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第19話 課金したエレメンタル、めっちゃ強いな! 今度、ペロペロザウルスのTKGを食べさせてやろう!
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転移門『ユグドラシル』前でメニューバーを開き、行きたいダンジョンを選択する。
「転移。ボルケーノケイブ」
転移門の前でそう叫ぶと、俺の身体に蒼い光が宿り、広大な火山洞窟ダンジョン『ボルケーノケイブ』へと転移していく。
蒼い光が身体から消え去った時には、既に転移が完了していた。
先程までいた街の喧騒は消え去り、代わりに煮えたぎるマグマの音や洞窟内に棲息するモンスターの声が聞こえてくる。
マップを見てみると、ダンジョン内にボスモンスターが出現しているようだ。
一際明るい丸い印がマップ内を縦横無尽に移動している。
「おっ? ラッキー!」
ボスモンスターが出現するのは何も最下層だけに留まらない。
極々偶に低階層にも現れる事がある。
火山洞窟ダンジョン『ボルケーノケイブ』に出現するボスモンスターは、ボルケーノ・ドラゴンという火山に棲息するドラゴン。
動きはさほど早くはないものの、火山を思わせる威圧的な外見や、強烈な攻撃力を持つブレス攻撃など、通常であればレベル三十のソロで挑む様なボスモンスターではない。
しかし、今の俺にはエレメンタルがついている。
エレメンタル達は、俺の周りを一周すると肩の辺りで留まり、早く行こうと俺に促してくる。
流石はエレメンタル。
好戦的だ。
早くボルケーノ・ドラゴンを撃破したいとそういう事だろう。
とはいえ、まあ待てと俺は言いたい。
お前達、ボルケーノ・ドラゴン一匹を屠って、それで満足か?
所詮、中級ダンジョンに出てくるボスモンスターだぞ??
俺が数百万相当の『エレメンタル強化チケット』で、最強となったエレメンタルなら満足しない。
己が力を誇示する為に、ボスモンスター相手に圧倒的な暴虐を果たす自信がある。
お前達、暴れたいんだろう?
わかってるって!
心の中でそう呟くと、俺は課金アイテム『レアドロップ倍率+500%』『獲得経験値+500%』『ブースターパック』『モンスターリスポーン』を使用していく。
「ふふふっ、これで良し……」
すると俺を起点として地面が円形に赤く染まり、次々とモンスターが湧いてくる。
マップを見てみると、『モンスターリスポーン』を使った為か、野良ボルケーノ・ドラゴンが高速でこちらに向かってくるのが見て取れた。
計画通り……。
レベルMAXのエレメンタル達がいれば、俺は最強だ!
周囲にリスポーンしたモンスター達が牙を剥きだしにして涎を垂らす。
ふふふっ……。違うな。間違っているぞ。
今、君達は俺の事を美味しそうな獲物だと思っているのだろうがね。それは大きな間違いだ。
深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだという十九世紀のドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの格言を知らんのかね君は……。
君達が俺の事を美味しそうな獲物だと思っているのと同じく、俺自身もお前達の事を経験値の美味しそうな獲物だと思っているのだよ。
「さあ、エレメンタルさん達、懲らしめてやりなさい」
そう呟くと、エレメンタル達に光が灯る。
ジェノサイドの時間だ。
『『グギャァァァァ!!』』
咆哮を上げながら向かってくるモンスター達。
そのモンスター達を前に四つの光の玉が強く輝く。
エレメンタルが強い光を放つと共にモンスターの大虐殺が始まった。
赤い光の玉が輝いたかと思えば、熱線をモンスターに浴びせかけ、土の光の玉が輝いたかと思えば、モンスターの足下で地割れが起こり、至る所からマグマが沸いてくる。
青い光の玉から、水流が逆巻いたかと思えば、それはまるでウォータージェットカッターのような切れ味でモンスターを真っ二つにし、緑の光の玉から風が放たれたかと思えば、モンスターをそのままズタズタに切り裂いた。
流石はエレメンタル。安定の強さだ。
素晴らしい。
「さてと……」
俺もバトルに参加しますか……。
そんな事を考えながらモブ・フェンリルバズーカを構えると、上空から巨大なドラゴンがら降ってきた。
『グギャアアアアッ!!』
火山洞窟ダンジョンのボスモンスター、ボルケーノ・ドラゴンのご到着である。
まるで活火山を思わせる威圧的な外見に心の底に響く叫び声。
レベル三十の俺が勝てるボスモンスターではない。
うん。時期早々だな……。
課金装備のモブ・フェンリルシリーズで全身を強化しているが、ボルケーノ・ドラゴンを見ていると全然勝てる気がしない。
竦んでしまいちびりそうだ。二十三歳の男がである。
おそらく、モブ・フェンリルバズーカで一撃を喰らわせても、ただヘイトを貯めるだけ。
それならエレメンタル達に全てを任せた方がいい。
そうと決まれば……。
俺は地面に散らばるドロップアイテムに視線を向ける。
地面には、MPを回復させる効果のある『初級マナポーション』や『中級マナポーション』、装飾品を生成する為のアイテムである『リトルドラゴンの牙』が散らばっていた。
「よし! ドロップアイテムの回収は俺に任せろ!」
エレメンタル達に向かってそう声を上げると、俺は戦場を駆け抜ける。
地面に落ちているドロップアイテムを拾ってはアイテムストレージに入れ、拾っては入れの繰り返し。
実は俺、得意なんだ。ドロップアイテム回収。
ほら、要はドロップアイテムを拾ってアイテムストレージに入れるだけだろ?
