わざわざ証拠まで用意してくれたみたいなのですが、それ、私じゃないですよね?

ここあ

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第四話 お茶会での話

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中断されたダンスパーティの数日後。私は公爵家の屋敷で、アマデア様とお茶をしていた。


「アマデア様、せっかくのパーティを台無しにしてしまい、大変申し訳ございませんでした。」

「まあ、全然大丈夫よ。あなたは少しも悪くないもの。潰されてしまった分のパーティの費用は、オランジェレス様とあなたの妹さんに払ってもらうことになっているけれどね。」

「はい、そのために今ケイレンは、別のお屋敷で使用人として働いているところです。あのケイレンが上手くやれているかどうか、心配ですが。」

「ふふ、自業自得ってことよね。」

アマデア様は、微笑みながら紅茶を静かにすする。


「そういえば、あなた、婚約者はいなくなってしまったのでしょう?」

「はい、オランジェレス様とはもう会う気も致しません。」

「なら、ちょうどいいわ!」

アマデア様は、お綺麗な顔をきらっと輝かせた。
一体何を思いついたのだろう…?


「ちょうど、わたくしのお兄様が婚約相手を探しているところなの。わたくしとあなたの家は繋がりが深いし、あなたとなら気が合いそうだから、わたくしのお兄様を新しい婚約相手としてはどうかしら?」

「ア、アマデア様のお兄様って…ラノエル様?!」


アマデア様のお兄様・ラノエル様は、スラリと背が高くイケメンで、勉強も運動も人一倍お出来になられ、誰にでも優しく接するという、まさに真珠のようなお方だと、噂で聞いたことがある。

多くの貴族の女性に狙われており、婚約の時期に突入したその瞬間から婚約の申し出が後をたたなかったほどらしい。


「ア、アマデア様のお兄様など、私にはもったいなさすぎて…!」

「いいえ、あなただからこそふさわしいと思うわ。それに、あなたがたまにこの屋敷に来たときに、あなたの姿を見かけたお兄様が気にしていらっしゃったわよ。」

嘘…と、私はほんの少しだけ顔を赤らめる。

「そういうことで、お兄様とはまた今度きちんとご対面しましょう。あなたのお父様とお母様にもお伝えしておいてね。」


アマデア様はそう言うと、また優しく微笑みながら、さりげなくクッキーを1枚つまんで食べた。

私も苦笑いしながら、ゆっくりと温かい紅茶をすすった。





それ以来、公爵家の真珠と呼ばれた令息と、伯爵家のとある素晴らしい令嬢が婚約を結んだというのは、社交界で一番の話題としてもちきりとなったのだった。


~fin~
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