モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

文字の大きさ
108 / 123
第三章ーリスと氷の騎士ー

覚悟とは

しおりを挟む
*結婚式迄一週間*

「今日から、パルヴァンへは立入禁止です。」





と、ルナさんとリディさんに言われました。理由は勿論、結婚式の準備をするから。
パルヴァン辺境地で式を挙げる事にした。それも、教会?とかではなく、パルヴァン辺境地の邸の庭園でする事になったのだ。ガーデンパーティーみたいな感じで。

自分の結婚式なのだから、何か手伝いを─とお願いしてみると、逆に“立入禁止”宣言をされてしまった。しかも─

「俺もパルヴァンでの準備と近衛の仕事で忙しくなるから、夜のティータイムは難しいかもしれない。」

とエディオルさんに言われた。

ーえっ!?エディオルさんは良いのに私は駄目なの!?ー

と、軽くショックを受けていると

「コトネを驚かせたいからな。式の当日迄秘密にしておきたいんだ。」

と言われてしまったら、それ以上は何も言えなかったし、それが嬉しくて思わず顔がニヤニヤしてしまった。

「はぁ───無自覚に可愛いな…コレも、暫くはおあずけか…と言う事で…コトネ?」

名前を呼ばれて「何?」と思って、エディオルさんの方に顔を向けると、椅子に座ったまま腰を引き寄せられて、私の髪に手を差し入れて逃げられないようにして、深いキスをされた。未だに慣れない深いキスに、力がフッと抜けると同時に、エディオルさんが私の唇を最後にペロッと舐めてから離れて行く。

「──っ!!」

ーそれ!恥ずかしいから止めて下さい!ー

と叫びたいけど叫ぶ事ができず、エディオルさんの腕の中でグッタリしたまま、エディオルさんをキッと睨む。

「ん?まだ物足りなかったか?」

ーひいぃっ─違います!違うって分かってるよね!?ー

力の入らない手で、抗議の意を込めてエディオルさんの胸をペシペシと叩く。

「くっ──可愛い抵抗だな!一週間…耐えれるのか?」

「ふぐうっ」

何故か、更に力を込めて抱き締められた。

きっと、これが…“溺愛”と言うものなんだろう─と、恥ずかしいけど嬉しいな─と思いながら、私からもエディオルさんに抱き付いた。











*結婚式迄3日*



「ランバルト様も、式に参列するみたいよ。」

「そうなんですね。エディオルさんが王太子様の側近だから、有り得るのかな?とは思ってたんですけど、辺境地で挙げる事になったから、身分的に無理かな─と思ってたんですけど。」

ー王太子と言う身分なのに…大丈夫なんだろうか?ー

「大丈夫じゃないかしら?転移魔法陣を使うと言っていたし、場所がパルヴァンなら、絶対に何も起こらないと思うしね。それに、ランバルト様も…意地だと思うわ。」

「意地?」

「ふふっ。ハルは何も気にしなくて大丈夫よ。」

ミヤさんは、呆れたようにクスクス笑う。
どうやら、ミヤさんは王太子様とはのようだ。ミヤさんが王太子妃…王妃…全く違和感が無いよね─とは、今はまだ口に出して言わないけど…。そうなったとしても、ならなくても、ミヤさんにもこの世界で幸せになって欲しいと思う。

「私、パルヴァンには式当日迄立入禁止なんですけど、ミヤさんはどうなってるか何か…知ってるんですか?」

「知ってるけど…ハルには秘密だから、何も言わないわよ。」

「むうっ─」

「そんな拗ねた顔しても、可愛いだけだからね?後3日。楽しみにしててね。」

ー花嫁が知らないって…アリなんだろうか?今更だけどー





それからの3日は、あっと言う間に過ぎた。
2日前には、クラウディアさんとアリアナさんがお祝いを持って来てくれて、少しの時間だけどお茶をする事ができた。2人は既に結婚していて、公爵、侯爵令嬢ではなく騎士の嫁だから─と、名前も“さん”呼びになった。2人は変わらずに優しいし、あれからも3人でお出掛けなどもしている。

「騎士との結婚後、1ヶ月の休みがもらえるでしょう?ハルさんは、何処かに行く予定ですの?」

「私、観光地とかはよく分からないので、その辺もエディオルさんにお任せしてるんです。」

「そうですのね。それはそれで楽しみですわね。」

「うーん…無事に外に出れると良いわね?」

「無事に…ですか?」

ーん?騎士とは…何か危険がつきものだったりするのかなぁ?なら、防御魔法を強めてた方が良いのかなぁ?ー

何て物騒?な事を考えていると、クラウディアさんとアリアナさんが困ったような、でも恥ずかしいような顔をしてお互い頷き合う。

「騎士の嫁のあるあるなんだけどね?」

と、アリアナさんが小声で話し出す。

「あるある?」

「騎士って、体力があるのよ。あり過ぎるのよ。」

「体力??」

うん。あるだろうね。エディオルさんもそうだし、ティモスさんもそうだけど、滅多に息切れしたところを見た事がない。ルナさんとリディさんもだけど。

「だからね、夜もね…体力があり過ぎて大変だったりするのよ。」

「…夜?」

「私ね…初夜…から、3日はベットから出れなかったのよ。」

「…え?」

「私も…ですわ。」

「え?3日???」

「騎士の嫁は、だいたいの人が、3日は無理らしいわ。」

“何が?”とは─訊きません。私も、精神年齢は26歳ですからね!?ちょっと怖い話だけど!!

「「ハルさん、頑張ってね!」」

「ありがとう…ございます…」

2人に真顔で応援されて、私の顔が引き攣ったのは…許して欲しい。





『覚悟しておけよ?』




エディオルさんが言っていた言葉を、今ようやく、本当の意味が分かってしまった─ような気がします。




しおりを挟む
感想 134

あなたにおすすめの小説

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

【完結】秀才の男装治療師が女性恐怖症のわんこ弟子に溺愛されるまで

恋愛
「神に祈るだけで曖昧にしか治らない。そんなものは治療とは言わない」  男尊女卑が強い国で、女であることを隠し、独自の魔法を使いトップクラスの治療師となり治療をしていたクリス。  ある日、新人のルドがやってきて教育係を押し付けられる。ルドは魔法騎士団のエースだが治療魔法が一切使えない。しかも、女性恐怖症。  それでも治療魔法が使えるようになりたいと懇願するルドに根負けしたクリスは特別な治療魔法を教える。  クリスを男だと思い込み、純粋に師匠として慕ってくるルド。  そんなルドに振り回されるクリス。  こんな二人が無自覚両片思いになり、両思いになるまでの話。 ※最初の頃はガチ医療系、徐々に恋愛成分多めになっていきます ※主人公は現代に近い医学知識を使いますが、転生者ではありません ※一部変更&数話追加してます(11/24現在) ※※小説家になろうで完結まで掲載 改稿して投稿していきます

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫
恋愛
 貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?  貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。  けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?  ※他サイトにも投稿しています。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

処理中です...