昔、倉庫内でピッキングというアルバイトをした事がある。
アレと同じだ。
ピッキングの無差別バージョン。
とりあえず、アイテムストレージにさえ入れてしまえば、後は勝手にアイテムストレージが振り分け作業をしてくれる。実に楽な作業。ただの屈伸運動ともいう。
餅は餅屋って言うしね。
荒事はエレメンタル達に任せるさ。
頑張れエレメンタル! 負けるなエレメンタル!
俺の命は君達の働きに掛かっている!
チラリとボルケーノ・ドラゴンに視線を向けると、ボルケーノ・ドラゴンに赤い灼熱の熱線が走るのが見えた。
大気が震えるかのような熱線。
あれは火の精霊サラマンダーの熱線攻撃だ。
サラマンダーの熱線攻撃を受けたボルケーノ・ドラゴンは黒い塵が溶けるよう消えていく。
流石はエレメンタル。仕事が早いな……。
仮にも中級ダンジョンのボスモンスターを一撃ですか……。
そんな強大な力を持つエレメンタルが、俺の周囲をふよふよ浮かんでいるの?
なんだかめっちゃ怖くない??
い、いや……。
俺に絶対の忠誠を誓うボディーガードが二十四時間、警備してくれていると思えば問題ない……か?
レベルMAXになったエレメンタル達が強すぎる件……。
今後はエレメンタル達への御機嫌取りも欠かさない様にしよう。
エレメンタル達も二十四時間、俺の護衛をしていては気が休まらないだろうからね!
さて、そんな事よりも……。
ボルケーノ・ドラゴンが倒された場所に視線を向ける。
そこには、腕輪型のドロップアイテムが落ちていた。
「こ、これは……」
ボルケーノ・ドラゴンのレアドロップアイテムの中でも最上クラスのレアアイテム。
『ムーブ・ユグドラシル(使用回数:五回)』
既に課金アイテム『ムーブ・ユグドラシル(使用回数:無制限)』を持っているから要らないけど、これは高く売れる。
素晴らしい働きだよ。エレメンタル君。
もう君達なしでは生きて行けなくなりそうだ。
確か、エレメンタル達の好物は、『ペロペロザウルスの卵』だった筈。
DWの設定上、ペロペロザウルスの卵は、そこにあるだけで、ついペロペロと舐めてしまうほど美味しい卵だ。
これが終わったら冒険者協会かどこかの商会で『ペロペロザウルスの卵』を手に入れ食べさせて上げよう。
いや、待てよ……。
そういえば、冒険者協会併設の酒場に『ペロペロザウルスの卵』を使ったTKG(卵かけご飯)があった筈。
以前、カイルと冒険者協会で酒を呑んだ時、メニュー表に『ペロリスト必食! ペロペロザウルスのTKG』と書いてあった。
TKGは美味いからな……。
エレメンタル達にはそれを食べさせて上げよう。
『ムーブ・ユグドラシル(使用回数:五回)』をアイテムストレージにしまい、立ち上がると、地面に視線を向ける。
地面には数多のドロップアイテムが落ちていた。
課金アイテム『レアドロップ倍率+500%』と『モンスターリスポーン』の相乗効果によりえらい事になっている。
ちょっと考え事をしている内に、エレメンタル達がモンスターを倒していたらしい。
やはりエレメンタルは優秀だ。卓越している。冠絶ものの働きである。
しかし、優秀過ぎるが故に見えていない。
これを一人で拾うのか……。
何度でも言おう。目の前には、数多のドロップアイテムが落ちている。
今も現在進行形で、エレメンタル達がドロップアイテムを量産している最中だ。
いや、確かに言ったよ?
