人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
540 / 550
第八章

大きくなりたい3

しおりを挟む
「アイツらと戦わねばならないのか……」

 サンジェルが怒りの表情を浮かべる。
 仲間と戦わされるという苦渋の決断をしなければならないことに、怒りが沸き起こっている。

「隊長……俺たちに行かせてください」

「しかし……アイツらは警備隊の仲間だぞ!」

「そんな顔してる隊長を戦わせられませんよ」

「誰かがやらなきゃいけないなら俺たちがやるべきでしょう」

 誰が戦うのかとサンジェルを中心に少し揉めていた。
 どうしようもなければリュードが戦おうと思っていたのだけど、呪いを守っている警備隊と戦うと前に出たのは同じく警備隊のメンバーである。

「お前ら……」

 仲間に手を下すことは心情的にやりたくない。
 だけれども誰かがやらなきゃいけないなら誰かに任せるより自分たちでやるべきだ。

 熱い思いにサンジェルはハッとする。

「それにです……」

「俺たちアイツら嫌いなんですよ!」

「えっ?」

「全員ぶっ飛ばしてやれ! 合法だ!」

 駆け出す警備隊。
 呪い事件の命運をかけた警備隊同士の戦い、の皮をかぶった派閥争いの戦いが始まった。

 警備隊は、町を守るという同一の目的を持っている組織である。
 でも中でみんな仲良しで、一枚岩かというとそうではない。

 全員が全員気が合っていて反目することがない、などといくはずがないのだ。
 気が合わない奴、嫌いな奴もいる。

 そうしていくつかのグループだったり派閥だったりが出来て、警備隊としてはそれなりに付き合いながらも裏では反目し合っていたこともある。
 派閥の中でも性格の悪い嫌なやつ同士は気が合うようで、そうした奴らが集まっているのが副隊長ビリャドを筆頭とするグループだった。

 ビリャドは有能だけど、かなり性格が悪くてサンジェルも手を焼いていた。
 だけど立場が上のサンジェルには、ビリャドはそんなに噛み付くことはなかった。

 サンジェルは知らなかったのだ。
 この機会に死んでもいいと思われているほどにビリャドが嫌われていることに。

「死にさらせ、ビリャドォ!」

「い、いや! 殺してはダメだぞ!」

 幸いにしてどっちも素手。
 物騒なことを叫びながら警備隊はビリャドたちに襲いかかる。

「いつも嫌味言いやがって!」

 どっちが悪者か分かったものではない。
 こちらは解放した人々もいるから人数が圧倒的に多い。

 相手も操られているので本気で戦ってくるのだけど、こっちも本気で応じる。
 人数差もあるのでビリャドたちは全く相手にならず日頃の恨みとばかりにボッコボコにされていく。

「全てが終わったら面談が必要だな……」

 頭を抱えるサンジェル。
 奇しくも警備隊の中の問題が浮き彫りになった。
 
「許せ……町のためなんだ」

「ふぅ……」

 戦いが終わって警備隊のみんなはスッキリ晴れ晴れとした顔をしていた。
 しこたま痛めつけられたビリャドたちは、倒れたまま動かない。

 死んだのかと不安になったサンジェルが駆け寄ってビリャドの確認するが、気を失っているだけで死んではいなかった。
 よっぽど腹に据えかねているものがあったのだろうな、と人の恨みを買うことの怖さをリュードは思い知った。

「しっかり縛っとけ!」

「おうよ! キツめにしとくぜ!」

 サンジェルたちが暴れ出したりしないように布ロープで縛り付けている間に、リュードは地面に描かれた模様を観察する。
 赤黒い何かで描かれた模様は、リュードの知る魔法陣のものとは異なっている。

 うっすらと濁った光を放っていて、魔法陣的な役割を果たしていることは違いないが、やはり呪術は魔法とは少し違っている。
 呪いの模様の真ん中には黒く輝く魔石が積んで置いてある。

 呪いの維持に必要な魔力は魔石から得ているようだ。
 そんなに大きな魔石ではないが、小人状態では魔石一個でも大きく見える。

「……コユキ、神聖魔法でアレぶっ飛ばせるか?」

 呪いの模様に関する知識はリュードにはない。
 模様の中に立ち入ってもいいのかとか赤黒い何かを消しても大丈夫なのかとか、そもそも赤黒い何かが触れても大丈夫なものかとか何も分からない。

 そこで距離を取って呪いに対して抵抗力のある神聖力で破壊してみようと思った。

「みんな離れるんだ!」

 縛ったビリャドたちも引きずって呪いの模様から距離を取る。

「むん!」

 コユキが集中を高めポワッと手のひらの上に神聖力の球を作り出す。
 大きく振りかぶりまるでボールのように神聖力の球を投げた。

 球を作り出すまではいいのだけど、コユキは球を発射するのが苦手だった。
 打ち出すのも練習中なのだが、緊急時的なやり方もニャロから学んでいた。

 それが神聖力投擲法である。
 神聖力の扱いが未熟な子供が時々やる方法で、神聖力を投げてしまうというワイルドなやり方だ。

 ただ発射する技術と合わせると、かなり速く飛ばせるので発射と投擲で使う人も稀にいたりする。

「にゃー!」

 コユキはコントロールが良くて意外と肩も強い。
 健康優良児的なニャロは投擲法も上手くて野球選手のような投球フォームで神聖力の球を打ち出す。

 やや落ちるような軌道を描いて神聖力の球は飛んでいき見事に魔石の山にヒットした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...