534 / 550
第八章
お屋敷に侵入だ6
しおりを挟む
「早く助けてにゃー」
信じてるとは言いながらも、ウルウルした目で窓からリュードを見るニャロ。
後ろ髪引かれる思いがありながらも、時間がないので離れて脱出を試みる。
「それにしてもどうやってここから出るんだ?」
みんなを引き連れて塀の方に向かう。
サンジェルはすっかり塀を越えることを忘れていた。
他の人を含めてサンジェルだって登るのでいっぱいいっぱいだった。
一般人でしかも体力は衰えている。
体力が充実していても厳しいかもしれないのにこのような状態では到底登れないと思った。
「もちろん作戦はあります。おっ、準備してあるな」
しかしそこはリュードが考えていた。
ニャロの協力でみんながまず館からの脱出を図っている間に、リュードは塀の方に向かっていた。
ツタを登って外で隠れて待機していたルフォンたちに何をするつもりなのか伝えて、用意をしてもらっていたのである。
塀に来てみるとそこにリュードたちを乗せていたカバンが落ちていた。
「これは……」
肩紐にはロープが繋いであって、塀の向こうに伸びている。
「これで登りましょう」
リュードはニャロにお願いしたやり方を参考に、同じくエレベーター方式でみんなを運ぶつもりだった。
コユキたちは一度拠点に帰ってロープを持ってきた。
それをカバンの肩紐に括り付けて塀の向こうにコユキが投げ入れたのだ。
コユキのコントロールの問題や塀が高いこともあって中々入らなかったけど、三回目のトライでなんとか中にカバンが入った。
「皆さん乗ってください」
カバンに人々が乗り込む間にリュードはツタを登って塀の上に行く。
何回か登っていると慣れてきて登るスピードも速くなった。
一回じゃ全員は入り切らない。
あまりカバンに人を詰め込みすぎても危険なのでそれなりに入ったところで切り上げる。
「おーい! ゆっくり上げてくれ!」
リュードは手を振ってコユキに合図を出す。
するとコユキがゆっくりとロープを引っ張る。
急に引き上げると引っかかったり、逆さになってしまう。
そうならないように注意してリュードがコユキに指示を飛ばす。
カバンの中の人にも指示を出してバランスを取ってもらって、少しずつカバンを引き上げていく。
「ストーップ! ちょっと待って!」
そうして塀の上までカバンは引き上げることができた。
しかしこのまま引っ張っていくとカバンは塀の外に真っ逆さまに落ちていってしまうのでここで止める。
「そのまま張っておいてくれ!」
塀の上にはいわゆる返しと呼ばれる金属の突起がある。
リュードたちは協力してカバンを引き上げ、隣の隙間にカバンを押し込んで通す。
そしてロープが返しに引っかかるようにした。
こうすれば返しに紐やロープが引っかかって下まで安全に下ろすことができる。
「よし……よーし!」
塀の上からの降ろし始めは勢いがついてカバンがスイングしてしまったものの、第一陣は上手く下ろすことができた。
中からみんながぞろぞろと出てくる。
「時間はかかるが確実に安全な方法でみんなを出すことができるな」
「このまま次も行こう」
またしてもコユキがカバンを塀の中に投げ入れる。
もう慣れたもんで一発で塀の返しの上も越えてきた。
そうした作業を繰り返して町の人たちを塀の外に出していく。
どうにか日が落ちて帰宅ラッシュになる前に作業を終えることができた。
ーーーーー
「問題は尽きないな」
脱出させた町の人たちはサンジェルに任せて、リュードたちはまた別のところに向かっていた。
「もう懐かしい感じもあるね」
「ここに泊まったときにはこんなことになるなんて思わなかったな」
やってきたのはリュードたちが泊まっていた宿である。
受付でボーッと虚空を見つめる宿の主人は、コユキが隠れるように中に入ってきてもなんの反応も見せない。
部屋に行ってみると、リュードたちの荷物には手がつけられておらずそのまま残されていた。
全ての荷物をコユキが一人では持っていけない。
心配ではあるけど、持っていけない以上はこのまま残していくしかない。
今回は目的のものがあってここにきた。
「これ?」
「あー、それじゃない」
「んじゃこれ?」
「お、それそれ」
荷物を漁ってマジックボックスの魔法がかけられた袋を二つほど探し出し、コユキは宿を出て拠点に戻る。
「ああ、リュード、無事だったか」
サンジェルたちの方も特に見つかることもなく、拠点に戻ってくることが出来ていた。
「持ってきた」
「本当か? なら助かる……」
かなりの人数を助け出すことに成功したが、その代わりに大きな問題を抱えることになった。
それは食糧問題である。
大きな問題なのは食べ物が足りていないということだった。
これまではなんとか手の届く範囲のもので食い繋いでいたような状態。
食べ物に実は余裕がなく、さらに助け出したみんなも捕らえられてから食べ物を与えられていない。
しかしみんなが満足できるような食糧をどこからか調達してくるのも難しい。
そこでリュードたちは危険を冒して宿まで行ったのである。
持ってきた袋、それはリュードたちの食糧が入った袋であった。
コユキが手を突っ込んでパンを取り出す。
通常サイズのパン。
人が普通サイズだったら袋の中のものを全部出しても到底足りないけれど、今はみんな小人化している。
通常サイズのパンでも多くの人の胃袋を満たすことができる。
信じてるとは言いながらも、ウルウルした目で窓からリュードを見るニャロ。
後ろ髪引かれる思いがありながらも、時間がないので離れて脱出を試みる。
