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第318話 因果応報⑦
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「あーらら……」
あれから数日、俺こと高橋翔が社外取締役としてマスコミ各社の取締役会に出席し意見した結果、数社のテレビ局に割り当てられていた放送チャンネルがブラックアウトする事となった。
色々な意味で、通常では絶対にありえない、とても素早い対応だ。
勿論これはマスコミが溝渕エンターテインメントに求めていた事すべてを実行する様、俺の持てる手段すべてを用いて強制的に促した結果だが、まさしくこれが、これがマスコミの求めていた解体的出直しというもの。
被害者がフラッシュバックしないよう社名を変え、放送免許を返納。これから売上高は落ちるだろうが、毎年売上の五パーセントの寄付は引き続き実行し、人権を意識した経営を行う。
スポンサー契約を打ち切られ、損害賠償請求されている今、どの道、〇CジャパンのCMしか流れていなかったんだ。この結果に、まだ放送チャンネルを持っているマスコミ各社もさぞ満足している事だろう。
いや、戦々恐々としているかな?
次は自分達が同じ目に遭うのではないかと……。
「まあ、どうでもいいか……」
社外取締役というのは本当に楽な仕事だ。
特に、膿を出し切った後の社外取締役ほど楽な仕事はない。
何せ、すべての責任を前任者に押し付けるだけでいいのだ。
実際、すべての責任は前任者にあるので、こちらとしては何の躊躇いもなく責任を押し付けられるし、月に一度、取締役会に出席するだけで社員の月収並みの報酬を受け取る事ができる。
そして、放送免許を返納していない数社にも社外取締役として俺の手の者を送り込む事にも成功した……と、いうより、彼方からオファーがあった。すべてを暴露し糾弾した第三者委員会の関係者を自社の取締役にする事で批判を躱そうとか、安易な事を考えているのだろう。自ら獅子身中の虫を招くとは浅はかを通り越し、愚か過ぎて清々しい。
社外取締役の役割は、社内情勢に左右されず客観的な判断を行う事。
獅子身中の虫に何を求めているのかは知らないが、存分にこなしてやるよ。その役割とやらを……。
手に持っていたリモコンをテレビに向け、電源を切ると、俺は来訪者の方へ向き直る。
「――さて、それで? 俺、忙しいんだけど、何か用?」
理事長室の椅子に座り、インスタントコーヒーを啜りながらそう言うと、男達三人が頭を下げる。
「「「こ、この度は大変申し訳ございませんでした!」」」
目の前で冷や汗を流し、必死になって謝罪しているのは、先日、レアメタル連合から追い出した奥野金属工業株式会社の代表取締役社長、奥野又三郎。株式会社西田メタルの代表取締役社長、西田奥行。そして、門倉金属株式会社の代表取締役社長、門倉栄大の三人。
「申し訳ございませんでした……ねぇ? 何か、謝れるような事したっけ? 全然、覚えがないんだけど……」
この三社がやった事と言えば、アース・ブリッジ協会の前理事長の長谷川から性被害を受けたと言って非難してきた自称被害者の虚言に乗り、俺をレアメタル連合から追い出そうと露骨な圧力をかけてきた位だ。
性加害について納得のいく説明がない場合、レアメタル連合からの脱退も有り得るとか何とか言ってきたから、それじゃあさようならと取引を打ち切って差し上げたんだけど……今更、何って感じだ。
「――そ、そんな事を言わず、どうか……!」
「いや、そんな事を言わずと言われても……」
既に、こいつ等に流していた枠は埋まっている。
今更、謝罪された所で無意味だ。
と、いうより……。
「アース・ブリッジ協会では、あの時、前理事長は性加害を行っていない旨、プレスリリースを出していたよね? 勝手な憶測で性加害していると思い込んで脱退するとか言ってくる奴を信用できるほど、俺は大人じゃないんでね。まあ、頑張ってよ」
競合他社には市場価額の半値でレアメタルを卸す事が確約している。
価格面ではまず太刀打ちできないだろう。そこら辺は、技術面でカバーすればいい。国内有数のレアメタル専門業者なのだ。きっと大丈夫さ。知らんけど……。
「それじゃあ、俺はこれから用事があるから、話はお終いって事で……」
そう告げると、三人は揃って慌てた表情を浮かべる。
「そ、そんな、ちょっと待って下さい!」
「私達はどうなるんですかっ!」
「社員達を食べさせて行かなきゃいけないんです! どうか慈悲を……!」
どうか慈悲をってお前等の会社は、国内有数のレアメタル専門業者だろうが……いや、国内有数のレアメタル専門業者だから問題なのか……?
