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第八章
大きくなりたい3
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「アイツらと戦わねばならないのか……」
サンジェルが怒りの表情を浮かべる。
仲間と戦わされるという苦渋の決断をしなければならないことに、怒りが沸き起こっている。
「隊長……俺たちに行かせてください」
「しかし……アイツらは警備隊の仲間だぞ!」
「そんな顔してる隊長を戦わせられませんよ」
「誰かがやらなきゃいけないなら俺たちがやるべきでしょう」
誰が戦うのかとサンジェルを中心に少し揉めていた。
どうしようもなければリュードが戦おうと思っていたのだけど、呪いを守っている警備隊と戦うと前に出たのは同じく警備隊のメンバーである。
「お前ら……」
仲間に手を下すことは心情的にやりたくない。
だけれども誰かがやらなきゃいけないなら誰かに任せるより自分たちでやるべきだ。
熱い思いにサンジェルはハッとする。
「それにです……」
「俺たちアイツら嫌いなんですよ!」
「えっ?」
「全員ぶっ飛ばしてやれ! 合法だ!」
駆け出す警備隊。
呪い事件の命運をかけた警備隊同士の戦い、の皮をかぶった派閥争いの戦いが始まった。
警備隊は、町を守るという同一の目的を持っている組織である。
でも中でみんな仲良しで、一枚岩かというとそうではない。
全員が全員気が合っていて反目することがない、などといくはずがないのだ。
気が合わない奴、嫌いな奴もいる。
そうしていくつかのグループだったり派閥だったりが出来て、警備隊としてはそれなりに付き合いながらも裏では反目し合っていたこともある。
派閥の中でも性格の悪い嫌なやつ同士は気が合うようで、そうした奴らが集まっているのが副隊長ビリャドを筆頭とするグループだった。
ビリャドは有能だけど、かなり性格が悪くてサンジェルも手を焼いていた。
だけど立場が上のサンジェルには、ビリャドはそんなに噛み付くことはなかった。
サンジェルは知らなかったのだ。
この機会に死んでもいいと思われているほどにビリャドが嫌われていることに。
「死にさらせ、ビリャドォ!」
「い、いや! 殺してはダメだぞ!」
幸いにしてどっちも素手。
物騒なことを叫びながら警備隊はビリャドたちに襲いかかる。
「いつも嫌味言いやがって!」
どっちが悪者か分かったものではない。
こちらは解放した人々もいるから人数が圧倒的に多い。
相手も操られているので本気で戦ってくるのだけど、こっちも本気で応じる。
人数差もあるのでビリャドたちは全く相手にならず日頃の恨みとばかりにボッコボコにされていく。
「全てが終わったら面談が必要だな……」
頭を抱えるサンジェル。
奇しくも警備隊の中の問題が浮き彫りになった。
「許せ……町のためなんだ」
「ふぅ……」
戦いが終わって警備隊のみんなはスッキリ晴れ晴れとした顔をしていた。
しこたま痛めつけられたビリャドたちは、倒れたまま動かない。
死んだのかと不安になったサンジェルが駆け寄ってビリャドの確認するが、気を失っているだけで死んではいなかった。
よっぽど腹に据えかねているものがあったのだろうな、と人の恨みを買うことの怖さをリュードは思い知った。
「しっかり縛っとけ!」
「おうよ! キツめにしとくぜ!」
サンジェルたちが暴れ出したりしないように布ロープで縛り付けている間に、リュードは地面に描かれた模様を観察する。
赤黒い何かで描かれた模様は、リュードの知る魔法陣のものとは異なっている。
うっすらと濁った光を放っていて、魔法陣的な役割を果たしていることは違いないが、やはり呪術は魔法とは少し違っている。
呪いの模様の真ん中には黒く輝く魔石が積んで置いてある。
呪いの維持に必要な魔力は魔石から得ているようだ。
そんなに大きな魔石ではないが、小人状態では魔石一個でも大きく見える。
「……コユキ、神聖魔法でアレぶっ飛ばせるか?」
呪いの模様に関する知識はリュードにはない。
模様の中に立ち入ってもいいのかとか赤黒い何かを消しても大丈夫なのかとか、そもそも赤黒い何かが触れても大丈夫なものかとか何も分からない。
そこで距離を取って呪いに対して抵抗力のある神聖力で破壊してみようと思った。
「みんな離れるんだ!」
縛ったビリャドたちも引きずって呪いの模様から距離を取る。
「むん!」
コユキが集中を高めポワッと手のひらの上に神聖力の球を作り出す。
大きく振りかぶりまるでボールのように神聖力の球を投げた。
球を作り出すまではいいのだけど、コユキは球を発射するのが苦手だった。
打ち出すのも練習中なのだが、緊急時的なやり方もニャロから学んでいた。
それが神聖力投擲法である。
神聖力の扱いが未熟な子供が時々やる方法で、神聖力を投げてしまうというワイルドなやり方だ。
ただ発射する技術と合わせると、かなり速く飛ばせるので発射と投擲で使う人も稀にいたりする。
「にゃー!」
コユキはコントロールが良くて意外と肩も強い。
健康優良児的なニャロは投擲法も上手くて野球選手のような投球フォームで神聖力の球を打ち出す。
やや落ちるような軌道を描いて神聖力の球は飛んでいき見事に魔石の山にヒットした。
サンジェルが怒りの表情を浮かべる。
仲間と戦わされるという苦渋の決断をしなければならないことに、怒りが沸き起こっている。
「隊長……俺たちに行かせてください」
「しかし……アイツらは警備隊の仲間だぞ!」
「そんな顔してる隊長を戦わせられませんよ」
「誰かがやらなきゃいけないなら俺たちがやるべきでしょう」
誰が戦うのかとサンジェルを中心に少し揉めていた。
どうしようもなければリュードが戦おうと思っていたのだけど、呪いを守っている警備隊と戦うと前に出たのは同じく警備隊のメンバーである。
「お前ら……」
仲間に手を下すことは心情的にやりたくない。
だけれども誰かがやらなきゃいけないなら誰かに任せるより自分たちでやるべきだ。
熱い思いにサンジェルはハッとする。
「それにです……」
「俺たちアイツら嫌いなんですよ!」
「えっ?」
「全員ぶっ飛ばしてやれ! 合法だ!」
駆け出す警備隊。
呪い事件の命運をかけた警備隊同士の戦い、の皮をかぶった派閥争いの戦いが始まった。
警備隊は、町を守るという同一の目的を持っている組織である。
でも中でみんな仲良しで、一枚岩かというとそうではない。
全員が全員気が合っていて反目することがない、などといくはずがないのだ。
気が合わない奴、嫌いな奴もいる。
そうしていくつかのグループだったり派閥だったりが出来て、警備隊としてはそれなりに付き合いながらも裏では反目し合っていたこともある。
派閥の中でも性格の悪い嫌なやつ同士は気が合うようで、そうした奴らが集まっているのが副隊長ビリャドを筆頭とするグループだった。
ビリャドは有能だけど、かなり性格が悪くてサンジェルも手を焼いていた。
だけど立場が上のサンジェルには、ビリャドはそんなに噛み付くことはなかった。
サンジェルは知らなかったのだ。
この機会に死んでもいいと思われているほどにビリャドが嫌われていることに。
「死にさらせ、ビリャドォ!」
「い、いや! 殺してはダメだぞ!」
幸いにしてどっちも素手。
物騒なことを叫びながら警備隊はビリャドたちに襲いかかる。
「いつも嫌味言いやがって!」
どっちが悪者か分かったものではない。
こちらは解放した人々もいるから人数が圧倒的に多い。
相手も操られているので本気で戦ってくるのだけど、こっちも本気で応じる。
人数差もあるのでビリャドたちは全く相手にならず日頃の恨みとばかりにボッコボコにされていく。
「全てが終わったら面談が必要だな……」
頭を抱えるサンジェル。
奇しくも警備隊の中の問題が浮き彫りになった。
「許せ……町のためなんだ」
「ふぅ……」
戦いが終わって警備隊のみんなはスッキリ晴れ晴れとした顔をしていた。
しこたま痛めつけられたビリャドたちは、倒れたまま動かない。
死んだのかと不安になったサンジェルが駆け寄ってビリャドの確認するが、気を失っているだけで死んではいなかった。
よっぽど腹に据えかねているものがあったのだろうな、と人の恨みを買うことの怖さをリュードは思い知った。
「しっかり縛っとけ!」
「おうよ! キツめにしとくぜ!」
サンジェルたちが暴れ出したりしないように布ロープで縛り付けている間に、リュードは地面に描かれた模様を観察する。
赤黒い何かで描かれた模様は、リュードの知る魔法陣のものとは異なっている。
うっすらと濁った光を放っていて、魔法陣的な役割を果たしていることは違いないが、やはり呪術は魔法とは少し違っている。
呪いの模様の真ん中には黒く輝く魔石が積んで置いてある。
呪いの維持に必要な魔力は魔石から得ているようだ。
そんなに大きな魔石ではないが、小人状態では魔石一個でも大きく見える。
「……コユキ、神聖魔法でアレぶっ飛ばせるか?」
呪いの模様に関する知識はリュードにはない。
模様の中に立ち入ってもいいのかとか赤黒い何かを消しても大丈夫なのかとか、そもそも赤黒い何かが触れても大丈夫なものかとか何も分からない。
そこで距離を取って呪いに対して抵抗力のある神聖力で破壊してみようと思った。
「みんな離れるんだ!」
縛ったビリャドたちも引きずって呪いの模様から距離を取る。
「むん!」
コユキが集中を高めポワッと手のひらの上に神聖力の球を作り出す。
大きく振りかぶりまるでボールのように神聖力の球を投げた。
球を作り出すまではいいのだけど、コユキは球を発射するのが苦手だった。
打ち出すのも練習中なのだが、緊急時的なやり方もニャロから学んでいた。
それが神聖力投擲法である。
神聖力の扱いが未熟な子供が時々やる方法で、神聖力を投げてしまうというワイルドなやり方だ。
ただ発射する技術と合わせると、かなり速く飛ばせるので発射と投擲で使う人も稀にいたりする。
「にゃー!」
コユキはコントロールが良くて意外と肩も強い。
健康優良児的なニャロは投擲法も上手くて野球選手のような投球フォームで神聖力の球を打ち出す。
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