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第二章ー同棲ー
短剣
しおりを挟むもう一度ネージュの身体を診て、魔力の流れが安定しているのを確認した後、ネージュの事はノアにお願いして、エディオルさんと私はまた邸へと戻って来た。
それから、お互いの部屋で一休みしてから、朝食を取っていなかった為、少し早目に昼食を用意してもらった。
「朝食を食べていないし、魔力も結構使ったと思うが…体調は大丈夫か?何か食べたい物はないか?」
と、昼食後にサラッとエディオルさんの部屋へと連れ去られ───何故か、またエディオルさんの足の間に座らされ、後ろから抱き付かれています。
ー何で?余計に疲れない?ー
「疲れるどころか、癒されてるから大丈夫だ。」
「ソウデスカ……」
と、抵抗するのも逃げるのも諦めた時に思い出す。
「あぁーっ!忘れてました!!あの!ディ、少しだけ…少しだけ部屋に戻って来ても良いですか!?」
「嫌だ──と言ったら?」
「──くっ…そんな…可愛い顔しても…駄目ですからね!?あの、本当に、またすぐにここに戻って来るので、お願いします!!」
「──分かった。すぐ戻ってくるように─」
「あ、ありがと──」
お礼を言おうと振り返ると
「──んんっ!?」
深いキスをされた。
「遅かったら、またするから。」
ー今日もディが…甘過ぎますー
「これは?」
「本当は、昨日─ディの誕生日に渡そうと思ってたんですけど…まぁ…色々あって…忘れてました。えっと…改めて、お誕生日おめでとうございます。これ、私からの…プレゼントです。受け取って…もらえますか?」
「勿論だ。ありがとう。早速だが、ここで開けても?」
「はい。気に入ってもらえると…良いんですけど。」
「これは──」
「はい、短剣…です。」
佩帯していても邪魔にならないように、シンプルな鞘の物にした。そして、鞘と柄に、小さな魔石を填め込んでもらっている。
「……」
ーあれ?まさかの、無反応ー
「えっと…ひょっとして、気に入らな──」
「コトネ、短剣を贈る意味を…知っているか?」
「贈る…意味?あ─すみません。知らないです。あの…以前、ルーチェ様に、騎士と婚約を結んだ後、最初にプレゼントをするのは短剣だ─と教えてもらって。それから、街に出る時に色々探して見て回って、良いな─って思った物があったから、買ってたんです。それで、ちょうど誕生日だって聞いて、魔石を加工して填め込んでもらって…。ひょっとして…駄目でしたか?」
誕生日に短剣─よく考えたら…アウトなのかもしれない。日本でも、結婚式なんかの挨拶で、切れるとか言う言葉を使うのはよくないとか言ってたし…。
どうしようか─と、嫌な汗が出そうになった時
フワリと優しく抱き締められた。
「えっ!?」
「駄目じゃない。ただ…短剣を贈る意味が…」
エディオルさんが一度言葉を区切った後、私の耳元に口を寄せて
「“私の心をあなたに捧げます”──だ。」
ーふぁ────っ!??ー
「えっ?あの…すみません!意味は…意味までは…知りませんでした!!」
ーえ!?ルーチェ様、そんな事言ってたっけ??いやいやいやいや、言われてないよね?ー
「くくっ─そうだと思った。きっと、母上にしてやられたんだろう。」
そう言って、エディオルさんは笑ってくれているけど…でも──
両手を伸ばしてエディオルさんの両頬に手を添えて、視線をしっかりと合わせる。
「コトネ?」
「あの…贈る意味は、本当に知らなかったんですけどね。あの……あの……私の心は、もうとっくの前から……ディに預けてます…からね?」
それから背伸びをして、少しエディオルさんの顔を引き寄せて、触れるだけのキスをした。
「………」
はい。エディオルさんが…固まった─。
ーあれ?私、やらかした?コレ、駄目だった?ー
ちょっと泣きそう─なんて思った瞬間、エディオルさんが私の腰に回している腕にギュッと力を入れて
「そんなんじゃあ…足りない───。」
「えぇ──!?」
「全然コトネが足りない。」
「いや……私は足りてます。十分足りてます。足り過ぎてますから!無理です。コレ以上は無理です!」
グリグリとエディオルさんの胸に、頭を擦り付ける。
「───ふっ──くくっ──。本当に、コトネは可愛いな…くくっ。」
エディオルさんが楽しそうに笑うから、私もつられて笑ってしまう。
「コトネ、プレゼント、ありがとう。鞘と柄に填まってる魔石は、俺とコトネの色?」
「そう…です。その…ビジューのお姉さんに相談したら、お互いの色を入れる事が…喜ばれるって…あの…大丈夫でしたか?」
「当たり前だろう?何を疑う事がある?あぁ…そうか。コトネは…まだ分かっていないんだな。」
「え?何が?」
ー私が分かってない?あれ?何か話が変わってないですか?ー
首を傾げてエディオルさんを見上げると
「俺が、どれだけコトネを愛してるか──分かってもらわないとな──」
「───え゛???」
勿論、エディオルさんから逃げる事などできなくて、キスをされて、あっと言う間に口を割り込まれて……
クラクラして力が抜ける迄…離してはくれなかった。
キスって…命懸けでするものなんですね?
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