まあ、俺にはどうでもいいけど……。
「いや、慈悲も何も自分で取引を打ち切る選択をしたんだろ?」
判断ミスが仇となり取引先を失うなんてよくある事だろ?
高々、お前の頭一つで、得意先との取引枠を撤回してまで割り当ててやる価値はねぇよ。
「まあ、自業自得って事で諦めてよ。また機会があったらよろしく」
まあ、二度とないだろうけど……。
そう告げると、三人は慌てた様子を浮かべる。
「ち、ちょっと待って下さい。まだ話は終わってな――」
「いやいや、話は終わりだよ。それじゃあね」
そう言って理事長室から締め出すと、三人は肩を落とし去っていく。
さて、邪魔な奴らは追い出した。
あれから二ヶ月。レアメタルと言えば、ゲーム世界の方はどうなっているかな……。
ダークエルフの下、二ヶ月以内に強くなってあの世界の上級ダンジョンすべてを攻略するという約束は果たせただろうか?
ちょっと心配だ。
二ヶ月前のあの時点で、『ああああ』達のレベルは呪いの装備『命名神の怒り』を強制解除された事により初期化されている。
ちょっとやそっとの努力で、上級ダンジョンを攻略できる程、レベリングできるとは思えない。
あいつ等の存在は俺にとって不良債権みたいなもの。ダメ元で提案してみたが、上手くやってくれているといいんだけど……。
何だかんだで、あいつ等に渡した呪いの装備『命名神の怒り』の効果は強力。
攻撃が一切通じなくなる効果があるだけ破格だ。レベリングさえしっかりできていれば、攻略は容易な筈。
あいつ等の世話焼くのもいい加減疲れた。
もし、あいつ等が上級ダンジョンを攻略できていない様なら『ああああ』達を盾代わりに上級ダンジョンに連れて行って、攻略した後にセントラル王国にでも帰してやるか。
ぶっちゃけ、あいつ等問題しか起こさないし、ドワーフとの関係も拗れている。
あの世界に置いておくのは百害あって一利なしだ。
そうと決まれば、早速……。
「いや、飯を食ってからゲーム世界にログインするか……」
飯を食べるなら落ち着いた場所で食べたい。
電子ケトルに水を入れ、高速沸騰ボタンを押すと、俺は引き出しに入れておいたカップ麺を取り出し、ラップをはいで蓋を半分開ける。
BGM代わりにテレビを付け、カップにお湯を注ぐと、割り箸を手に取り、三分待ってから蓋を剥がし、箸で麺を掴み勢いよく啜る。
うん。美味い。
流石はカップ麺。安定の美味しさだ。
って、うん?
そんな事を考えながら、テレビに視線を向けると、この世界にいる筈のない奴等がテレビに映った気がした。
疲れているな……。
頭のおかしい奴等ばかり相手にしたからか?
一瞬、『ああああ』達の姿がテレビに映った様な気が……。
目を擦り、もう一度、テレビに視線を向けると、そこには……。
北極海を縦横無尽に回遊する巨大な毒蛇ヨルムンガルドと、北極に駐留している軍に拘束された『ああああ』達の姿があった。
「いやー、最近の特撮は凄いな……まるで本物のヨルムンガルドが北極海を回遊しているみたいじゃないか……」
もう一度、目を擦りモニターを見ると、リモコンの電源ボタンを押しテレビの電源を落とす。
一瞬、『ああああ』達の姿が見えた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
『ああああ』達は、ゲーム世界にあるスヴァルトアールヴヘイムで、上級ダンジョン攻略に励んでいる筈だ。上級ダンジョンを攻略して開かれるのは、ゲーム世界内にある新しい世界であり、こっち側の世界ではない。あのヨルムンガルドは――
「――って、いやいやいやいやいや、なんでヨルムンガルドがこっちの世界の北極海を優雅に回遊しちゃってるのぉぉぉぉ?? 色々とおかしいだろぉぉぉぉ!!」
何となくではあるが『ああああ』達がスヴァルトアールヴヘイム内にある上級ダンジョンを攻略した影響でそうなっているのだろうということは分かった。しかし、こちらの世界に戻ってきている事や、見るからに裏ボスっぽいヨルムンガルドが北極海を回遊している理由が分からない。
どうやったら、そうなった。
もしかして、北極圏に領土を持つ八ヶ国がユグドラシルにミサイルでも打ち込んだのか? 打ち込んだのか!?