『実は俺、得意なんだ。ドロップアイテム回収』ってさ。
でもこれはないだろう。これはない。
ちょっと量が多すぎる。
例えるなら、深夜。大型商業施設で陳列のアルバイトをしている最中、震度6の地震に見舞われ、棚から落ちた商品全部を明日までに片付けてねと雇用主に言われる位、きつくて量が多い。
これだけの量が地面に落ちているというのに、ドロップアイテムに傷がつかないというのもDWのゲーム仕様そのままだ。
まあ、それは俺に限るみたいなんだけど……。
とはいえ、エレメンタル達の努力を無碍にする事はできない。
「仕方がない……。やるか」
そう呟くと、俺は地面に落ちているドロップアイテムをアイテムストレージに回収するだけの作業を開始する。
『グギャアアアア!』
エレメンタルが最後の一体を倒すと共に、『モンスターリスポーン』の効果が切れる。ステータスを確認すると、レベル百近くまで上がってた。
流石はエレメンタル達だ。
アイテムストレージに格納したドロップアイテムは千個をゆうに超えている。
つまり、経った一時間の間に千体を超えるモンスターを屠った事になる。
エレメンタルはボスモンスターを一撃で屠っていた。
まあ、それ位の事はできるだろう。
しかし、ようやくレベル百かぁ~。
エレメンタルがこんなに強いと知っていれば、もっと早く購入したのに……。
五年間かけてレベルを上限一杯まで上げたのが馬鹿みたいだ。
とはいえ、エレメンタルの育成には馬鹿みたいにお金がかかる事が判明している。
そう考えると、俺の選択も間違っていなかったのか?
地道にコツコツやれば、五年でレベル三百まで上げる事ができるのは実証済み。
今回は課金アイテムが使い放題だからこうなったと考えよう。
今の時間は午後十時。
「さて、冒険者協会に行くか……」
最後のドロップアイテムを拾うと、俺はエレメンタルにペロペロザウルスのTKGを食べさせる為、転移門『ユグドラシル』の前に向かった。
「転移。ボルケーノケイブ」
転移門の前でそう叫ぶと、俺の身体に蒼い光が宿り、広大な火山洞窟ダンジョン『ボルケーノケイブ』へと転移していく。
蒼い光が身体から消え去った時には、既に転移が完了していた。
先程までいた街の喧騒は消え去り、代わりに煮えたぎるマグマの音や洞窟内に棲息するモンスターの声が聞こえてくる。
マップを見てみると、ダンジョン内にボスモンスターが出現しているようだ。
一際明るい丸い印がマップ内を縦横無尽に移動している。
「おっ? ラッキー!」
ボスモンスターが出現するのは何も最下層だけに留まらない。
極々偶に低階層にも現れる事がある。
火山洞窟ダンジョン『ボルケーノケイブ』に出現するボスモンスターは、ボルケーノ・ドラゴンという火山に棲息するドラゴン。
動きはさほど早くはないものの、火山を思わせる威圧的な外見や、強烈な攻撃力を持つブレス攻撃など、通常であればレベル三十のソロで挑む様なボスモンスターではない。
しかし、今の俺にはエレメンタルがついている。
エレメンタル達は、俺の周りを一周すると肩の辺りで留まり、早く行こうと俺に促してくる。
流石はエレメンタル。
好戦的だ。
早くボルケーノ・ドラゴンを撃破したいとそういう事だろう。
とはいえ、まあ待てと俺は言いたい。
お前達、ボルケーノ・ドラゴン一匹を屠って、それで満足か?
所詮、中級ダンジョンに出てくるボスモンスターだぞ??
俺が数百万相当の『エレメンタル強化チケット』で、最強となったエレメンタルなら満足しない。
己が力を誇示する為に、ボスモンスター相手に圧倒的な暴虐を果たす自信がある。
お前達、暴れたいんだろう?
わかってるって!
