モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

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第一章ー婚約ー

ようやくのスタート地点

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「あら、思ったより早いお帰りね?」





あれから、少しだけ…私が落ち着く迄、青の庭園でお茶をしながら話しをして、今日は私が、もういっぱいいっぱいだろうから─と言う事で、少し早い時間だけど、パルヴァン邸に帰ろう─と、言う事になった。そして、パルヴァン邸に帰って来ると、ミヤさんが出迎えてくれていた。



「ミヤさん、ただいま!です。」

ギュッとミヤさんに抱き付く。

「あら?ハル、どうしたの?何となく…お疲れ?」

「うっ──」

ーやっぱりミヤさんは鋭いー

ミヤが、ハルを抱き締めたままエディオルに視線を向けると、エディオルはニッコリと微笑んだ。

「成る程ね。ふふっ─時間は短かったけど、中身は濃厚だったのね?お祝いする?あー…その前にゼンさんに報告ね…先ずは…ロンさんか…」

「“ゼンさんの前にロンさん”?」

意味が分からなくて、首を傾げてミヤさんを見る。

「あぁ、ハルは何も気にしなくていいわよ?」

「?」

何故か、少し困ったように笑うミヤさん。

「今日の事、今すぐにでも聞きたいけど、疲れてるでしょう?少し部屋で休んだ方が良いわね?」

「うーそう…ですね。少し部屋で休んで来ます。」

ミヤさんから体を離し、エディオル様の方に向き直る。

「えっと…エディオルさ──ん。今日も、ありがとうございました。」

ペコリと軽く頭を下げる。

「エディオル─ねぇ…ふふっ─」

ー後ろでミヤさんがニヤニヤしている気配がするけど…気にしたら負けです!ー

「こちらこそ。俺も今日は、本当に楽しかった。それと…明日は朝からゼン殿と約束があるから…今日もここに泊まる事になると思う。よろしく。」

「そう…なんですね。こちらこそ、よろしくです。」

まだここに居るのか─と思うと少し嬉しい気持ちになって、そのまま自室へと足を向けた。












「…ハル、嬉しそうに部屋に行ったわね。“おめでとう”─で良いのかしら?」

「やっとスタート地点に立った─と言うところですけどね?ありがたく受け取っておきます。」

「ふふっ─。明日どころか…今日の夜もゼンさんに捕まるわよ?」

「……それは想定内です。」

「何かあったら…ハルをわね。」

「…ありがとうございます。」

「それじゃあ、今夜は長くなりそうだから、エディオルさんも部屋で休んでおいた方が良いわよ。私は、取り敢えずロンさんに報告して来るわね。」

手をヒラヒラさせながら、ミヤ様は邸の奥へと入って行き、俺も客室へと足を向けた。





“今夜は長くなりそう”─絶対長くなるよな…。でも…。



『あの…私……も、エディオル様の事が…すき…なんだと思います…』

俺の事が好きだ─と言ったハル。


『ありがとうございます。あの…私…好き…ですから………………の事、好きですから。』


俺の事を“ディ”と口にしたハルは…本当にヤバかった。破壊力が半端なかった。よく堪えたなと思う。

名前の呼び方一つで、世界が変わったような気がした。

「夢─じゃないよな?ちゃんと、に居た…よな?」

ついさっきまで、俺の腕の中に居た。本当に、可哀想になる位いっぱいいっぱいになっていた。それでも…分かっていても離せなかった。あまりにも…嬉し過ぎて…。

俺は十代のガキか!?と、自分に突っ込みそうになる。29にもなって、こんなに浮かれる事があるとは…思わなかったな。

それでも─だ。これで、ようやくスタート地点に立っただけだ。嬉しい反面、俺とハルのには、大きな違いがある事も判った。まぁ、何にせよ、これからも遠慮せずに詰めて行くだけだが─。何をしても可愛く見えるから…本当にある意味大変なのだ。

ーどこまでなら…許されるのだろうか?ー



『騎士よ、ようやく主を落としたのか?』

「ネージュ殿!?」

ネージュ殿が、何やら嬉しそうに尻尾を振りながら現れた。

『早い時間に帰って来た故、心配したのだが…主が嬉しそうに話してくれたのだ。主の魔力も、いつもより温かくなっている故、本当に嬉しいと言う事が分かるのだ。ありがとう。』

自分の事の様に嬉しそうな顔をするネージュ殿。尻尾が…物凄い勢いで揺れているが…大丈夫…なんだよな?少し心配になる─。

「今、ハルは?」

『主は、話している途中で寝てしまったのだ。昨日は、緊張してあまり眠れなかったらしい。』

「そうか─。なら、早目に帰って来て良かった。」

『それでも…主は主だ。ポンコ─ダメダメが急に良くなる事は……主には有り得ぬ事だろう?まだまだ騎士も大変だろうが、それでも、気長に…頑張って欲しい。それだけ、言いに来た。』

そう言うと、ネージュ殿はまた姿を消した。

緊張して眠れなかった─

「ふっ─本当に可愛いな。」

次にハルと顔を合わせるのは、夕食の時だろうか?その時、ハルは一体どんな反応をするのか─

「楽しみ…だな。」

その時のハルを想像しながら、俺もそのまま寝てしまっていた。








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