北極圏内に作戦行動可能な軍事基地が数十単位で存在している事は知っている。
アメリカだか、カナダだか、ロシアだか知らないが、北極圏に軍事基地を持つ国のどこかが、北極に突如として現れた大樹ユグドラシルにミサイルか核でも打ち込んだのだろう。
大樹の周りに球体上に張られた膜の一部が破れていた事からその事がよく分かる。
なんて事をしてくれたんだ……。
もう行けねーよ!
行く気なんか更々無いけど、危なっかしくて北極に行けねーよ!
何で蛇なのに寒さに強いんだよ!
北極で冬眠しないならどこいってもダメじゃん!
場合によっては、暖かい場所を求めてこっちの海に来る可能性すらあるよ!!
「駄目だ……早く何とかしないと……」
ヨルムンガルドが日本に上陸したら日本が終わる。
どこの軍か知らないが、あのヨルムンガルドをこっちの世界に解き放った責任を取り、被害が出る前に首尾よく打ち取って欲しいものだ。
でも、その前に……。一度、スヴァルトアールヴヘイムの被害状況を確認しておかないと……。
ユグドラシルの周りに球体上に張られた膜の一部が破損し、ヨルムンガルドと『ああああ』達がこっちの世界に来る事ができたという事は、あの破損した膜とゲーム世界が繋がっているという事に他ならない。
すぐに塞いで、北極からゲーム世界に行く事ができぬ様、対処しないと……。
そうしなければ、俺の狩場が奴等に荒らされてしまう。
こっちは苦労に苦労を重ねて新しい世界を切り開いたんだ。
横から攫われてたまるものか!
「――コネクト『Different World』!」
そう言うと、『Different World』の世界へとダイブした。
---------------------------------------------------------------
次回より新章に入ります。また諸事情により、更新ペースが現状の3日に1回から毎週木曜日朝7時更新(次回は2023年12月14日AM7時更新)となります。
よろしくお願いいたします。
あれから数日、俺こと高橋翔が社外取締役としてマスコミ各社の取締役会に出席し意見した結果、数社のテレビ局に割り当てられていた放送チャンネルがブラックアウトする事となった。
色々な意味で、通常では絶対にありえない、とても素早い対応だ。
勿論これはマスコミが溝渕エンターテインメントに求めていた事すべてを実行する様、俺の持てる手段すべてを用いて強制的に促した結果だが、まさしくこれが、これがマスコミの求めていた解体的出直しというもの。
被害者がフラッシュバックしないよう社名を変え、放送免許を返納。これから売上高は落ちるだろうが、毎年売上の五パーセントの寄付は引き続き実行し、人権を意識した経営を行う。
スポンサー契約を打ち切られ、損害賠償請求されている今、どの道、〇CジャパンのCMしか流れていなかったんだ。この結果に、まだ放送チャンネルを持っているマスコミ各社もさぞ満足している事だろう。
いや、戦々恐々としているかな?
