傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました

みん

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叔母①

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『本当はね、私こそがオーティス様と結婚する予定だったのよ。それなのに…姉さんが…。』

『姉さんが死んだのは、強い魔力を持った貴方を生んだからよ。ふふっ。それに関してだけは感謝してあげるわ。』






叔母は、あれから直ぐに本性を表した。私の前だけだが。

お父様も仕事がある為、私の誕生日の次の日には王都へと帰って行った。
祖父母も日中は領地の運営やお茶会などで、邸を留守にする事が多く、今迄は私は一人だったのだけど、従弟妹と言う存在ができ、何をして遊ぼうか─とワクワクしながら従弟妹の居る所に向かうと─

冒頭での話を聞かされたのだ。
私には記憶になかったけど、母は私を生んでから1年程して流行り病にかかり亡くなったと聞かされていた。

ーそれは…嘘だった?ー

最初は信じられなかったけど、それがもし本当だったら…と、怖くてその事を誰にも訊けずにいた。
そうして、誰にも訊く事ができないまま、更に叔母は精神的に私を追い詰めて来た。
ただ、祖父母や使用人達が居る時は、本当に優しい叔母を演じていて、周りにの者には何の問題も無いようにしか見えていなかった。

そんな日々を繰り返しているうちに、自分で、日に日に自分から笑顔が無くなっていくのが分かった。






叔母が来てから1年。私が9歳になった頃

「シルフィー。何か…あったのかい?最近、少し元気がないようだが…」

お祖父様が心配そうに私に訊いて来たが、同じ部屋には叔母も従弟妹も居た為

「お祖父様、何も…ないわ。私は元気よ。」

としか言えなかった。








それからまた更に1年が経ち、私が10歳になった時だった。


叔母と従弟妹が流行り病に掛かり、特に、叔母と従妹のエレーナの2人は、高熱で2日程寝込んでしまった。

そして、が、私のこれからの運命も変えるような分岐点となったのだ。






******

「シルフィー!本当にごめんなさい!!ああああーっ!謝って済む問題ではないわよね!!!」

ーえっと…今、私の目の前に居るのは…誰だっけ?ー



流行り病で高熱を出し、2日間生死の境目を彷徨った叔母が、何とか一命を取り留め、それから2日経った日、叔母が寝ている部屋に呼び出された。

ーまた、何か…八つ当たりの様に言われるのだろうかー

そんな暗い気持ちで一人で叔母の元へと向かうと


高熱が続いたせいか、心なしか少し痩せたような叔母が、ベッドの上で上半身を起こして座っていた。そして、私が部屋に入り叔母と目が合った瞬間

「うわー!どうしよう!!本当にシルフィーだ!可愛い!!えー何でもっと早くに…って、ごめんなさい!」

と、叔母が変な事を叫び出した。

「シルフィー!本当にごめんなさい!!ああああーっ!謝って済む問題ではないわよね!!!」

「えっと…???」

「ああ…急にこんな事を言って…驚く…わよね?」

「……」

ー何処に驚けば良いのか分からない位驚いてますー

声に出せない為、コクリと頷くと、叔母は自分の手を頬に当てて「ふぅ──」と、深く息を吐いた。

「取り敢えず、そこに座ってちょうだい。貴女に…シルフィーちゃんに聞いて欲しい事があるの。」

叔母が困った様な顔で、ベッドサイドにある椅子に座るように促して来たので、私はそのまま素直にその椅子に腰を下ろした。

「今からする話は…信じてもらえないかも知れないけど、聞いてちょうだい。」

と、前置きをしてから叔母が語った話は、本当に信じられない内容だった。





一つ─この体の持ち主であるカルディアは、死んでしまった。

二つ─そのカルディアの体に、カルディアではない“私”が入り込んでしまった。

三つ─この世界が、“私”の世界で生きていた時に読んでいた漫画─絵付きの小説─の話と似ている。




「こんな話…信じられないわよね?」

と、叔母がしゅんとして項垂れている。
確かに、そんな話をされても全く信じられないけど、今の叔母の姿だって信じられない位に、以前のモノとは違っている。

叔母は、私の事を“シルフィー”なんて呼ばない。こんなにも、私に対しては表情豊かになんてならない。“可愛い”なんて、絶対に言わない。

ーなら、この人は一体誰なの?ー

「貴女は…一体誰なの?」

と素直に訊けば

「え?私の話を信じてくれるの?」

叔母は嬉しそうな顔で、私の方へと顔を向ける。

「以前の叔母さまとは…かなり違うから…」

「あー…そうよね…。兎に角…私の名前は─アヤメよ。」

「…アヤメ…」

「ゔっ─に名前を呼ばれるとか!マジ最高!」

「え??マジ?え?」

「やだ!キョトン顔も最高じゃない!」

「え??」

何故か、私が反応する度に叔母が興奮して、ちょっと意味の分からない事を口にして、それに対して私が反応して──と、そんなやり取りがそれから暫く繰り広げられた。





ー確かに、この目の前に居る叔母は、叔母であって、カルディアではないようですー






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