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20 クレイル=ダルシニアン
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「そう、私の国はウォーランド王国だ。そして、私の本当の名前は……クレイル=ダルシニアン。ウォーランド王国の魔道士団長なんだ。」
「ウォーランド王国の……魔道士団長………」
貴族かな…とは思っていたけど、魔道士のトップだとは……想像すらしていなかった。でも、魔道士のトップなら、白の精製水を作れるのも、純度を調節できたのも……納得だ。
「本来なら、団長の私が動く事は滅多にないんだけど…盛られた2人が……手を出してはいけない2人だったものだから……詳しくは言えないけど、イーレンの王族も色々あって、今、リュウが動いている状況なんだ。落ち着いたら、そのうち新たな国王から発表があると思う」
“手を出してはいけない2人”─それはそうだろう。王太子とその側近なら、国としても黙ってはいられないだろう。
“新たな国王”─商会で働いていると、色んな噂を耳にする。
国王陛下が病気だ─
魔法使いの王女も病気になった─
王太子が政務をこなしている─
「新しい国王が立てば、この国の魔力無しの者達も、生きやすい国になると思う」
そう言えば……魔力無しの王族が居るとか居ないとか……兎に角、あのリュウ様が後ろ盾?になっている人が国王になると言うなら、この国はこれから良い国になっていくだろう。
「それで…ニアさん、本当に大丈夫?本当に申し訳無い。まだ、王女の信奉者が残っているとは……」
王女の信奉者──
イーレンの王女は魔法使いで、この国の魔道士にとっては国王や王太子よりも、王女に崇拝に近い忠誠心があると言われていた。
王女の信奉者達も、今は捕われているそうだが、取り逃がした者が居たらしく、その魔道士が同じように捕われた媚薬を作っていたギリスをこっそり脱獄させ、密告した私に仕返しをしに来た──と。
「あの媚薬は、一度でも口にすると、どんな悪影響があるのか……間に合って良かった……」
「レイ──ダルシニアン…様、本当に、私は大丈夫ですから…」
「………リュウ、少しだけ外してくれないか?」
「はいはい……ついでに、念の為呼んで来るよ」
「……頼む」
リュウ様が部屋から出て行ってしまい、ダルシニアン様と2人きりになってしまった。
ダルシニアン様は、私手を優しく握る。
「……あの……2人きりになって…大丈夫ですか?ダルシニアン様に迷惑が──」
「もう、“レイさん”とは……呼んでくれない?」
「……ダルシニアン様は大国の貴族で……それに…魔道士団長で……。私は……ただの“ニア”でしかないから……」
大国ウォーランドの貴族で魔道士団長。そんな人を“レイさん”なんて、呼んで良い筈がない。
「爵位や地位を持っていても、私は私だ。“レイ”とは何も変わらない。私は……ニアには、肩書ではなく、私を見て欲しい。これからも……“レイ”と呼んで欲しいし……ずっとそばに居て欲しいと思ってる」
「え?」
「私と一緒に……ウォーランドに……来てくれないか?」
「え?」
私の顔を覗き込んで来るのは、レイさんと同じ綺麗な赤色の瞳だ。
「本当は、明日…ニアに伝えるつもりだったんだ。私は……ニア───セレニアが好きだ」
「っ!?どうして……」
セレニア───
私の……本当の名前だ。
「ごめん……捜査上、ニアの事を調べた時に……」
ーその名前を、また呼んでもらえるとは…思わなかったー
「もう一度……呼んでもらえますか?」
「……セレニア」
「………っ…」
「ニアが望むなら、いつでも何度でも呼ぶから……ニアも………私の事をレイと呼んでくれないかな?」
「………レイ……さん………」
「ニア!!」
そう呼ぶと、レイさんが本当に嬉しそうに笑って私を見下ろしている。その笑っているレイさんの顔にソッと手を添える。
「私……レイさんが笑った顔が……好き…です。とても…安心するんです。その安心感を……“お父さんみたい”って思ってたんですけど……違ったんです」
あの時、私じゃない女性に向けた笑顔に…嫉妬した。あの笑顔は、私だけに向けて欲しい─と。
「これからも…その笑顔を、私に向けてくれますか?身分も何も持ってない…レイさんから見たらお子様な私だけど……」
「セレニア。私は、セレニアが良いんだ。お子様だなんて思っていない。何も持ってないなんて事もない。セレニアは、素敵な女性だよ。私の好きな─愛しい人だよ」
フワリと微笑んだ後、引き寄せられて優しく抱きしめられた。その、レイさんの腕の中は、とても温かい。私も腕を回して抱きつこうとして───
ガチャッ──と、扉が開く音と同時に
「連れて来た────」
「リュウ、先ずノックをして返事を待たないといけないからね!?」
と、リュウ様の声と女の人の声がした。
「リュウ…………」
「あー………スミマセンね………」
レイさんのいつもより低い声を聞いたのは、久し振りだ。
ーえ!?ー
「クレイルさん、ごめんなさい…」
「ハル殿が謝る必要はないよ。悪いのは全部リュウだからね」
ハル殿──
リュウ様と一緒にやって来て、レイさんと話している女性は、私と同じぐらいの身長で銀髪。あの時の女性だった。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