心の中でそう呟くと、俺は課金アイテム『レアドロップ倍率+500%』『獲得経験値+500%』『ブースターパック』『モンスターリスポーン』を使用していく。
「ふふふっ、これで良し……」
すると俺を起点として地面が円形に赤く染まり、次々とモンスターが湧いてくる。
マップを見てみると、『モンスターリスポーン』を使った為か、野良ボルケーノ・ドラゴンが高速でこちらに向かってくるのが見て取れた。
計画通り……。
レベルMAXのエレメンタル達がいれば、俺は最強だ!
周囲にリスポーンしたモンスター達が牙を剥きだしにして涎を垂らす。
ふふふっ……。違うな。間違っているぞ。
今、君達は俺の事を美味しそうな獲物だと思っているのだろうがね。それは大きな間違いだ。
深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだという十九世紀のドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの格言を知らんのかね君は……。
君達が俺の事を美味しそうな獲物だと思っているのと同じく、俺自身もお前達の事を経験値の美味しそうな獲物だと思っているのだよ。
「さあ、エレメンタルさん達、懲らしめてやりなさい」
そう呟くと、エレメンタル達に光が灯る。
ジェノサイドの時間だ。
『『グギャァァァァ!!』』
咆哮を上げながら向かってくるモンスター達。
そのモンスター達を前に四つの光の玉が強く輝く。
エレメンタルが強い光を放つと共にモンスターの大虐殺が始まった。
赤い光の玉が輝いたかと思えば、熱線をモンスターに浴びせかけ、土の光の玉が輝いたかと思えば、モンスターの足下で地割れが起こり、至る所からマグマが沸いてくる。
青い光の玉から、水流が逆巻いたかと思えば、それはまるでウォータージェットカッターのような切れ味でモンスターを真っ二つにし、緑の光の玉から風が放たれたかと思えば、モンスターをそのままズタズタに切り裂いた。
流石はエレメンタル。安定の強さだ。
素晴らしい。
「さてと……」
俺もバトルに参加しますか……。
そんな事を考えながらモブ・フェンリルバズーカを構えると、上空から巨大なドラゴンがら降ってきた。
『グギャアアアアッ!!』
火山洞窟ダンジョンのボスモンスター、ボルケーノ・ドラゴンのご到着である。
まるで活火山を思わせる威圧的な外見に心の底に響く叫び声。
レベル三十の俺が勝てるボスモンスターではない。
うん。時期早々だな……。
課金装備のモブ・フェンリルシリーズで全身を強化しているが、ボルケーノ・ドラゴンを見ていると全然勝てる気がしない。
竦んでしまいちびりそうだ。二十三歳の男がである。
おそらく、モブ・フェンリルバズーカで一撃を喰らわせても、ただヘイトを貯めるだけ。
それならエレメンタル達に全てを任せた方がいい。
そうと決まれば……。
俺は地面に散らばるドロップアイテムに視線を向ける。
地面には、MPを回復させる効果のある『初級マナポーション』や『中級マナポーション』、装飾品を生成する為のアイテムである『リトルドラゴンの牙』が散らばっていた。
「よし! ドロップアイテムの回収は俺に任せろ!」
エレメンタル達に向かってそう声を上げると、俺は戦場を駆け抜ける。
地面に落ちているドロップアイテムを拾ってはアイテムストレージに入れ、拾っては入れの繰り返し。
実は俺、得意なんだ。ドロップアイテム回収。
ほら、要はドロップアイテムを拾ってアイテムストレージに入れるだけだろ?
昔、倉庫内でピッキングというアルバイトをした事がある。
アレと同じだ。
ピッキングの無差別バージョン。
とりあえず、アイテムストレージにさえ入れてしまえば、後は勝手にアイテムストレージが振り分け作業をしてくれる。実に楽な作業。ただの屈伸運動ともいう。
餅は餅屋って言うしね。
荒事はエレメンタル達に任せるさ。
頑張れエレメンタル! 負けるなエレメンタル!
俺の命は君達の働きに掛かっている!
チラリとボルケーノ・ドラゴンに視線を向けると、ボルケーノ・ドラゴンに赤い灼熱の熱線が走るのが見えた。
大気が震えるかのような熱線。
あれは火の精霊サラマンダーの熱線攻撃だ。
サラマンダーの熱線攻撃を受けたボルケーノ・ドラゴンは黒い塵が溶けるよう消えていく。
流石はエレメンタル。仕事が早いな……。
仮にも中級ダンジョンのボスモンスターを一撃ですか……。
そんな強大な力を持つエレメンタルが、俺の周囲をふよふよ浮かんでいるの?
なんだかめっちゃ怖くない??
