪も目も、服装に至るまで赤くて鮮やか。
 
 顔も強気な性格が出ているけど綺麗でスタイルもいい。
 なぜなのか今は周りに火花が散っている。

「あはは、ごめんごめん。つい話が長くなってね。リュード、こちらはファフラ。火の神様さ」

「よろしくお願いします」

「あんたも! なんで! 火を扱わないのよ!」

 いきなりボルテージマックスな火の神様ファフラはリュードに詰め寄る。
 なんだか周りの気温が一気に上がった気がする。
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