感謝デス(꒪ˊ꒳ˋ꒪)。ෆ。
「ウォーランド王国の……魔道士団長………」
貴族かな…とは思っていたけど、魔道士のトップだとは……想像すらしていなかった。でも、魔道士のトップなら、白の精製水を作れるのも、純度を調節できたのも……納得だ。
「本来なら、団長の私が動く事は滅多にないんだけど…盛られた2人が……手を出してはいけない2人だったものだから……詳しくは言えないけど、イーレンの王族も色々あって、今、リュウが動いている状況なんだ。落ち着いたら、そのうち新たな国王から発表があると思う」
“手を出してはいけない2人”─それはそうだろう。王太子とその側近なら、国としても黙ってはいられないだろう。
“新たな国王”─商会で働いていると、色んな噂を耳にする。
国王陛下が病気だ─
魔法使いの王女も病気になった─
王太子が政務をこなしている─
「新しい国王が立てば、この国の魔力無しの者達も、生きやすい国になると思う」
そう言えば……魔力無しの王族が居るとか居ないとか……兎に角、あのリュウ様が後ろ盾?になっている人が国王になると言うなら、この国はこれから良い国になっていくだろう。
「それで…ニアさん、本当に大丈夫?本当に申し訳無い。まだ、王女の信奉者が残っているとは……」
王女の信奉者──
イーレンの王女は魔法使いで、この国の魔道士にとっては国王や王太子よりも、王女に崇拝に近い忠誠心があると言われていた。
王女の信奉者達も、今は捕われているそうだが、取り逃がした者が居たらしく、その魔道士が同じように捕われた媚薬を作っていたギリスをこっそり脱獄させ、密告した私に仕返しをしに来た──と。
「あの媚薬は、一度でも口にすると、どんな悪影響があるのか……間に合って良かった……」
「レイ──ダルシニアン…様、本当に、私は大丈夫ですから…」
「………リュウ、少しだけ外してくれないか?」
「はいはい……ついでに、念の為呼んで来るよ」
「……頼む」
リュウ様が部屋から出て行ってしまい、ダルシニアン様と2人きりになってしまった。
ダルシニアン様は、私手を優しく握る。
「……あの……2人きりになって…大丈夫ですか?ダルシニアン様に迷惑が──」
「もう、“レイさん”とは……呼んでくれない?」
「……ダルシニアン様は大国の貴族で……それに…魔道士団長で……。私は……ただの“ニア”でしかないから……」
大国ウォーランドの貴族で魔道士団長。そんな人を“レイさん”なんて、呼んで良い筈がない。
「爵位や地位を持っていても、私は私だ。“レイ”とは何も変わらない。私は……ニアには、肩書ではなく、私を見て欲しい。これからも……“レイ”と呼んで欲しいし……ずっとそばに居て欲しいと思ってる」
「え?」
「私と一緒に……ウォーランドに……来てくれないか?」
「え?」
私の顔を覗き込んで来るのは、レイさんと同じ綺麗な赤色の瞳だ。
「本当は、明日…ニアに伝えるつもりだったんだ。私は……ニア───セレニアが好きだ」
「っ!?どうして……」
セレニア───
私の……本当の名前だ。
「ごめん……捜査上、ニアの事を調べた時に……」
ーその名前を、また呼んでもらえるとは…思わなかったー
「もう一度……呼んでもらえますか?」
「……セレニア」
「………っ…」
「ニアが望むなら、いつでも何度でも呼ぶから……ニアも………私の事をレイと呼んでくれないかな?」
「………レイ……さん………」
「ニア!!」
そう呼ぶと、レイさんが本当に嬉しそうに笑って私を見下ろしている。その笑っているレイさんの顔にソッと手を添える。
「私……レイさんが笑った顔が……好き…です。とても…安心するんです。その安心感を……“お父さんみたい”って思ってたんですけど……違ったんです」
あの時、私じゃない女性に向けた笑顔に…嫉妬した。あの笑顔は、私だけに向けて欲しい─と。
「これからも…その笑顔を、私に向けてくれますか?身分も何も持ってない…レイさんから見たらお子様な私だけど……」
「セレニア。私は、セレニアが良いんだ。お子様だなんて思っていない。何も持ってないなんて事もない。セレニアは、素敵な女性だよ。私の好きな─愛しい人だよ」
フワリと微笑んだ後、引き寄せられて優しく抱きしめられた。その、レイさんの腕の中は、とても温かい。私も腕を回して抱きつこうとして───
ガチャッ──と、扉が開く音と同時に
「連れて来た────」
「リュウ、先ずノックをして返事を待たないといけないからね!?」
と、リュウ様の声と女の人の声がした。
「リュウ…………」
「あー………スミマセンね………」
レイさんのいつもより低い声を聞いたのは、久し振りだ。
ーえ!?ー
「クレイルさん、ごめんなさい…」
「ハル殿が謝る必要はないよ。悪いのは全部リュウだからね」
ハル殿──
リュウ様と一緒にやって来て、レイさんと話している女性は、私と同じぐらいの身長で銀髪。あの時の女性だった。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
感謝デス(꒪ˊ꒳ˋ꒪)。ෆ。
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