い、いや……。
俺に絶対の忠誠を誓うボディーガードが二十四時間、警備してくれていると思えば問題ない……か?
レベルMAXになったエレメンタル達が強すぎる件……。
今後はエレメンタル達への御機嫌取りも欠かさない様にしよう。
エレメンタル達も二十四時間、俺の護衛をしていては気が休まらないだろうからね!
さて、そんな事よりも……。
ボルケーノ・ドラゴンが倒された場所に視線を向ける。
そこには、腕輪型のドロップアイテムが落ちていた。
「こ、これは……」
ボルケーノ・ドラゴンのレアドロップアイテムの中でも最上クラスのレアアイテム。
『ムーブ・ユグドラシル(使用回数:五回)』
既に課金アイテム『ムーブ・ユグドラシル(使用回数:無制限)』を持っているから要らないけど、これは高く売れる。
素晴らしい働きだよ。エレメンタル君。
もう君達なしでは生きて行けなくなりそうだ。
確か、エレメンタル達の好物は、『ペロペロザウルスの卵』だった筈。
DWの設定上、ペロペロザウルスの卵は、そこにあるだけで、ついペロペロと舐めてしまうほど美味しい卵だ。
これが終わったら冒険者協会かどこかの商会で『ペロペロザウルスの卵』を手に入れ食べさせて上げよう。
いや、待てよ……。
そういえば、冒険者協会併設の酒場に『ペロペロザウルスの卵』を使ったTKG(卵かけご飯)があった筈。
以前、カイルと冒険者協会で酒を呑んだ時、メニュー表に『ペロリスト必食! ペロペロザウルスのTKG』と書いてあった。
TKGは美味いからな……。
エレメンタル達にはそれを食べさせて上げよう。
『ムーブ・ユグドラシル(使用回数:五回)』をアイテムストレージにしまい、立ち上がると、地面に視線を向ける。
地面には数多のドロップアイテムが落ちていた。
課金アイテム『レアドロップ倍率+500%』と『モンスターリスポーン』の相乗効果によりえらい事になっている。
ちょっと考え事をしている内に、エレメンタル達がモンスターを倒していたらしい。
やはりエレメンタルは優秀だ。卓越している。冠絶ものの働きである。
しかし、優秀過ぎるが故に見えていない。
これを一人で拾うのか……。
何度でも言おう。目の前には、数多のドロップアイテムが落ちている。
今も現在進行形で、エレメンタル達がドロップアイテムを量産している最中だ。
いや、確かに言ったよ?
『実は俺、得意なんだ。ドロップアイテム回収』ってさ。
でもこれはないだろう。これはない。
ちょっと量が多すぎる。
例えるなら、深夜。大型商業施設で陳列のアルバイトをしている最中、震度6の地震に見舞われ、棚から落ちた商品全部を明日までに片付けてねと雇用主に言われる位、きつくて量が多い。
これだけの量が地面に落ちているというのに、ドロップアイテムに傷がつかないというのもDWのゲーム仕様そのままだ。
まあ、それは俺に限るみたいなんだけど……。
とはいえ、エレメンタル達の努力を無碍にする事はできない。
「仕方がない……。やるか」
そう呟くと、俺は地面に落ちているドロップアイテムをアイテムストレージに回収するだけの作業を開始する。
『グギャアアアア!』
エレメンタルが最後の一体を倒すと共に、『モンスターリスポーン』の効果が切れる。ステータスを確認すると、レベル百近くまで上がってた。
流石はエレメンタル達だ。
アイテムストレージに格納したドロップアイテムは千個をゆうに超えている。
つまり、経った一時間の間に千体を超えるモンスターを屠った事になる。
エレメンタルはボスモンスターを一撃で屠っていた。
まあ、それ位の事はできるだろう。
しかし、ようやくレベル百かぁ~。
エレメンタルがこんなに強いと知っていれば、もっと早く購入したのに……。
五年間かけてレベルを上限一杯まで上げたのが馬鹿みたいだ。
とはいえ、エレメンタルの育成には馬鹿みたいにお金がかかる事が判明している。
そう考えると、俺の選択も間違っていなかったのか?
地道にコツコツやれば、五年でレベル三百まで上げる事ができるのは実証済み。
今回は課金アイテムが使い放題だからこうなったと考えよう。
今の時間は午後十時。
「さて、冒険者協会に行くか……」
最後のドロップアイテムを拾うと、俺はエレメンタルにペロペロザウルスのTKGを食べさせる為、転移門『ユグドラシル』の前に向かった。
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