人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
504 / 550
第七章

リュード、パパになる3

しおりを挟む
「……どんなことを言ったって仮説の域はでないのだけどさ、この子はやっぱりダンジョンのボスだった五尾のキツネかもしれないな」

 長いこと考えていたブレスが口を開いた。

「どういうことだ?」

「キツネたちが扱っていたあの炎……聖火の性質によく似ていただろ?」

「消えない炎か」

 神聖力による炎は魔力で作ったものよりも遥かに消しにくく、消えない炎となる。
 白キツネたちが放った炎は、相手を燃やし尽くすまで消えなかった。

 その点でいくと聖火のような性質を持っていた。
 さらに五尾の白キツネからはわずかに神性や神聖力のような物を感じた。

 神物がある場だったので確証はなかったけれど、もしかしたら五尾の白キツネは神聖力も使っていたのかもしれないとブレスは思った。

「となるとだ。五尾の白キツネが倒されると魔力はダンジョンに還るんだけど、もし神聖力を持っていたとしたらその神聖力はどうなる。ダンジョンに還るのか、それともダンジョンには神聖力を吸収する力なんてないのか」

 日が暮れ始めたので野営の準備をしていて、ちょうど終わったところでみんな話に耳を傾けていた。
 コユキは座るリュードの膝の上に飛び乗っている。
 
「ダンジョンは魔物を再生してまた出現させる。ダンジョンが神聖力を吸収出来ないのだとしたら、余ったエネルギーである神聖力をどうにかしようとしたのかもしれない」

「……何が言いたいにゃ?」

「つまりだ。あのダンジョンの魔物は神物由来の神聖力を持っていたけど、ダンジョンは神聖力を吸収できないのでさっさと魔物にしてしまおうとした。そこでまだボスである五尾の白キツネに生まれ変わっている最中に……」

「俺たちがダンジョンを攻略して消しちゃったと」

「そゆこと」

 魔力をエネルギーの主とするダンジョンが神聖力を扱えずに消える時に吐き出す形となった。
 それがコユキであるとブレスは予想したのだ。

 とても面白い仮説だとリュードは唸った。
 神聖力を固めて五尾の白キツネを再生させる途中だったとしたら、魔力を持たないのも聖者と呼べるほどの神聖力を持つのも中途半端な大きさなのも納得はいく。

「何でリュードがパパなのかまでは知らないぞ? それは神様に聞いてくれ」

 流石にリュードがパパと呼ばれる理由まで想像は及ばない。
 神にすらイレギュラーな出来事かもしれない。
 
 聞いて答えが返ってくるか疑問である。

「何でリューちゃんがパパで、私がママなんだろうね。……悪くないけど」

 ちょっとリュードに甘えすぎなところは気になるが、ママ、ママと甘えてくるのにはルフォンも段々とやられていた。
 もうほとんど心は掴まれているといってもいい。

「何でだろうね? ルフォンはやっぱミミかな? ちょっと違うけど似た感じはしてるもんね」

 リュードはルフォンとコユキの耳を見比べる。
 オオカミとキツネのミミでは違うのだけど、どちらもフワフワとしていて形的にはそう遠くない。

 尻尾もあるしざっくりとした容姿の特徴はルフォンが一番よく似ているといえる。

「えぇ~それだけ?」

「子供ならそんなことでも十分かもな」

「私の溢れ出る母性ってこともあるかもよ?」

「ミミなら私にもあるにゃ! ほら、ママですにゃー」

 ニャロがコユキに近づく。

「ちがう」

 プイとニャロから顔を逸らしてしまうコユキ。
 ネコ系のニャロではミミも尻尾もタイプは違う。

「うっ! 冷たくてグサリとくるにゃ!」

「まっ、ニャロだとちょっと違うな」

「ほーら、ママですよ~」

 何を思ったか今度はラストがチャレンジ。
 どこら辺に勝機を見出しての勝負なのか。

 またキッパリと拒否するのかと思っていたらコユキはラストをジッと見つめる。
 どこを見ているのか。

 視線はやや上を向いている。
 顔ではなく頭。

 でもラストにミミはない。
 それでもコユキはイジイジと自分の髪をいじり、ラストの髪を見る。

「ママ!」

「そうだよ、ママだよー!」

「なんでにゃ!」

 笑顔になるコユキ。
 ドヤ顔になるラスト。

「これが私のぼせーってやつよ!」

「あれだな、髪色だな」

 ラストに母性を感じて母だと思っている、と考えるのはラストだけ。
 コユキの行動を見ていれば分かる。

 髪色でママだと判断したと。

「はーはっはっはっ! 私がママンでリュードがパパンだよー!」

「怖い……」

「はっ、ご、ごめんねー! そんなに怯えないでぇ~」

 調子に乗りすぎたラストに、コユキが怖がってサッとルフォンの後ろに隠れる。
 どちらかといえばルフォンママの方がいいみたいだ。

「母性……ね?」

「あー! その顔ムカつくぅ~!」

「こらこら、怒るとコユキが怖がるぞ」

「ぬぅ~!」

 ルフォンはちょっと勝ち誇ったような顔をしている。
 コユキの正体が何であれ、何でもいいかと思わせられる明るい雰囲気がみんなの中にあった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...