次は自分達が同じ目に遭うのではないかと……。
「まあ、どうでもいいか……」
社外取締役というのは本当に楽な仕事だ。
特に、膿を出し切った後の社外取締役ほど楽な仕事はない。
何せ、すべての責任を前任者に押し付けるだけでいいのだ。
実際、すべての責任は前任者にあるので、こちらとしては何の躊躇いもなく責任を押し付けられるし、月に一度、取締役会に出席するだけで社員の月収並みの報酬を受け取る事ができる。
そして、放送免許を返納していない数社にも社外取締役として俺の手の者を送り込む事にも成功した……と、いうより、彼方からオファーがあった。すべてを暴露し糾弾した第三者委員会の関係者を自社の取締役にする事で批判を躱そうとか、安易な事を考えているのだろう。自ら獅子身中の虫を招くとは浅はかを通り越し、愚か過ぎて清々しい。
社外取締役の役割は、社内情勢に左右されず客観的な判断を行う事。
獅子身中の虫に何を求めているのかは知らないが、存分にこなしてやるよ。その役割とやらを……。
手に持っていたリモコンをテレビに向け、電源を切ると、俺は来訪者の方へ向き直る。
「――さて、それで? 俺、忙しいんだけど、何か用?」
理事長室の椅子に座り、インスタントコーヒーを啜りながらそう言うと、男達三人が頭を下げる。
「「「こ、この度は大変申し訳ございませんでした!」」」
目の前で冷や汗を流し、必死になって謝罪しているのは、先日、レアメタル連合から追い出した奥野金属工業株式会社の代表取締役社長、奥野又三郎。株式会社西田メタルの代表取締役社長、西田奥行。そして、門倉金属株式会社の代表取締役社長、門倉栄大の三人。
「申し訳ございませんでした……ねぇ? 何か、謝れるような事したっけ? 全然、覚えがないんだけど……」
この三社がやった事と言えば、アース・ブリッジ協会の前理事長の長谷川から性被害を受けたと言って非難してきた自称被害者の虚言に乗り、俺をレアメタル連合から追い出そうと露骨な圧力をかけてきた位だ。
性加害について納得のいく説明がない場合、レアメタル連合からの脱退も有り得るとか何とか言ってきたから、それじゃあさようならと取引を打ち切って差し上げたんだけど……今更、何って感じだ。
「――そ、そんな事を言わず、どうか……!」
「いや、そんな事を言わずと言われても……」
既に、こいつ等に流していた枠は埋まっている。
今更、謝罪された所で無意味だ。
と、いうより……。
「アース・ブリッジ協会では、あの時、前理事長は性加害を行っていない旨、プレスリリースを出していたよね? 勝手な憶測で性加害していると思い込んで脱退するとか言ってくる奴を信用できるほど、俺は大人じゃないんでね。まあ、頑張ってよ」
競合他社には市場価額の半値でレアメタルを卸す事が確約している。
価格面ではまず太刀打ちできないだろう。そこら辺は、技術面でカバーすればいい。国内有数のレアメタル専門業者なのだ。きっと大丈夫さ。知らんけど……。
「それじゃあ、俺はこれから用事があるから、話はお終いって事で……」
そう告げると、三人は揃って慌てた表情を浮かべる。
「そ、そんな、ちょっと待って下さい!」
「私達はどうなるんですかっ!」
「社員達を食べさせて行かなきゃいけないんです! どうか慈悲を……!」
どうか慈悲をってお前等の会社は、国内有数のレアメタル専門業者だろうが……いや、国内有数のレアメタル専門業者だから問題なのか……?
まあ、俺にはどうでもいいけど……。
「いや、慈悲も何も自分で取引を打ち切る選択をしたんだろ?」
判断ミスが仇となり取引先を失うなんてよくある事だろ?
高々、お前の頭一つで、得意先との取引枠を撤回してまで割り当ててやる価値はねぇよ。
「まあ、自業自得って事で諦めてよ。また機会があったらよろしく」
まあ、二度とないだろうけど……。
そう告げると、三人は慌てた様子を浮かべる。
「ち、ちょっと待って下さい。まだ話は終わってな――」
「いやいや、話は終わりだよ。それじゃあね」
そう言って理事長室から締め出すと、三人は肩を落とし去っていく。
さて、邪魔な奴らは追い出した。
あれから二ヶ月。レアメタルと言えば、ゲーム世界の方はどうなっているかな……。
ダークエルフの下、二ヶ月以内に強くなってあの世界の上級ダンジョンすべてを攻略するという約束は果たせただろうか?
ちょっと心配だ。
二ヶ月前のあの時点で、『ああああ』達のレベルは呪いの装備『命名神の怒り』を強制解除された事により初期化されている。
ちょっとやそっとの努力で、上級ダンジョンを攻略できる程、レベリングできるとは思えない。
あいつ等の存在は俺にとって不良債権みたいなもの。ダメ元で提案してみたが、上手くやってくれているといいんだけど……。
何だかんだで、あいつ等に渡した呪いの装備『命名神の怒り』の効果は強力。
攻撃が一切通じなくなる効果があるだけ破格だ。レベリングさえしっかりできていれば、攻略は容易な筈。
あいつ等の世話焼くのもいい加減疲れた。
もし、あいつ等が上級ダンジョンを攻略できていない様なら『ああああ』達を盾代わりに上級ダンジョンに連れて行って、攻略した後にセントラル王国にでも帰してやるか。
ぶっちゃけ、あいつ等問題しか起こさないし、ドワーフとの関係も拗れている。
あの世界に置いておくのは百害あって一利なしだ。
そうと決まれば、早速……。
「いや、飯を食ってからゲーム世界にログインするか……」
飯を食べるなら落ち着いた場所で食べたい。
電子ケトルに水を入れ、高速沸騰ボタンを押すと、俺は引き出しに入れておいたカップ麺を取り出し、ラップをはいで蓋を半分開ける。
BGM代わりにテレビを付け、カップにお湯を注ぐと、割り箸を手に取り、三分待ってから蓋を剥がし、箸で麺を掴み勢いよく啜る。
うん。美味い。
流石はカップ麺。安定の美味しさだ。
って、うん?