「それにしてもどうやってここから出るんだ?」
みんなを引き連れて塀の方に向かう。
サンジェルはすっかり塀を越えることを忘れていた。
他の人を含めてサンジェルだって登るのでいっぱいいっぱいだった。
一般人でしかも体力は衰えている。
体力が充実していても厳しいかもしれないのにこのような状態では到底登れないと思った。
「もちろん作戦はあります。おっ、準備してあるな」
しかしそこはリュードが考えていた。
ニャロの協力でみんながまず館からの脱出を図っている間に、リュードは塀の方に向かっていた。
ツタを登って外で隠れて待機していたルフォンたちに何をするつもりなのか伝えて、用意をしてもらっていたのである。
塀に来てみるとそこにリュードたちを乗せていたカバンが落ちていた。
「これは……」
肩紐にはロープが繋いであって、塀の向こうに伸びている。
「これで登りましょう」
リュードはニャロにお願いしたやり方を参考に、同じくエレベーター方式でみんなを運ぶつもりだった。
コユキたちは一度拠点に帰ってロープを持ってきた。
それをカバンの肩紐に括り付けて塀の向こうにコユキが投げ入れたのだ。
コユキのコントロールの問題や塀が高いこともあって中々入らなかったけど、三回目のトライでなんとか中にカバンが入った。
「皆さん乗ってください」
カバンに人々が乗り込む間にリュードはツタを登って塀の上に行く。
何回か登っていると慣れてきて登るスピードも速くなった。
一回じゃ全員は入り切らない。
あまりカバンに人を詰め込みすぎても危険なのでそれなりに入ったところで切り上げる。
「おーい! ゆっくり上げてくれ!」
リュードは手を振ってコユキに合図を出す。
するとコユキがゆっくりとロープを引っ張る。
急に引き上げると引っかかったり、逆さになってしまう。
そうならないように注意してリュードがコユキに指示を飛ばす。
カバンの中の人にも指示を出してバランスを取ってもらって、少しずつカバンを引き上げていく。
「ストーップ! ちょっと待って!」
そうして塀の上までカバンは引き上げることができた。
しかしこのまま引っ張っていくとカバンは塀の外に真っ逆さまに落ちていってしまうのでここで止める。
「そのまま張っておいてくれ!」
塀の上にはいわゆる返しと呼ばれる金属の突起がある。
リュードたちは協力してカバンを引き上げ、隣の隙間にカバンを押し込んで通す。
そしてロープが返しに引っかかるようにした。
こうすれば返しに紐やロープが引っかかって下まで安全に下ろすことができる。
「よし……よーし!」
塀の上からの降ろし始めは勢いがついてカバンがスイングしてしまったものの、第一陣は上手く下ろすことができた。
中からみんながぞろぞろと出てくる。
「時間はかかるが確実に安全な方法でみんなを出すことができるな」
「このまま次も行こう」
またしてもコユキがカバンを塀の中に投げ入れる。
もう慣れたもんで一発で塀の返しの上も越えてきた。
そうした作業を繰り返して町の人たちを塀の外に出していく。
どうにか日が落ちて帰宅ラッシュになる前に作業を終えることができた。
ーーーーー
「問題は尽きないな」
脱出させた町の人たちはサンジェルに任せて、リュードたちはまた別のところに向かっていた。
「もう懐かしい感じもあるね」
「ここに泊まったときにはこんなことになるなんて思わなかったな」
やってきたのはリュードたちが泊まっていた宿である。
受付でボーッと虚空を見つめる宿の主人は、コユキが隠れるように中に入ってきてもなんの反応も見せない。
部屋に行ってみると、リュードたちの荷物には手がつけられておらずそのまま残されていた。
全ての荷物をコユキが一人では持っていけない。
心配ではあるけど、持っていけない以上はこのまま残していくしかない。
今回は目的のものがあってここにきた。
「これ?」
「あー、それじゃない」
「んじゃこれ?」
「お、それそれ」
荷物を漁ってマジックボックスの魔法がかけられた袋を二つほど探し出し、コユキは宿を出て拠点に戻る。
「ああ、リュード、無事だったか」
サンジェルたちの方も特に見つかることもなく、拠点に戻ってくることが出来ていた。
「持ってきた」
「本当か? なら助かる……」
かなりの人数を助け出すことに成功したが、その代わりに大きな問題を抱えることになった。
それは食糧問題である。
大きな問題なのは食べ物が足りていないということだった。
これまではなんとか手の届く範囲のもので食い繋いでいたような状態。
食べ物に実は余裕がなく、さらに助け出したみんなも捕らえられてから食べ物を与えられていない。
しかしみんなが満足できるような食糧をどこからか調達してくるのも難しい。
そこでリュードたちは危険を冒して宿まで行ったのである。
持ってきた袋、それはリュードたちの食糧が入った袋であった。
コユキが手を突っ込んでパンを取り出す。
通常サイズのパン。
人が普通サイズだったら袋の中のものを全部出しても到底足りないけれど、今はみんな小人化している。
通常サイズのパンでも多くの人の胃袋を満たすことができる。
1
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜
大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!?
どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる