人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第八章

大きくなりたい5

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「悪いが寝ていてもらう」

 遅くて軽い。
 ここまでで一番弱い攻撃だった。

 バランスが崩れた中で振り下ろされた剣には力も乗っていない。
 剣の重みだけの威力ほどしかない。

 あっさりと剣で受けてそのまま弾き飛ばすと男の手から剣が飛んでいく。
 二本もの武器を操っていたはずなのに、男はあっという間に武器を失った。

 倒すだけなら簡単なのにわざわざ剣を弾き飛ばしたのは、しっかりと無力化するためである。
 変に傷つけてしまう可能性を極限まで減らしておきたかった。

「はあっ!」

 剣を引いたリュードは大きく前に出て、冒険者と距離を詰める。
 リュードの拳が腹に加減もなく入って、冒険者の体がくの字に曲がって一瞬宙に浮く。

 トドメを刺すまでもなく、それで冒険者は土下座するような体勢で気絶した。

「むぅん!」

 ちょうどそのタイミングでコユキの神聖力ピッチングが魔石を直撃した。
 見ると他の冒険者たちも倒されている。

「伏せろ!」

 リュードたちが地面に伏せる。
 コユキによって崩された魔石のいくつかが爆発をして地面が揺れる。

「おっ!」

 そしてまた体が少し大きくなる。

「これじゃあ縛る紐が足りないな」

「服、脱がせて袖で縛っとけばいいですよ」

「なるほどね、そりゃ賢い」

 結局冒険者たちも全員制圧した。
 体が大きくなり、縛るためのロープが足りなかったので、服を脱がせてそれで手足を拘束する。

 女性の冒険者だけはちゃんとロープで縛っておく。

「よし、このまま行くぞ!」

 勢いづくリュードたち。
 印のある三か所目の呪いの模様にも守っている人がいた。

 だけどそれは一般市民であって戦闘力は低かった。
 ヤンキーみたいなケンカは得意そうな連中だったが、そんなの酔っぱらい同士のケンカでもないのだから役に立たない。

 一般市民だから戦うのがちょっとはばかられるということはあった。
 まあ結局倒した。

「ちょっとスッキリしたな」

「ああ、こいつ普段から面倒だったもんな」

 ちょっと素行の悪い奴なんかは警備隊の面々も積極的に倒して止めていたりした。

「やっぱりここにもあったか」
 
 そうして法則に則って、地図には載っていないけどありそうなところも行ってみると予想は大当たりだった。
 やっぱり町を丸く囲むように呪いの模様が配置されているみたいであった。

 ただ森以外のところは草で隠してあったりとカモフラージュして見つかりにくいようにはしていた。

「これで一周か……」

 バレてるのかバレてないのかで言うと、バレていなさそうだとリュードは思った。
 朝から日が落ちるまで時間をかけ、町の周りを一周して呪いの模様潰しをした。

 二番目の冒険者たちが一番まともだったな、とリュードは振り返る。
 一応他の呪いの模様にも護衛はつけてあったけれど、警備隊の仲間はサンジェルのおかげで結構な人数誘拐される前に逃げることに成功していた。

 そのためなのか戦える人が少なく、体つきの良い男性にとりあえず守らせているぐらいな状況だった。
 そして気づいてみればリュードたちもコユキと同じくらいの大きさになっていた。

 これぐらいなら普通の大きさの人とも何とか戦えそうではある。

「ふふ、おんなじ!」
 
 コユキもみんなが同じくらいの大きさでニッコニコだ。
 ただ一周して全部破壊したと思うのに元の大きさにまでは届かない。
 
 そうなるとと考えて思いついたのが、中心にも同じように呪いを維持するための模様なり何なりある可能性だ。
 魔法陣でも大切なものはど真ん中にあったりする。
 
 まだ子供ぐらいの大きさでやや不利だが、どこかで最終決戦しなきゃならないことは分かっていた。

「うわっ、なんだこれ」

 呪いの模様を破壊して回るのにもう夜になってしまった。
 中心になる元領主に行くにしても休みは必要だ。

 リュードは腕をコユキに抱きつかれながらも拠点に戻ってきた。
 そこには大量の人がいた。

 家の中だけじゃなくて外にまで、びっしりと困り顔の人で埋め尽くされていた。

「考えてみれば当然の話か……」

 拠点には町中の人がほとんど集まっていた。
 そしてリュードたちは呪いの模様を破壊して体が大きく戻った。

 と言うことは他の人たちだって戻っている。
 小人サイズではどうにか家に収まっていたが、町中の人たちが集まっても収まる家なんて城でもない限り無理だろう。

 子供サイズでも家の容量は簡単に限界を迎えた。
 みなどうしたらいいのかも分からず、とりあえず家の周りに出ることで大きくなる体に潰されることだけは避けたのである。

 けれどもこんなもの隠れているとも言えない。
 ガッツリ人が集まっているだけである。

「どうします?」

 お留守番をしていた警備隊の人が困った顔をして戻ってきたサンジェルに話しかける。

「どうしますったって……」

 もう完全に日は暮れている。
 子供サイズとは言え大勢の人たちを隠すことができる場所になんて心当たりはない。

「どうする、シューナリュード」

 情けない困り顔でリュードの方を見るサンジェル。
 ここまで来ればここで一番知恵が回るのがリュードだと認めている。

「…………いや、もうこのまま1晩耐えてもらいましょう。明日、日が出たらすぐに元領主の館に突撃です」

 方法はない。
 隠れる場所を探す時間もないし、手持ちの食料も小人だからどうにかなるぐらいしかなかった。

 もう偽物たちの視界にはバンバン入っちゃってるし、取り繕いようもないのだから敵が来ないことを願って体を休めることにする。
 その間に待機組だった警備隊の人たちには自分達の家に向かってもらい、武器となるものを持ってきてもらったりもした。

 夜中に攻めてきたら被害は出るかもしれないが、他に取りうる手段もない。
 交代交代で周りを警戒しながらみんな不安な夜を過ごすことになった。
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