そんな事を考えながら、テレビに視線を向けると、この世界にいる筈のない奴等がテレビに映った気がした。
疲れているな……。
頭のおかしい奴等ばかり相手にしたからか?
一瞬、『ああああ』達の姿がテレビに映った様な気が……。
目を擦り、もう一度、テレビに視線を向けると、そこには……。
北極海を縦横無尽に回遊する巨大な毒蛇ヨルムンガルドと、北極に駐留している軍に拘束された『ああああ』達の姿があった。
「いやー、最近の特撮は凄いな……まるで本物のヨルムンガルドが北極海を回遊しているみたいじゃないか……」
もう一度、目を擦りモニターを見ると、リモコンの電源ボタンを押しテレビの電源を落とす。
一瞬、『ああああ』達の姿が見えた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
『ああああ』達は、ゲーム世界にあるスヴァルトアールヴヘイムで、上級ダンジョン攻略に励んでいる筈だ。上級ダンジョンを攻略して開かれるのは、ゲーム世界内にある新しい世界であり、こっち側の世界ではない。あのヨルムンガルドは――
「――って、いやいやいやいやいや、なんでヨルムンガルドがこっちの世界の北極海を優雅に回遊しちゃってるのぉぉぉぉ?? 色々とおかしいだろぉぉぉぉ!!」
何となくではあるが『ああああ』達がスヴァルトアールヴヘイム内にある上級ダンジョンを攻略した影響でそうなっているのだろうということは分かった。しかし、こちらの世界に戻ってきている事や、見るからに裏ボスっぽいヨルムンガルドが北極海を回遊している理由が分からない。
どうやったら、そうなった。
もしかして、北極圏に領土を持つ八ヶ国がユグドラシルにミサイルでも打ち込んだのか? 打ち込んだのか!?
北極圏内に作戦行動可能な軍事基地が数十単位で存在している事は知っている。
アメリカだか、カナダだか、ロシアだか知らないが、北極圏に軍事基地を持つ国のどこかが、北極に突如として現れた大樹ユグドラシルにミサイルか核でも打ち込んだのだろう。
大樹の周りに球体上に張られた膜の一部が破れていた事からその事がよく分かる。
なんて事をしてくれたんだ……。
もう行けねーよ!
行く気なんか更々無いけど、危なっかしくて北極に行けねーよ!
何で蛇なのに寒さに強いんだよ!
北極で冬眠しないならどこいってもダメじゃん!
場合によっては、暖かい場所を求めてこっちの海に来る可能性すらあるよ!!
「駄目だ……早く何とかしないと……」
ヨルムンガルドが日本に上陸したら日本が終わる。
どこの軍か知らないが、あのヨルムンガルドをこっちの世界に解き放った責任を取り、被害が出る前に首尾よく打ち取って欲しいものだ。
でも、その前に……。一度、スヴァルトアールヴヘイムの被害状況を確認しておかないと……。
ユグドラシルの周りに球体上に張られた膜の一部が破損し、ヨルムンガルドと『ああああ』達がこっちの世界に来る事ができたという事は、あの破損した膜とゲーム世界が繋がっているという事に他ならない。
すぐに塞いで、北極からゲーム世界に行く事ができぬ様、対処しないと……。
そうしなければ、俺の狩場が奴等に荒らされてしまう。
こっちは苦労に苦労を重ねて新しい世界を切り開いたんだ。
横から攫われてたまるものか!
「――コネクト『Different World』!」
そう言うと、『Different World』の世界へとダイブした。
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次回より新章に入ります。また諸事情により、更新ペースが現状の3日に1回から毎週木曜日朝7時更新(次回は2023年12月14日AM7時更新)となります。
よろしくお願いいたします。
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